【インタビュー】『ねこあつめの家』伊藤淳史 「猫たちはとても優秀。台本通りの動きをした時は驚きました」

2017年4月3日 / 08:00

 庭先に訪れる猫たちをながめて楽しむスマートフォン向けゲームアプリ「ねこあつめ」を実写映画化した『ねこあつめの家』が4月8日から公開される。本作の主人公は、若くして新人賞を受賞したものの、今はスランプに陥った小説家の佐久本勝。片田舎の古民家に移住した彼の前に、1匹の猫がふらりとやってきて…。猫たちに癒やされていく佐久本をほのぼのとした雰囲気で演じた伊藤淳史がインタビューに応じ、役づくりや猫たちとの“共演”について語った。

(C)2017 Hit-Point/『映画ねこあつめ』製作委員会

(C)2017 Hit-Point/『映画ねこあつめ』製作委員会

-オファーがきた時は、どう思いましたか。

 アプリのことは知ってはいましたが、どういう話になるのか、全く想像ができませんでした。実際に台本を頂いたら、確かに猫が中心なんですけど、ちゃんとした人間ドラマでハートフルな内容だったので、これはやりたいなと。人間ドラマの良さと猫のかわいさが融合した作品だと感じました。

-佐久本というキャラクターについてはどう思いましたか。

 彼はかなり追い詰められていますけど、でも特別なことではなくて、誰にでも起こり得ることだと思いました。一人の人間が悩んでいて苦しんでいる。そんな時、佐久本はたまたま猫だったり、場所にきっかけをもらって、少しだけ前に進んでいけるようになるんです。

-観客も気持ちが投影できるキャラクターになればと?

 そうですね。小説家という職業は特殊かもしれないですが、一人の男が悩んでいてつらい思いをしていて、絶望感でいっぱいだったんだけど、ちょっとずつ救われていく。そこには、タイミングとか縁とかがある。誰にでも起こり得る一つのきっかけ。そういう感じが伝わってくれればなと。

-小説家を演じる上で、下調べなどはしましたか。また、演じた佐久本とご自身との共通点はありますか。

 俳優と小説家は何かを生み出す、という点で似ていると思います。何かを表現することで、自分を前に出していかなきゃいけないというか。自分はそこに台本があって、与えられた役を演じますが、小説家はゼロから作り出すので、また違った大変さがあると思います。

-猫との共演はいかがでしたか。

 楽しかったです。なかなかこの状況ってないと思うんですけど、みんないい子たちで、待ち時間も待っている感じがしませんでした。僕は今まで猫に接する機会はなかったんですけど、家で犬を飼っているので、抱っこする感じは似ているし、温かくてふわふわしていて気持ちいいですよね。

-実際に猫と触れ合ってみて、新たな魅力に気づいた部分はありますか。

 意外と懐いてくれるなというのが発見でした。イメージ的には、ちょっと人間と距離を置くというか、飼っていてもパーソナルスペースをしっかり守っているイメージがあって、なかなかコミュニケーションは取れないのかなと思っていたんですけど、全然そういうことはないし、乗っかってきてくれたりするし。劇中にもシャボン玉を使って遊んでいるシーンなどがありましたが、カメラが回っていない時も普通に遊んでいました。

-すり寄ってきてくれるシーンもありましたね。

 1回でできたんですよ! 自分から近づいていくシーンなら、僕がやればいいですけど、近づいてきてくれるというのは僕がやるわけではないので、難しいだろうなと思ったんですけど、ちゃんと近づいてきてくれました。感心しました。

-編集者役の忽那汐里さんとの共演はいかがでしたか。

 前にも一緒にお仕事をしていますし、仲良しです。本当にいつも明るくいてくれるから、一緒にいて気を使うこともないし、猫がいた時は猫と一緒にたわむれていたし、ほかの待ち時間の時もいろんな話をして盛り上がっていたので、あっという間に時間が流れていきました。お芝居では、自分一人で台本を読んでいる時には予想できないことが生まれる瞬間がいっぱいあって、とても楽しかったです。共演シーンではありませんが、汐里ちゃんの最後のバスのシーンもすてきでしたね。彼女のいろんな思いが詰まっていて。

-完成作をご覧になった印象は?

 猫がかわいいのは当たり前で、この映画を見たら相当癒やしてもらえると思います。その上で、佐久本や汐里ちゃんの役とか、みんなの感情がしっかりつながっているのを感じられました。佐久本の心の移り変わりとか、前を向いて行くプロセスが、すっと入ってくる。すごく面白いものになったんじゃないかと自分で見ても思えました。猫好きな人はもちろんですが、そうじゃない人でもちゃんと面白いと感じられる作品のクオリティーに仕上がったと思います。

-観客には、どんなところを見たり、感じたりしてほしいですか。

 佐久本はスランプ中の小説家ですが、猫の力を借りることでちょっと前に進むことができます。つらいことや苦しいこと、悲しいことは誰しもありますが、そんな時に近くにいる誰かに力を借りてもいいんだと、そして前を向けばいいんだと、見た方がそう思ってくれれば作品を作ったかいがありますね。それから、もちろん猫たちも見てほしいです。動物と一緒の撮影は大変だといいますが、今回の猫たちはとても優秀でした。台本通りの動きをした時は本当に驚きました。

(取材・文/田中雄二)

(C)2017 Hit-Point/『映画ねこあつめ』製作委員会

(C)2017 Hit-Point/『映画ねこあつめ』製作委員会

『ねこあつめの家』
4月8日(土) 新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
http://nekoatsume-movie.com/


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

千葉雄大、「映像の人」「舞台の人」という「垣根をなくしたい」 友近と挑む二人芝居・リーディングドラマ「老害の人」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年4月25日

 内館牧子によるベストセラー小説『老害の人』が、リーディングドラマとして舞台化される。出演者は、友近と千葉雄大の二人だけ。登場人物のすべてを、二人が自在に演じ分ける。  物語の主人公は、小さな玩具屋を大企業に育てた元社長の福太郎。老いてなお … 続きを読む

小手伸也、「映像ではテンションの7割しか出していない」 リミッターを解除して臨む舞台初主演作「コテンペスト」

舞台・ミュージカル2026年4月25日

 小手伸也が舞台初主演を務める「俺もそろそろシェイクスピア シリーズ『コテンペスト』」が、6月27日から上演される。公演に先立ち、小手が取材に応じ、本作への思いを語った。  本作は、シェイクスピアの最後の作品「テンペスト」の設定を現代に置き … 続きを読む

【映画コラム】4月後半公開の映画から『人はなぜラブレターを書くのか』『今日からぼくが村の映画館』『ソング・サング・ブルー』

映画2026年4月24日

『人はなぜラブレターを書くのか』(4月17日公開)  2024年、千葉県香取市で定食屋を営む寺田ナズナ(綾瀬はるか)は、ある青年に宛てて手紙を書く。  24年前、当時17歳だったナズナ(當真あみ)は、いつも同じ電車で見かける高校生の富久信介 … 続きを読む

小林虎之介「名前と同じ『虎』の字が入った役名に、ご縁を感じています」連続テレビ小説初出演で、主人公の幼なじみを好演中【連続テレビ小説「風、薫る」インタビュー】

ドラマ2026年4月23日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「風、薫る」。田中ひかるの著書『明治のナイチンゲール 大関和物語』を原案に、明治時代、当時まだ知られていなかった看護の世界に飛び込んだ一ノ瀬りん(見上愛)と大家直美(上坂樹里)という2人のナースの冒険物語 … 続きを読む

浦井健治が演じる童磨がついに本格参戦!「童磨を本当に愛し抜いて演じられたら」舞台「鬼滅の刃」其ノ陸 柱稽古・無限城 突入【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年4月23日

 舞台「鬼滅の刃」其ノ陸 柱稽古・無限城 突入が6月13日から上演される。原作漫画「鬼滅の刃」はコミックスの全世界累計発行部数が2億2000万部を突破。その大人気作品の舞台化で、シリーズ6作目となる本作では、柱稽古、そして無限城の戦いを描く … 続きを読む

page top