「三谷さんは家康に悪役になってほしくないという信号をたくさん埋め込んでいました」内野聖陽(徳川家康)【真田丸インタビュー】

2016年12月11日 / 20:45

 NHKの大河ドラマ「真田丸」で、何度も煮え湯を飲まされてきた真田昌幸(草刈正雄)の次男、幸村(堺雅人)と大坂の陣で激しい戦いに突入する徳川家康を演じている内野聖陽。戦国時代を終わらせたしたたかさの背景と人物造型の苦労を語る。

 

徳川家康役の内野聖陽

徳川家康役の内野聖陽

-撮影開始から1年以上がたちましたが、手応えは?

 真田の物語の中の家康は鬼退治の鬼みたいな存在だと思っていたんですが、三谷(幸喜)さんはのっけから、臆病で、慎重で、気の小さい男として描いたので、戸惑いました。でも、天下は狙っていなくて、一族の安寧のみを考えて、あそこまで偉大になっていったという物語になればいいと考えて演じてきました。徐々に大大名としての風格や威厳、たたずまいも見せながら、実は臆病だというのが時々垣間見えればいい。敵役というのを意識し過ぎると、ただの悪代官みたいな小物に見えてしまう。三谷さんは家康に悪役になってほしくないという信号をたくさん埋め込んでいたような気がします。

-真田は家康にとってどんな存在なのでしょうか。

 真田は信州の田舎侍で、対等に対峙(たいじ)するような存在ではなかったでしょう。常に日の本の体制を整理していた家康にとっては、真田は常に喉に引っかかった小骨みたいな感覚だったのでしょう。

-宿敵だった昌幸を演じた草刈さんとの思い出は?

 僕も草刈ロス状態です(笑)。草刈さん演じる昌幸こそが自分の敵という気持ちでしたね。草刈さんとの撮影の日は気合がいつもと違う感じでした。

-息子の秀忠(星野源)はいかがですか。

 戦国の一番厳しいところを生きてきた家康にとっては、頼りないんでしょうね。ゆとり世代に「もうっ」って感じているお父さんみたいな感じですか。

-幸村にはどんな気持ちを抱いていたんでしょうか。

 息子のようにも思い、なおかつちょっと恋に落ちているような存在です。

-恋ですか?

 彼を徳川家にリクルートしようとして断られるんです。その時なんかすごく振られた気持ちになりました(笑)。

-家康自身もだんだんと変わっていきますね。

 それは意識しました。石田三成(山本耕史)から自分を守るために大名に声を掛けたら、思いのほか集まってくれて、「いけるぜおいら」ってなった。三谷さん的には「行け」っていうサイン。それから(天下取りへの)アクセルを踏みました。

-新しい家康像を打ち出せましたか。

 そうだとありがたいですけど、庶民的な人に作り変えてしまったので、今まで神のようにあがめていた徳川ファンの方にはごめんなさいという感じですね(笑)。でもたぶん、家康公は笑って「こんなわしもアリだな」って思われている気がします。

-最終話の台本に「年がいもなく逃げる」というト書き(演技の指示)がありましたね。

 それまでに自分の考えで70代の家康を表現するために、よちよち歩きをするような演技をしていたんですが、最終話で「ことのほか健脚である」とあり、さらに走らされる(笑)。どうしようかと思いましたが、こんなおじいさんでも火事場のばか力で、怖い時にはダッシュを掛けるんだろうなという開き直りで演技をしました。

-幸村になって存在感は大きくなっていましたか。

 九度山に閉じ込めたやつがのこのこ出てきているわけですから、大坂城に入城したと聞いた途端に、まずい、危険分子に脱獄されたなというのがあった。それが今や大坂城の精神的リーダーになっているわけで、家康にとっては怖い存在だったと思います。

-堺さんは役者としてどうですか。

 彼は博士ですね。非常に研究熱心で、物事を多面的に捉えている。大河の主役の場合、「自分が(先頭に立って)やらなくちゃ」というふうになるものですけど、彼はそれが一切ない。というか感じさせない。むしろ相手の人が喜んでいるのを見てニコニコしている人。受け芝居の名手ですね。稀有な役者さんだなと思って見ていました。

-家康役は役者人生の中でどんな意味を持つものになりそうですか。

 毎週出ているけど、出番は時々。要所要所で家康が巨大に存在しているという物語にしないといけないので、時々出てきてもインパクトが強くないといけない。それが難しかった。広告用語で「短い滞空時間で非常に魅力的でインパクトのある印象を残すこと」を「フックが利いてる」っていうらしいんですけど、まさに家康をフックの利いた感じにしないといけなかった。瞬間、瞬間にどう魅力的に爆発していくかという、演技者としてためになりましたね。


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】2月前半の公開映画から『ほどなく、お別れです』『クライム101』『ブゴニア』

映画2026年2月21日

『ほどなく、お別れです』(2月6日公開)  就職活動に苦戦する美空(浜辺美波)には、亡くなった人の姿が見え、声を聞くことができるという秘密があった。そんな彼女の能力に気付いた葬祭プランナーの漆原(目黒蓮)は、美空を葬祭プランナーの道へといざ … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(12)道明寺天満宮と歴史の英雄たち ~野見宿禰、白太夫、そして道真~

舞台・ミュージカル2026年2月19日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。     ▼相撲 … 続きを読む

小林聡美、名作ドラマ「岸辺のアルバム」 舞台化は「今の時代も共感できる」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年2月19日

 小林聡美が主演する舞台「岸辺のアルバム」が、4月3日から上演される。本作は、数々の名作ドラマを世に残した山田太一が原作・脚本を務め、1977年に放送された連続ドラマを舞台化。一見平和で平凡な中流家庭の崩壊と再生を描く。ドラマでは八千草薫が … 続きを読む

「豊臣兄弟!」第6回「兄弟の絆」 序盤の集大成となった小一郎必死の説得【大河ドラマコラム】

ドラマ2026年2月17日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=小一郎/仲野太賀)が、兄・秀吉(=藤吉郎/池松壮亮)を支え、兄弟で天下統一を成し遂げるまでの軌跡を描く物語は快調に進行中。2月15日に放送された第6回「兄弟の絆」 … 続きを読む

名取裕子「“ぜひ友近さんと”とお願いして」友近「名取さんとコンビでやっていきたい」2時間サスペンスを愛する2人が念願のW主演『テレビショッピングの女王 青池春香の事件チャンネル』【インタビュー】

映画2026年2月16日

 「法医学教室の事件ファイル」シリーズを始め、数多くの2時間サスペンスで活躍してきた名取裕子。そして、2時間サスペンスを愛する人気お笑い芸人の友近。プライベートでも親交のある2人が、“2時間サスペンス“の世界観を復活させた『2時間サスペンス … 続きを読む

Willfriends

page top