エンターテインメント・ウェブマガジン
NHKの連続テレビ小説「ひよっこ」で、有村架純演じるヒロインの幼なじみで女優を夢見る助川時子役を演じる佐久間由衣。2013年にモデルデビューした翌年から女優業を始めた佐久間にとって、まだ4本目の出演作だが、本作にかけるエネルギーは誰よりも熱い。役柄同様、理想の自分を追い求める佐久間に、女優としての覚悟と撮影現場でのエピソードを聞いた。
マネジャーから合格を聞いた瞬間はうれしかったですが、すぐに冷静になり、時代背景も違うし、方言もあるし、茨城にも行ったこともなかったので、いろいろ準備しなきゃ駄目だ!という気持ちが押し寄せてきました。キャストの情報が解禁になってから両親に報告すると、現実味がないようで「大丈夫なの?」と言われましたが、「一生懸命頑張るね」と伝えたら「頑張りなさい」と言ってもらえました。
過去の出演作品を見た時に、お芝居が何かを分かっていなくて、役をきちんと理解せずに感覚で演じているな…とすごく反省して、このままじゃいけないと思いました。それから1年ほどワークショップなどで芝居を勉強したので、このオーディションは今までと違う自分を見てもらうための挑戦でした。だから、これまで2回受けた朝ドラのオーディションに比べて、関わりたい気持ちは強かったです。朝ドラは(演じる役の年齢幅が大きく)何十年もその人を生きるので、いろんな経験や勉強ができるチャンスだとも思いました。
ある時、「小公女セイラ」(2009年放送のドラマ)『世界から猫が消えたなら』(16年公開映画)など、好きな作品の多くが岡田さんの脚本だということに気づきました。すごく温かみがあり、せりふの意味が捉える人によって違い、いろんなことが想像できる魅力があります。オーディションの時は岡田さんがニコニコ話を聞いてくださり、お顔を知っていたこともあって、岡田さんにやる気や気持ちを届けようとがむしゃらに頑張りました。
有村さんのことはもともとすごく好きで、一緒にお芝居ができたらいいなと思っていました。実際、一緒にお芝居をしていても説得力があって、心が動かされます。ヒロインはとても大変だし、大役を担って心の中では揺れているかもしれませんが、それを全く感じない穏やかさがあって、何か相談をしたら真剣に向き合い、気遣ってくれる姿勢に日々刺激を受けています。いるだけで安心するし、みんなが有村さんについていこうと思っています。
普段は静かで、あまり自分から話をするタイプではないですが、お芝居になると顔つきが変わって…。泉澤さんがデレデレな三男でいてくれるから、私もツンケンした時子でいられます。有村さんと泉澤さんが相手だと自然と幼なじみの感じが出せて、お互いに「今、伝わった!」と思える瞬間があるので、本当に二人で良かったです。
撮影前にロケ地となる高萩市に行ったんですが、いるだけで畑や自然が助けてくれて、この茨城で育った時子の顔になれると思いました。その中で、羞恥心を捨てることは意識してやっています。時子はみんなの前で芝居をしたり、思ったことをすぐに言ったりするので、私自身の羞恥心は必要ないと思いました。頭の中では自分を裏、時子を表に出して恥ずかしがらないようにしています。でも、脚本に「みんなの前でお芝居をし始める時子」と書かれてあると、あぁ、またお芝居しちゃうんだ…と思います(笑)。毎回、そのハードルを超えなければいけないので、試練だと思っています。
難しいです。初めは、こういう時はこういう言い方をするという方言の決まりに助けられていましたが、時子は訛りを嫌だと思っているし、長ぜりふの時に方言の型にはまると気持ちがうまく表せないときがあって…。でも、方言指導の先生がそこを理解してくださって「方言を使わずに自分の言葉で言ってもいいよ」と言ってくださったので乗り切れました。今は「東京に来た時子が標準語にふれてどういうふうに話すんだろう…?」と、新たな壁にぶつかっています。
(取材・文/錦怜那)
ドラマ2024年7月26日
NHKで好評放送中の連続テレビ小説「虎に翼」。新潟地家裁三条支部に赴任し、娘・優未(竹澤咲子)と2人だけの暮らしに苦労する主人公・佐田寅子(伊藤沙莉)を助けるため、かつて花江(森田望智)の家で女中として働き、第7週で故郷の新潟に帰った稲が … 続きを読む
舞台・ミュージカル2024年7月26日
「才能が宿るのは肉体なのか?魂なのか?」という深遠なテーマをベースに、その高い音楽性と重層的な作劇で“人間モーツァルト”の35年の生涯に迫る、ミュージカル「モーツァルト!」が、8月19日から帝国劇場にて上演される。2002年の日本初演以来 … 続きを読む
映画2024年7月26日
『もしも徳川家康が総理大臣になったら』(7月26日公開) 新型コロナウィルスがまん延した2020年。首相官邸でクラスターが発生し、総理大臣が急死した。かつてない危機に直面した政府は、最後の手段として、歴史上の偉人たちをAIホログラムで復活 … 続きを読む
映画2024年7月25日
高校生の時宮朱莉は、謎の男・穂積(斎藤工)と出会い、特殊美術造形家だった亡き祖父・時宮健三(佐野史郎)が制作を望んだ映画『神の筆』の世界に入り込んでしまう。怪獣ヤマタノオロチによって、その世界が危機にひんしていることを知った朱莉は、同級生 … 続きを読む
映画2024年7月24日
怪盗グルーとその相棒ミニオンたちが活躍する「怪盗グルー」シリーズの最新作『怪盗グルーのミニオン超変身』が7月19日から全国公開された。本作は、グルーとその家族に息子が生まれ、新たな町で身分を隠しながら奮闘する姿を描く。日本語吹替版で主人公 … 続きを読む