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庭先に訪れる猫たちをながめて楽しむスマートフォン向けゲームアプリ「ねこあつめ」を実写映画化した『ねこあつめの家』が4月8日から公開される。本作の主人公は、若くして新人賞を受賞したものの、今はスランプに陥った小説家の佐久本勝。片田舎の古民家に移住した彼の前に、1匹の猫がふらりとやってきて…。猫たちに癒やされていく佐久本をほのぼのとした雰囲気で演じた伊藤淳史がインタビューに応じ、役づくりや猫たちとの“共演”について語った。
アプリのことは知ってはいましたが、どういう話になるのか、全く想像ができませんでした。実際に台本を頂いたら、確かに猫が中心なんですけど、ちゃんとした人間ドラマでハートフルな内容だったので、これはやりたいなと。人間ドラマの良さと猫のかわいさが融合した作品だと感じました。
彼はかなり追い詰められていますけど、でも特別なことではなくて、誰にでも起こり得ることだと思いました。一人の人間が悩んでいて苦しんでいる。そんな時、佐久本はたまたま猫だったり、場所にきっかけをもらって、少しだけ前に進んでいけるようになるんです。
そうですね。小説家という職業は特殊かもしれないですが、一人の男が悩んでいてつらい思いをしていて、絶望感でいっぱいだったんだけど、ちょっとずつ救われていく。そこには、タイミングとか縁とかがある。誰にでも起こり得る一つのきっかけ。そういう感じが伝わってくれればなと。
俳優と小説家は何かを生み出す、という点で似ていると思います。何かを表現することで、自分を前に出していかなきゃいけないというか。自分はそこに台本があって、与えられた役を演じますが、小説家はゼロから作り出すので、また違った大変さがあると思います。
楽しかったです。なかなかこの状況ってないと思うんですけど、みんないい子たちで、待ち時間も待っている感じがしませんでした。僕は今まで猫に接する機会はなかったんですけど、家で犬を飼っているので、抱っこする感じは似ているし、温かくてふわふわしていて気持ちいいですよね。
意外と懐いてくれるなというのが発見でした。イメージ的には、ちょっと人間と距離を置くというか、飼っていてもパーソナルスペースをしっかり守っているイメージがあって、なかなかコミュニケーションは取れないのかなと思っていたんですけど、全然そういうことはないし、乗っかってきてくれたりするし。劇中にもシャボン玉を使って遊んでいるシーンなどがありましたが、カメラが回っていない時も普通に遊んでいました。
1回でできたんですよ! 自分から近づいていくシーンなら、僕がやればいいですけど、近づいてきてくれるというのは僕がやるわけではないので、難しいだろうなと思ったんですけど、ちゃんと近づいてきてくれました。感心しました。
前にも一緒にお仕事をしていますし、仲良しです。本当にいつも明るくいてくれるから、一緒にいて気を使うこともないし、猫がいた時は猫と一緒にたわむれていたし、ほかの待ち時間の時もいろんな話をして盛り上がっていたので、あっという間に時間が流れていきました。お芝居では、自分一人で台本を読んでいる時には予想できないことが生まれる瞬間がいっぱいあって、とても楽しかったです。共演シーンではありませんが、汐里ちゃんの最後のバスのシーンもすてきでしたね。彼女のいろんな思いが詰まっていて。
猫がかわいいのは当たり前で、この映画を見たら相当癒やしてもらえると思います。その上で、佐久本や汐里ちゃんの役とか、みんなの感情がしっかりつながっているのを感じられました。佐久本の心の移り変わりとか、前を向いて行くプロセスが、すっと入ってくる。すごく面白いものになったんじゃないかと自分で見ても思えました。猫好きな人はもちろんですが、そうじゃない人でもちゃんと面白いと感じられる作品のクオリティーに仕上がったと思います。
佐久本はスランプ中の小説家ですが、猫の力を借りることでちょっと前に進むことができます。つらいことや苦しいこと、悲しいことは誰しもありますが、そんな時に近くにいる誰かに力を借りてもいいんだと、そして前を向けばいいんだと、見た方がそう思ってくれれば作品を作ったかいがありますね。それから、もちろん猫たちも見てほしいです。動物と一緒の撮影は大変だといいますが、今回の猫たちはとても優秀でした。台本通りの動きをした時は本当に驚きました。
(取材・文/田中雄二)
『ねこあつめの家』
4月8日(土) 新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
http://nekoatsume-movie.com/
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