エンターテインメント・ウェブマガジン
次第に直虎(柴咲コウ)たちとの信頼関係を築き上げていく龍雲丸(柳楽優弥)一党。その顔ぶれには、一芸に秀でた個性的な面々がそろう。その中で、屈強な肉体を持つ力也を演じているのが、スイーツ好きとして知られ、“スイーツ真壁”の名でバラエティー番組でも人気のプロレスラー真壁刀義だ。多方面で活躍する真壁が、新たな挑戦となった大河ドラマの現場で感じたこととは。
冗談だと思いました。マネジャーはよく冗談を言うので、いつもの調子だろうと思って「何言ってるの?」と聞いたら、本当だというのでびっくりです(笑)。最高にうれしかったですけど、すぐプレッシャーに変わりました。大河ドラマに出演するのは、一流の俳優の皆さんです。そんな大舞台を用意してくれた方たちに、恥をかかせるわけにはいきませんから。
俺は演じることに関してはまったく“無”なので、与えられたステージでいかに自分を見せるかということを考えました。自分なりに演技の勉強もしましたが、撮影まで時間もないので、深い演技はできません。じゃあどうするかと考えて学んだのが、言葉ではなく、身振り手振りを中心に動くということ。その方が自分らしく、間違いなくこれだと思いました。
初日は、「柳楽(優弥)くん、映画で見たことある!」とか考えながら、周りばかり見ていました(笑)。まえだまえだのお兄ちゃん(前田航基)とも、よく話しました(笑)。子役から努力してきている方だから、芸歴は俺より長いんです。お兄ちゃんからも、勉強することがいっぱいありました。エキストラの方もいるので、所作が分からない時には、彼らの動きを見て勉強しています。とはいえ、あくまでもここに呼ばれたのは真壁刀義としてなので、本番では自分の本質を出すことを心掛けました。
そうですね。今は柳楽くんを含め、いろいろな役者さんを見て、勉強させてもらっています。だけどそれは、ドラマのためだけではなく、プロレスにも還元できるんです。言葉の発し方や言葉のチョイス、ものの例え方は、プロレスの観客にも響く。普通の選手だと「バカヤロー!」、「コノヤロー!」で終わりです。でも、それだけじゃない。俺が今考えているのは、まさかの大河風の言い方(笑)。まだ披露していませんが、いずれ試合でやってみたいです。
役柄の上では、頭が切れてそつなく、人間味に厚いという雰囲気がよく出ています。その一方で、柳楽くん本人は、ほわんとしています。だけど、それがすごくソフトな感じで、当たり前のことが当たり前にできる。社会人としてきちんとしている部分に人間味を感じました。いい方ですよね。だから、一党の頭にはもってこいです。見た目が男前なのは多いですけど、柳楽くんは中身も男前。俺はそこにすごく引かれました。
柳楽くんを筆頭に、エキストラさんも含めて、みんな信頼感があります。しかも、時間がたつにつれて、そのいい関係がどんどん出来上がっていくんです。たかだかここ何カ月か一緒に居させてもらっているだけですけど、心がすごく近付きました。俺は試合もあるので、なかなか参加できませんが、撮影以外でもよくみんなで集まっていますね。
今までもドラマに出たことはありますが、それは真壁刀義役でした。だから、気持ちが入る、入らないというより、素を見せていただけかもしれません。でも、力也という役は、真壁刀義ではないし、スイーツ真壁でもない。頭を盛り立てて、男にしなきゃいけないと一致団結している仲間の1人です。口にはしないけど、みんなその気持ちを持っている。だから、一緒にいるとやっぱり気持ちは入りますよね。この作品に出させてもらって本当に良かったです。
いわゆる“傾奇(かぶき)者”です。最初に写真で見た時は、大柄で力持ちで粗暴という印象でした。その後、衣装合わせで着てみたら、「赤いひもを巻いたらいいんじゃない?」となって。俺は普段プロレスで首にチェーンを巻いているんです。その代わりに真っ赤なひもを巻いたら、落ち着いた色の中に差し色が入ってしっくりきました。でも、他のみんなと違って、俺だけ履き物が草履。ものすごく寒いんですよ。真冬の山でロケした時、死ぬかと思いました(笑)。
俺は女優さんがどういう心持ちで演じ、どんな力量を持っているのかということを全く知りませんでした。でも初めて現場に入った時、撮影の合間に1人でせりふを練習している姿を見たら、ものすごく真剣。大河ドラマの主演は、やっぱりすごいなと。その時は、邪魔しちゃいけないと思って遠くから会釈だけしたら、手を付いてあいさつしてくれました。美しいなと思いながら、自分も本腰を入れて頑張らないと駄目だという気になりました。
真壁刀義を見てもらいたい気持ちはもちろんあります。でもそれだけではなく、自分を入り口に「直虎」というドラマの面白さを知ってほしい。本当に面白いから。事実を基にしている大河ドラマには、いろいろ考えさせられるところがあります。見ている人が、それを自分の人生と重ねてくれたら、もっと面白いと思うんです。それと、役者それぞれの味とすごさ。
俺が絡む相手を見たら、その役者さんの魅力が伝わると思うんです。柳楽くんや一党の連中、殿(直虎)や六左さん(六左衛門)もいる。高橋(一生)さんも、カッコいい。俺は普段、ずっとしゃべっているけれど、彼らは沈黙で見ている人をうならせるし、心に響くことを普通に言うんだから、すごいですよ。一流の人に囲まれると、受ける刺激もすごい。今年の初めに撮影が始まって、今まであっという間でした。それでも、心に残っているものはものすごい。それを視聴者の方にも感じてもらいたいです。
(取材・文/井上健一)
ドラマ2025年7月7日
トリンドル玲奈が主演するドラマ「レプリカ 元妻の復讐」が、7日23時6分からテレ東系で放送がスタートする。本作は原作・タナカトモ氏、作画・ひらいはっち氏による同名漫画を映像化。整形して別人として生きる主人公・伊藤すみれ(トリンドル)が、人 … 続きを読む
ドラマ2025年7月5日
韓国の百想芸術大賞で作品賞、脚本賞、男性最優秀演技賞の3冠を達成した極上のサスペンス「怪物」。WOWOWが世界で初めてそのリメイクに挑んだ「連続ドラマW 怪物」(全10話)が、7月6日(日)午後10時から放送・配信スタート(第1話・第2話 … 続きを読む
ドラマ2025年7月5日
7月13日(日)にスタートする、松本潤主演の日曜劇場「19番目のカルテ」(TBS 毎週日曜夜9時~9時54分)。原作は富士屋カツヒト氏による連載漫画「19番目のカルテ 徳重晃の問診」 (ゼノンコミックス/コアミックス)。脚本は、「コウノド … 続きを読む
映画2025年7月4日
第42 回吉川英治文学新人賞を受賞した武田綾乃の小説を原作にした鮮烈な青春映画『愛されなくても別に』が、7月4日公開となる。浪費家の母(河井青葉)に代わってアルバイトで生活を支えながら、奨学金で大学に通う主人公・宮田陽彩が、過酷な境遇を受 … 続きを読む
舞台・ミュージカル2025年7月4日
2019年に宝塚歌劇団を退団して以降、今も多方面で活躍を続ける紅ゆずる。7月13日から開幕する、ふぉ~ゆ~ meets 梅棒「Only 1,NOT No.1」では初めて全編ノン・バーバル(せりふなし)の作品に挑戦する。 物語の舞台は歌舞 … 続きを読む