「本当に私でいいのかな…」有村架純(谷田部みね子)憧れの“朝ドラヒロイン”直接オファーに驚きと不安 【ひよっこ インタビュー】

2017年3月27日 / 05:28

 NHKの連続テレビ小説「ひよっこ」のヒロイン役に、直々のオファーで臨む有村架純。2013年放送の「あまちゃん」で、ヒロインの母の少女時代を1980年代アイドルの風貌で好演してブレークし、今では日本アカデミー賞など数々の映画賞を受賞する実力派女優に成長した。そんな有村が、異例の大抜てきで挑む本作に込めた思いや撮影エピソードを語った。

 本作は、東京オリンピックが開催された64年から始まる物語。高度成長期の中、集団就職で上京した“金の卵”(若年労働者)のヒロイン谷田部みね子が、仲間との絆、切ない恋、人々との出会いと別れを生きる力に変え、自らの殻を破って成長する、波瀾(はらん)万丈の青春記だ。

 

主人公の谷田部みね子を演じる有村架純

主人公の谷田部みね子を演じる有村架純

-“朝ドラ”のヒロインはオーディション選考が通例ですが、直接オファーを受けた時の心境は?

 すごくびっくりしました。朝ドラのヒロインに憧れていましたが、こういう形で出演できるとは想像していなかったので信じられなかったし、本当に私でいいのかな…、「えっ?」と思う方もいるだろうな…と思うと不安は大きかったです。

-その不安をどう払拭しましたか。

 徐々に主演することを実感していき、(プロデューサーの)菓子(浩)さんや監督とお話しする中で不安が取れて、やるからには絶対に良い作品にしたいという思いがこみ上げてきました。どの作品も(役としての)第一声でキャラクターのイメージが決まるので、最初のシーンは毎回緊張しますが、今回は第一声からみね子の感じが出せたので、今はそれを信じて前向きに毎日楽しくやっています。

-みね子は農家で生まれ育ち、集団就職で上京してたくましく生きていく女性ですが、役づくりはどのようにしましたか。

 農家の娘役なので、普段は低糖質の食事ですが、クランクインの2カ月ほど前からお米を食べていました。米が持つ力とおいしさでパワーがあふれ、みね子もこうやって生活しているんだな…と感じました。今は、みね子の年齢によって体形を変えたいので、分からないかもしれないけど減量しています(笑)。

-性格に関する役づくりもされましたか。

 素直で少し抜けているところは、計算ではなくて一生懸命故の空回りだと思うので、考え過ぎずに感じるまま、(劇中の)家族や仲間からもらう気持ちを大事に(せりふの)キャッチボールをしています。それと、みね子は受け身で、他の方のせりふを受けて反応することが多いので、目の演技だけでなく顔や体を使って、少しオーバーにリアクションするように心掛けています。

-「あまちゃん」では岩手弁、本作では茨城弁を使っていますが、方言を話す上で苦労はありますか。

 「茨城弁は抑揚があると東北なまりになるので平板に」と指導を受けています。でも、語尾を上げるか上げないか、濁点が付くか付かないかの違いがいまだに分からなくて…。ただ、感情を優先して輪郭を付けずに流れるように話すようにしています。

-父・実役の沢村一樹さん、母・美代子役の木村佳乃さんとの家族のシーンで印象的なものを教えてください。

 最初に撮影した稲刈りのシーンは、初めて家族として演じたのにやりづらさが全くなく、その瞬間から家族になっていました。佳乃さんはいるだけで現場が明るくなって、みね子が大好きな美代子そのもの。理想の母親像です。

-上京して働くトランジスタラジオ工場での仲間とのシーンはいかがですか。

 茨城編から東京編に舞台が変わる時は雰囲気がつかめなくて不安でしたが、今は乙女寮(工場の女子寮)の6人(佐久間由衣、松本穂香、藤野涼子、小島藤子、八木優希、和久井映見)がほっこりしてかわいいし、一緒にいられるのが楽しくて、ずっと乙女寮のシーンだったら…と思います(笑)。

-ご自身も兵庫から上京されていますが、上京前後での変化や殻を破る瞬間などはありましたか。

 東京に知り合いがいなかったので緊張や不安はありましたが、それよりも仕事や新しい事が始まることにワクワクしました。上京後は、人との出会いが影響して自分と向き合うようになり、ポジティブにもなりました。殻を破ったのは二十歳になった瞬間。お芝居に対してこれじゃ駄目だと思っていたので、さらに頑張る覚悟を決めた年齢でした。

-友人であり朝ドラのヒロイン経験者の高畑充希さん(「とと姉ちゃん」)、土屋太鳳さん(「まれ」)からアドバイスはもらいましたか。

 充希は「とと姉ちゃん」がクランクアップした時に「お疲れさま」と連絡したら、「疲れたし大変だったけど、終わった後に見られる景色はすごく美しいよ。だから無理せず楽しんで」と言ってくれました。10カ月を乗り切った彼女の言葉には説得力があるし、私も終わった後の景色を目指して頑張ろうと勇気づけられました。太鳳ちゃんは、体調を管理するよう言ってくれて、「しんどくなったら太鳳がNHKに架純ちゃんを励ましに行くから、いつでも言ってね」という言葉をくれました(笑)。

(取材・文/錦怜那)


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

門脇麦、「芝居に対してすごく熱い」田中圭と夫婦役で5度目の共演 舞台「陽気な幽霊」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年4月2日

 田中圭を主演に迎え、若村麻由美、門脇麦、高畑淳子ら豪華共演者で贈る舞台「陽気な幽霊」が5月3日から開幕する。本作は、20世紀を代表する劇作家ノエル・カワードによるウェルメイド・コメディー。1945年にはデヴィッド・リーン監督により映画化も … 続きを読む

今田美桜「『アンパンマン』のように、幅広い世代に愛される作品に」連続テレビ小説「あんぱん」いよいよスタート!【インタビュー】

ドラマ2025年4月1日

 3月31日から放送スタートしたNHKの連続テレビ小説「あんぱん」。『アンパンマン』を生み出したやなせたかしと妻・暢の夫婦をモデルに、何者でもなかった朝田のぶと柳井嵩(北村匠海)の2人が、数々の荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した『 … 続きを読む

坂本昌行&増田貴久がミュージカルで初共演「笑顔になって、幸せになって帰っていただけたら」 ミュージカル「ホリデイ・イン」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年4月1日

 坂本昌行と増田貴久をはじめとした豪華キャストが出演するミュージカル「ホリデイ・イン」が4月1日から開幕する。本作は、1942年に公開された映画『Holiday Inn』(邦題『スウィング・ホテル』)をもとに舞台化されたミュージカル作品。「 … 続きを読む

藤原竜也が挑む「マクベス」 「1日1日、壁を突破することが目標」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年3月29日

 2024年5月にスタートした、吉田鋼太郎が芸術監督を務める【彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd】。待望の二作目となる「マクベス」が、藤原竜也を主演に迎え、5月8日から上演される。藤原に初めて挑む「マクベス」への思いや吉田とのクリエイトに … 続きを読む

竈門炭治郎を演じる阪本奨悟が語る、舞台「鬼滅の刃」の魅力 「生身の人間が演じているからこそ、リアルに共感できる」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年3月28日

 「週刊少年ジャンプ」で2020年5月まで連載していた吾峠呼世晴による大ヒット漫画『鬼滅の刃』。2020年に初めて舞台化されて以降、シリーズを重ね、4月11日からはシリーズ5作目となる、舞台「鬼滅の刃」其ノ伍 襲撃 刀鍛冶の里が上演される。 … 続きを読む

Willfriends

page top