「私は茶々がどこかで生き延びていたという説の方を取りたいです」竹内結子(茶々)2 【真田丸インタビュー】

2016年12月18日 / 21:00

 NHKの大河ドラマ「真田丸」で、真田幸村(堺雅人)を頼りにしつつも、息子、豊臣秀頼(中川大志)を溺愛するあまり、適切な決断が下せなくなる茶々を演じている竹内結子。豊臣家の悲運と茶々の波乱の生涯を語る。

 

茶々役の竹内結子

茶々役の竹内結子

-クランクアップ時はいかがでしたか。

 「真田丸」での生活が終わってしまうんだなという寂しさが大きくて、無性に泣けてきました。学びが多い現場で、茶々という役を皆さんに育てていただいた感覚が大きかったです。

-信繁と離れ、14年を経ての再登場でしたが、年月を経た演じ分けは?

 台本には「それはそれは堂々としたもので」と書かれていたのですが、見た目の変化はあまり見せないということでしたので、声のトーンを少し下げて大きく出してみるようにしました。

-茶々が自ら陣羽織を着て出ていくシーンがありました。

 試しに着てみたらインパクトが強くて採用になりました(笑)。しゃしゃり出てきたお母ちゃん感が出ていたら大成功ですね。

-大河ドラマの醍醐味(だいごみ)は、歴史上の人物像を更新していく面白さです。新しい茶々像を打ち出せたと思いますか。

 三谷(幸喜)さんの台本には、ヒステリックな部分だけでなく、母親として、女としての感情や”もろさ”も描かれていたので、一人の人間として共感を持って演じることができました。演じたことで、あの時代に確かにそこにいたんだという実感も得られた気がします。作品によって人物像や印象が違って見えるところを面白いと感じてくださっていたらうれしいですね。

-信繁が幸村となって戻ってきました。

 想像していた面影とは違っていて茶々は驚いたでしょうし、一瞬で時間が戻ったはず。ひげがかっこいいし、何かを振り払ってきた風情がありました。

-2人の関係性に変化は?

 今までは自分が好きなように話し掛けるぬいぐるみのような、持っているだけで安心する一方的な働きかけの対象だったのが、どこか頼りにする気持ちの方が強くなっています。幸村の”話を聞く”ことが圧倒的に多くなりましたし、”守られたい”という感じでしょうか。

-表面的には手を握ったり抱きついたり、ライクよりラブに近い?

 ロマンスがあってもおかしくないけど、そこまでいかないという微妙なさじ加減ですよね。これは(茶々のような)甘ったれにしかできないこと。恋人というよりは兄や父に重ねるような。異性の部分は強くないと思います。

-大河で得たものは?

 一人で着物が着られるようになったことです。毎度のリハーサルのために自分で着付けをしていて、気づいたら着られるようになっていました。

-撮影現場の雰囲気は?

 皆さん自分にしかできない役柄だという誇りを持って演じているところがあったと思います。スタッフの皆さんも温かくて、とてもすてきな現場でした。

-印象に残っているシーンは?

 初対面した信繁の顔をぴたっと触って「割と好きな顔」って言うシーン。それと、石田三成(山本耕史)が桃の木を持ってくるシーン。あの場面では茶々の政治的な能力の無さを感じました。茶々は三成と家康(内野聖陽)が対立していることにも無関心ですし、大蔵卿局(峯村リエ)が豊臣の権力闘争に利用されることを懸念して三成から遠ざけようとしていることにも気付きません。姫という存在は大事にされ過ぎて周りが見えなくなると思ったシーンでした。

-大坂の陣の一番の敗因は?

 これでいいと決めたことがことごとく負の結果を招いていく感じがあって、ころころと悪い方へ転がっていきました。片桐且元(小林隆)をはじめ、秀吉の時代からの豊臣恩顧の家臣たちが大坂にいないという状況を作ってしまったこと。目先の結果ではなくもっと先を見すえて、物事を広く見て考えることができていたらと思いました。

-茶々の人生をどう振り返りますか?

 終盤で「逃げ出したい、死んでしまいたい」と言っている茶々に幸村が「生きる希望を持ってちゃんとあなたは一人で立っていきなさい」と気の持ち方を正すんですが、それがなければ殿下(秀吉)や誰かのせいにしたまま終える人生だったような気がします。「秀頼と生きるために彼を支え、生きる望みを捨てずにいよう」と考えが変わるんです。その望みを持って迎えたラストシーンだったのでもう、ね。私はどこかで生き延びていたんじゃないかという説をとりたい。茶々のお墓というものに対し、いやこんな所で眠ってなんかいないはず、フェイク(偽物)なんじゃないかと勝手に生存説を唱えています。私の思いの中だけでのことですからアリだと言わせてください。


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(2)大阪下町に生まれて

舞台・ミュージカル2025年8月28日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼講談は落ちない  「今日の話はオ … 続きを読む

原田琥之佑「この映画は、何でもあるけど、何にもないみたいなところが一番の魅力だと思います」『海辺へ行く道』【インタビュー】

映画2025年8月26日

 海辺の街に暮らす14歳の美術部員と仲間たちに起きたちょっと不思議なひと夏の出来事を小豆島でのロケで描く、横浜聡子監督の『海辺へ行く道』が8月29日から全国公開される。本作で主人公の高校生・奏介を演じた原田琥之佑に話を聞いた。 -最初に脚本 … 続きを読む

上田竜也&橋本良亮、舞台初共演を通して「絆はより強固になる」 音楽劇「謎解きはディナーのあとで」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年8月26日

 シリーズ累計500万部を突破する、東川篤哉による大ヒット小説「謎解きはディナーのあとで」が、舞台オリジナルストーリーで音楽劇として上演される。原作は、毒舌執事とお嬢様刑事が繰り広げる軽快なやりとりと本格的な謎解きが話題となり、2011年に … 続きを読む

青山貴洋監督「問診シーンが最大の課題に」日曜劇場『19番目のカルテ』【インタビュー】

ドラマ2025年8月25日

 体の不調を感じていても、何科を受診すべきか分からない…。そんな悩みを抱える人は少なくない。そうした現代の医療課題に向き合う存在が「総合診療医」だ。日曜劇場「19番目のカルテ」(TBS系)は、まさにその最前線で患者と向き合う医師たちの姿を描 … 続きを読む

中園ミホ 連続テレビ小説「あんぱん」は「やなせたかしさんが書かせてくださった」執筆を終えた脚本家が物語を振り返る【インタビュー】

ドラマ2025年8月22日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「あんぱん」。『アンパンマン』を生み出したやなせたかしと妻・暢の夫婦をモデルにした柳井のぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)夫婦の戦前から戦後に至る波乱万丈の物語は、いよいよクライマックスが近づいてきた。このタ … 続きを読む

Willfriends

page top