「直親を守ろうとする井伊家の人々の思いやりを感じます」三浦春馬(井伊直親)【「おんな城主 直虎」インタビュー】

2017年2月6日 / 14:39

 第5回、ついにおとわ(後の井伊直虎)のいいなずけ、亀之丞がたくましく成長した姿で井伊谷に帰ってきた。元服後、井伊直親と名を改める亀之丞を演じているのは、多数の作品で活躍する人気若手俳優・三浦春馬。主人公・おとわ(柴咲コウ)と幼いころからの絆で結ばれ、今後の物語で重要な役割を担う井伊直親役に込めた思いを語った。

 

②井伊直親(三浦春馬さん)場面写真05_38_06_01_4A_001_1118Y-井伊直親という役に対する第一印象はいかがでしたか。

 第5回で井伊谷に再び日の光を差す人物だと伺って、一つの家に新しい風を吹き込む、温かな光を差しこむ人物であるという点にとても引かれました。笛の名手で幼少期は体が弱かったものの、屈強になって帰ってくるというギャップも魅力的でした。

-直親をどのように演じようと思っていますか。

 幼少期に父親の謀反が発覚して家を離れることになりましたが、井伊谷の状況は手紙などを通じて聞いていたんだと思っていて。その間に温めてきた自分の思いや苦労を重ねて形成された強い意志があるはずです。井伊谷の人々や家族、みんなの力添えで戻ってくることができたこの命を、井伊家のために捧げて一生懸命働く。そんな気持ちや姿勢をどう表現するのかということがとても面白く、日々トライさせていただいています。

-撮影現場の様子はいかがですか。

 現場で生まれたものや諸先輩方から頂くインスピレーションを大事にして、柔軟に演じたいと考えています。周りは本当に素晴らしい方たちばかりなので、間(ま)の取り方とか渋みとか、全部が勉強になります。緊張して多分、僕が一番NGを出しているのではないでしょうか(笑)。迷惑を掛けてはいけませんが、そういう緊張感はなかなか得られるものではないので、そんなところも大切にしながら過ごしたいです。

-たくましく成長した直親を演じるために、体作りはどのようにされましたか。

 この作品の前に、舞台で体作りはすでにしていたので、そのまま生かせました。さらに今回は、弓を引いたり馬に乗ったりするシーンがあります。以前から、いつか役立つと考えて乗馬クラブに通ったり、弓を習ったりという準備はしていましたが、今回改めて専門の方にご指導いただき、そのあたりもきちんとやりました。

-直親を演じていて、どんなことを感じますか。

 日本人として、日本の文化や歴史に関わる作品に出演させていただくことは財産になります。とてもいい機会を頂いていますし、所作の指導の先生が細かくいろいろなことを教えてくださることも、一つ一つが面白い。今後、時代劇に出演する機会があれば、物おじせずにぶつかっていけると思います。また、直親を守ろうとする井伊家の人々の思いやりは、芝居をしていても感じるので、家族のありがたみとか、寄り添ってくれる人の大切さみたいなものを、見ている方に感じ取ってもらえるといいですね。

-主人公のおとわの魅力とはなんでしょう。

 自分は二の次で、おいえのために尽くしていく大きな女性ですよね。それは幼少期から変わらず、誰よりも家のことを一番に思っているという神々しい生き方をしています。そんな中にも、時には思い切り泣いて、思い切り笑って、思い切りかわいらしい部分もある。神々しさの一方で、ちょっととぼけた愛らしい瞬間もある。そんな二面性だけではない、三面性とか四面性のある人物を柴咲コウさんが演じてくださっています。

-直親の幼なじみの小野政次(高橋一生)についてはいかがでしょう。

 幼少期からお互いにコンプレックスを見せ過ぎないようにして虚勢を張っているところがあります。お互いに自分が持ち合わせていないものを相手が持っていて、直親には人を引き寄せる魅力があり、政次は常に聡明な考えが頭をめぐっている。そんな2人が離れたりしながらも、回を重ねるごとに次第に寄り添っていくようになります。その結果、井伊家をこれから一生懸命みんなで盛り立てていこうという気持ちがきちんと成立するのに、それが一気に崩れて行くクライマックスが待っているのは悲しいですね。

-この作品は衣装も豪華ですが、演じる上で衣装が役立った部分はありますか。

 この作品の前に、舞台でドラァグクイーンの役を演じたのですが、舞台が終わった後も、その役を引きずった状態になってしまうんじゃないかなという不安があったのですが、衣装を身に付けたら気持ちが引き締まり、真逆の役に僕を置いてくれたので、本当に助かりました。また、衣装に関しては、直親は暖色系の色で政次は寒色系という対比を出すような工夫もされているので、そんなところも見ていただけたらうれしいです。

-柳楽優弥さんや菅田将暉さんなど、三浦さんと同じ1990年代生まれの俳優が今後、出演される予定になっています。同世代の俳優と同じ作品を作り上げていくことに対するお気持ちをお聞かせください。

 純粋にうれしいです。柳楽さんは高校の先輩なので、学校では顔を合わせていましたが、こうして初めて現場でお会いさせていただくと、やっとご一緒させてもらえるんだなと気持ちが高揚します。残念ながら芝居で交わる場面はありませんが、同じ作品に携わることができるのはすごくうれしいです。菅田くんは、他の作品で僕の生徒役を演じてくれたことがあり、当時からすごくすてきなお芝居をされる人だと思っていました。またこうして同じ作品を作れることはとても光栄です。

-撮影で印象に残った場面を教えてください。

 おとわと直親が互いに寄り添うことを諦める場面があります。そこは、おとわや井伊谷に対する直親の思いの強さを感じさせなければいけないと考えていました。直親にとっては、井伊谷に戻ってくる理由の中で、おとわのことが一、二を争うほど大きなものだったので、それがついえた時の衝撃の大きさを考えるとすごく切ない。その時の直親をどう演じたらいいのか、とても悩みました。泣いてしまう方がいいのか、武士らしく涙は見せない方がいいのか。そこで、撮影ではその両方を演じてみました。最終的には監督の判断なのでどちらが使われるか分かりませんが、印象深いシーンなので皆さんにも楽しんでもらえたらうれしいです。

(取材・文/井上健一)


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

生駒里奈が語る俳優業への思い 「自分ではない瞬間が多ければ多いほど自分の人生が楽しい」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年11月20日

 ドラマ・映画・舞台と数多くの作品で活躍する生駒里奈が、ストーリー性のある演劇的な世界観をダンスとJ-POPで作り上げるダンスエンターテインメント集団「梅棒」の最新作、梅棒 19th GIFT「クリス、いってきマス!!!」に出演する。生駒に … 続きを読む

史上最年少!司法試験に合格 架空の設定ではないリアルな高校2年生がドラマ「モンスター」のプロデューサーと対談 ドラマ現場見学も

ドラマ2024年11月17日

 毎週月曜夜10時からカンテレ・フジテレビ系で放送している、ドラマ「モンスター」。趣里演じる主人公・神波亮子は、“高校3年生で司法試験に合格した”人物で、膨大な知識と弁護士として類いまれなる資質を持つ“モンスター弁護士”という設定。しかし今 … 続きを読む

八村倫太郎「俊さんに助けられました」、栁俊太郎「初主演とは思えない気遣いに感謝」 大ヒットWEBコミック原作のサスペンスホラーで初共演『他人は地獄だ』【インタビュー】

映画2024年11月15日

 韓国発の大ヒットWEBコミックを日本で映画化したサスペンスホラー『他人は地獄だ』が、11月15日から公開された。  地方から上京した青年ユウが暮らし始めたシェアハウス「方舟」。そこで出会ったのは、言葉遣いは丁寧だが、得体のしれない青年キリ … 続きを読む

「光る君へ」第四十三回「輝きののちに」若い世代と向き合うまひろと道長【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年11月15日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。11月10日に放送された第四十三回「輝きののちに」では、三条天皇(木村達成)の譲位問題を軸に、さまざまな人間模様が繰り広げられた。  病を患い、視力と聴力が衰えた三条天皇に、「お目も見えず、お耳 … 続きを読む

「ローマの共和制の問題点は、今の世界が直面している数々の問題と重なる部分が多い」『グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声』コニー・ニールセン【インタビュー】

映画2024年11月15日

 古代ローマを舞台に、皇帝の後継者争いの陰謀に巻き込まれ、剣闘士(グラディエーター)として壮絶な戦いに身を投じる男の姿を描いたスペクタクルアクション『グラディエーター』。巨匠リドリー・スコットが監督し、アカデミー賞で作品賞や主演男優賞など5 … 続きを読む

Willfriends

page top