「九度山篇でも上杉での人質生活篇でもいいので、今すぐスピンオフをやりたいぐらいです」堺雅人(真田幸村)4 【真田丸インタビュー】

2016年12月18日 / 21:05

若き日の真田信繁

若き日の真田信繁

-三谷幸喜さんからの指示で一番印象的だったのは?

 最初のころ、(脚本を)テキストとしてあまりにも大事にし過ぎたらしく、「あと10パーセントぐらい現場の空気に身を任せてみたら」というアドバイスをいただきました。10パーセントという数字が、「好きにやって」と言われるよりも難しかった。きっと僕は頭でっかちになっていたんだと思います。そこが三谷さんの厳しさ。怖い人ですね。

-長い年月を演じる苦労は?

 最後は実年齢に近くて楽でしたが、最初の若作りは大変でした。よく頑張りました(笑)。それと撮影中はご飯をよく食べました。初ロケで草刈正雄さんが「ちゃんとご飯を食べた方がいいね」っておっしゃっていたのが耳に残っていましたから。次の主役の柴咲コウさんにもそう伝えようと思っています(笑)。

-“座長”としての1年、いかがでしたか。

 演技に関してはこんな素晴らしいメンバーはそうそういないので、楽しかった。スタジオに行くのが毎日楽しみでしょうがなかった。座長というより、相手の技や球を受け続ける役柄だったので、飽きなかったです。

-年間を通じて演技の転換点は?

 秀吉と出会う前後でリズムが変わります。最初は1話完結で丁寧に短編が積み重なって、14話からものすごく話がうねってゆっくりした動きになる。それが最後まで続きました。だから小日向秀吉との出会いは大きかったです。

-九度山での14年間は信繁から幸村になるヒントになりましたか。

 (放送にして)2回分ぐらいでしたが、九度山で初めて家族と向き合います。大助(浦上晟周)という息子とのふれあい、父と子の相克が深まるところ。それがないと大坂城に入城できなかったのだと三谷さんは踏んだんでしょう。

-信濃、大坂城、そして大坂の陣。それぞれで象徴的なシーンは?

 信濃は物見台の上で父上と「信濃は日本の真ん中ですから」というところ。大坂城では、やはり大坂城の大きな姿が象徴的で、バブルに浮かれていた街だったんだろうなと。交響曲で言えば、大坂篇は第2楽章ですね。時々そこに信濃のテーマが少し入るんだけど、基本的には同じテーマを繰り返している。石田三成を主人公にした短い第3楽章をはさんで、壮大な第4楽章で幕を閉じます。

-信濃はどんな存在ですか。

 信濃のような境目にいる人たちって、価値観が違う人たちとも共存しなくてはならないと思うんです。隣の村の文句をブツブツ言いながらも、相手を決して否定せず、共に生きる道を探す。それは信繁にとっても基本テーマだったはずです。でも家康たち田んぼの人たちは一つの価値観を押し付けて強力な組織を作ろうとする。真田が家康と相容れなかった背景にはそれがあると感じます。

-今は休みたい? それとも何かやりたい?

 いや、もう今すぐやりたい、九度山篇スピンオフでもなんでも(笑)。それと上杉家での人質生活篇でも。スピンオフ全5話ぐらいでどうでしょう。(景勝役の)遠藤憲一さんの都合がつけばすぐにでも。直江兼続(村上新悟)ももっと見てみたいし。ああ、いっぱいやりたい、明日にでもやりたいぐらいです(笑)。

-草刈さんは30年前に幸村を演じていました。今後、真田家の他の役で演じたい役はありますか。

 ないない。草刈さんの昌幸は越えられないでしょう。30年後、僕は70歳ですよって言いながら、やってみたいですね(笑)。昌幸以外では、信之が合っている気がします。どちらかというと兄が得意な僕が弟をやり、弟が得意な大泉さんが兄をやり、そこが面白いという話は2人でしていました。でも役者だから、やれと言われれば、秀吉も家康もやってみたいです。

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

多部未華子「学びの多い現場でした」DV被害者役に挑んだヒューマンミステリー「連続ドラマW シャドウワーク」【インタビュー】

ドラマ2025年12月1日

  -雰囲気のいい現場だったようですね。  中でもしのぶさんは、「これはこういうことなのかな?」といった感じで、積極的に質問をされるんです。その上、「私、緊張しちゃう」などと、ご自身の気持ちを織り交ぜながら現場にいてくださるので、私も質問が … 続きを読む

森下佳子「写楽複数人説は、最初から決めていました」脚本家が明かす制作秘話【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月1日

  ―確かにその通りですね(笑)。  ただ、大半は史実通りですが、(小田)新之助(井之脇海)とふく(=うつせみ/小野花梨)ととよ坊の一家、序盤に登場した蔦重の恩人の花魁・朝顔(愛希れいか)など、一部に私が創作したオリジナルキャラもいます。と … 続きを読む

富田望生「とにかく第一に愛を忘れないこと」 村上春樹の人気小説が世界初の舞台化【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年11月30日

 今期も三谷幸喜の「もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう」に出演するなどドラマや映画で注目を集め、舞台やさまざまなジャンルでも活躍する富田望生。その富田が、2026年1月10日から上演する舞台「世界の終りとハードボイルド・ワンダ … 続きを読む

【映画コラム】実話を基に映画化した2作『ペリリュー -楽園のゲルニカ-』『栄光のバックホーム』

映画2025年11月29日

『栄光のバックホーム』(11月28日公開)  2013年のプロ野球ドラフト会議で指名され、鹿児島実業から阪神タイガースに入団した18歳の横田慎太郎(松谷鷹也)。誰もがその将来に大きな期待を寄せていたが、突然横田の目にボールが二重に見えるとい … 続きを読む

氷川きよし、復帰後初の座長公演に挑む「どの世代の方が見ても『そうだよね』と思っていただけるような舞台を作っていきたい」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年11月29日

 氷川きよしが座長を務める「氷川きよし特別公演」が2026年1月31日に明治座で開幕する。本作は、氷川のヒット曲「白雲の城」をモチーフにした芝居と、劇場ならではの特別構成でお届けするコンサートの豪華2本立てで贈る公演。2022年の座長公演で … 続きを読む

Willfriends

page top