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第5回、ついにおとわ(後の井伊直虎)のいいなずけ、亀之丞がたくましく成長した姿で井伊谷に帰ってきた。元服後、井伊直親と名を改める亀之丞を演じているのは、多数の作品で活躍する人気若手俳優・三浦春馬。主人公・おとわ(柴咲コウ)と幼いころからの絆で結ばれ、今後の物語で重要な役割を担う井伊直親役に込めた思いを語った。
第5回で井伊谷に再び日の光を差す人物だと伺って、一つの家に新しい風を吹き込む、温かな光を差しこむ人物であるという点にとても引かれました。笛の名手で幼少期は体が弱かったものの、屈強になって帰ってくるというギャップも魅力的でした。
幼少期に父親の謀反が発覚して家を離れることになりましたが、井伊谷の状況は手紙などを通じて聞いていたんだと思っていて。その間に温めてきた自分の思いや苦労を重ねて形成された強い意志があるはずです。井伊谷の人々や家族、みんなの力添えで戻ってくることができたこの命を、井伊家のために捧げて一生懸命働く。そんな気持ちや姿勢をどう表現するのかということがとても面白く、日々トライさせていただいています。
現場で生まれたものや諸先輩方から頂くインスピレーションを大事にして、柔軟に演じたいと考えています。周りは本当に素晴らしい方たちばかりなので、間(ま)の取り方とか渋みとか、全部が勉強になります。緊張して多分、僕が一番NGを出しているのではないでしょうか(笑)。迷惑を掛けてはいけませんが、そういう緊張感はなかなか得られるものではないので、そんなところも大切にしながら過ごしたいです。
この作品の前に、舞台で体作りはすでにしていたので、そのまま生かせました。さらに今回は、弓を引いたり馬に乗ったりするシーンがあります。以前から、いつか役立つと考えて乗馬クラブに通ったり、弓を習ったりという準備はしていましたが、今回改めて専門の方にご指導いただき、そのあたりもきちんとやりました。
日本人として、日本の文化や歴史に関わる作品に出演させていただくことは財産になります。とてもいい機会を頂いていますし、所作の指導の先生が細かくいろいろなことを教えてくださることも、一つ一つが面白い。今後、時代劇に出演する機会があれば、物おじせずにぶつかっていけると思います。また、直親を守ろうとする井伊家の人々の思いやりは、芝居をしていても感じるので、家族のありがたみとか、寄り添ってくれる人の大切さみたいなものを、見ている方に感じ取ってもらえるといいですね。
自分は二の次で、おいえのために尽くしていく大きな女性ですよね。それは幼少期から変わらず、誰よりも家のことを一番に思っているという神々しい生き方をしています。そんな中にも、時には思い切り泣いて、思い切り笑って、思い切りかわいらしい部分もある。神々しさの一方で、ちょっととぼけた愛らしい瞬間もある。そんな二面性だけではない、三面性とか四面性のある人物を柴咲コウさんが演じてくださっています。
幼少期からお互いにコンプレックスを見せ過ぎないようにして虚勢を張っているところがあります。お互いに自分が持ち合わせていないものを相手が持っていて、直親には人を引き寄せる魅力があり、政次は常に聡明な考えが頭をめぐっている。そんな2人が離れたりしながらも、回を重ねるごとに次第に寄り添っていくようになります。その結果、井伊家をこれから一生懸命みんなで盛り立てていこうという気持ちがきちんと成立するのに、それが一気に崩れて行くクライマックスが待っているのは悲しいですね。
この作品の前に、舞台でドラァグクイーンの役を演じたのですが、舞台が終わった後も、その役を引きずった状態になってしまうんじゃないかなという不安があったのですが、衣装を身に付けたら気持ちが引き締まり、真逆の役に僕を置いてくれたので、本当に助かりました。また、衣装に関しては、直親は暖色系の色で政次は寒色系という対比を出すような工夫もされているので、そんなところも見ていただけたらうれしいです。
純粋にうれしいです。柳楽さんは高校の先輩なので、学校では顔を合わせていましたが、こうして初めて現場でお会いさせていただくと、やっとご一緒させてもらえるんだなと気持ちが高揚します。残念ながら芝居で交わる場面はありませんが、同じ作品に携わることができるのはすごくうれしいです。菅田くんは、他の作品で僕の生徒役を演じてくれたことがあり、当時からすごくすてきなお芝居をされる人だと思っていました。またこうして同じ作品を作れることはとても光栄です。
おとわと直親が互いに寄り添うことを諦める場面があります。そこは、おとわや井伊谷に対する直親の思いの強さを感じさせなければいけないと考えていました。直親にとっては、井伊谷に戻ってくる理由の中で、おとわのことが一、二を争うほど大きなものだったので、それがついえた時の衝撃の大きさを考えるとすごく切ない。その時の直親をどう演じたらいいのか、とても悩みました。泣いてしまう方がいいのか、武士らしく涙は見せない方がいいのか。そこで、撮影ではその両方を演じてみました。最終的には監督の判断なのでどちらが使われるか分かりませんが、印象深いシーンなので皆さんにも楽しんでもらえたらうれしいです。
(取材・文/井上健一)
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