エンターテインメント・ウェブマガジン
『チェスト!』、『リトル・マエストラ』などを手掛けてきた雑賀俊朗監督の『カノン』が10月1日から公開される。本作は、亡くなったと思っていた母が生きていることを知った三姉妹が、秘められた母の過去をたどる中で、自らの傷と向き合い、未来へ踏み出す姿を描いた物語。主人公の三姉妹を演じた比嘉愛未、ミムラ、佐々木希が、撮影の舞台裏と作品に込めた思いを語った。
ミムラ みんな三人きょうだいなんですよ。だから「きょうだいっていっても、別に似ているわけじゃないよね」ということで考えが一致して、一緒にいても楽でした。
比嘉 本当に素でいる感覚でした。だから、何かしたということはなくて、自然に「大丈夫だ」と思えたんです。演じるにも限界があるし、空気感ってなかなか出せないと思うので、三人で共演できたのは不思議な縁だなと。カメラが回っていない時にいろんな話をする時間もたっぷりありました。そんなところから、姉妹らしさが出たのかもしれません。
比嘉 自分の役はどうしても自分の目線でしか捉えられないので、がんじがらめになっちゃうんです。でも、ちょっと相談することで、「こういう捉え方もありなんだな」って広がったので、みんなに助けられました。
ミムラ それぞれが幼少期のトラウマやモラハラ、アルコール依存症という問題を抱えた役を演じていたので、一人で考えているよりも、話している時の一言が「あ、そうかも」ってヒントになることはあったよね。
佐々木 聞いてもらえるだけで、すごく心強くてうれしかったです。
比嘉 保奈美さんが、一番苦しくて大変だったと思います。いつもキラキラしたイメージの保奈美さんがげっそり痩せられて、撮影の3週間はずっと役に入っていらっしゃったので、すごく緊張感がありました。多分、現場では誰とも話していないんじゃないでしょうか。「おはようございます」ってあいさつするだけで。
ミムラ 私は以前、保奈美さんと共演させていただき、その時はとても楽しくお話ししてくださいました。でも、今回は全く違う役作りだったので、ずっと緊張感がありましたね。
佐々木 話し掛けてもいいのかどうか悩んでいたんですけど、撮影初日に役作りされている雰囲気から気軽に話しかけてはいけないと思いました。でも、完成した映画の試写の時にお会いしたら、明るく話し掛けてくださって、撮影中の雰囲気とは全然違っていたのでホッとしました(笑)。
比嘉 保奈美さんがクランクアップの時、終わった瞬間に「終わった!」って、すごい笑顔を見せてくれたんですよ。それまでは全く見せなかったのに。それだけプレッシャーもあったんでしょうけど、覚悟が感じられて、女優の先輩としても尊敬しました。
比嘉 あそこは、私たち吹き替えなしでピアノを練習して頑張りました。特に思い入れが強いシーンなので、ぜひ見ていただきたいです。
ミムラ 私だけピアノ経験者で、楽器の絡む撮影もしたことがあったので、100パーセントやっておいても撮影になると緊張で目減りすることが分かっていました。だから、150か200までやっておこうって(笑)。
比嘉 アドバイスを頂いてやりました。私とのんちゃん(佐々木)は人生初のピアノで、1カ月ちょっとぐらいかけて練習するところから始めたので。
佐々木 電子ピアノをお借りして自宅でも練習したり。やればやるほど上達するのを感じられたので、本当に1カ月間頑張りました。
比嘉 お互い別の仕事もやりつつ、クランクイン前に三人で集まって練習もしたので、絆も深まったと思います。
比嘉 それはすごく考えました。モラハラやアルコール依存症みたいに名前がついているものばかりじゃなくて、小さな傷から大きな傷まで、生きていく上で何かしらの傷を抱えてない人はいないと思います。主人公の三姉妹も、分かってはいるけど逃げていたんです。でも、踏み出せたからこそ、明るい方へ進んで行ったんです。だから、やっぱりその時はつらいですけど、私は踏み出すべきだと思います。
佐々木 私も一緒です。この三姉妹は助け合うことで前に進むことができたのですが、一人っ子の方もたくさんいらっしゃいますよね。例え一人っ子だとしても、周りに支えてくれる人はたくさんいると思うので、勇気を振り絞って踏み出してほしいです。
ミムラ 私も基本的には二人と同じ考え。ただ、問題に取り組もうとしたときに、発生地点が自分だと逃げられないので、うっかり手を付けて崩壊する危険性もありますよね。そういった意味では、“時間薬”っていうのも結構効くと思うんですよ。あんなに気になっていたのに、5年たったらそうでもないとか。だから、時間薬と向き合うことの二つをうまく使い分けてほしいなって思います。
比嘉 男性、女性、年齢を問わずいろいろな方に見ていただきたいです。きっとどれかの役に、自分とリンクする部分があると思うので。とてもディープで切ないシーンもあるんですけど、決して暗いだけではなくて、未来に向かって歩み出せるパワーになればいいなと思いながら作ったので、きっとそれが作品に出ていると思います。
佐々木 一つのテーマだけでも一本の映画になりそうなものがいくつもあって、とても重い内容ですけど、未来に向かっていくというところは大きな見どころになっていると思います。
ミムラ 撮影はほとんど富山県で行なったんですが、1時間前に晴れていてもあっという間に雨が降ったり天気の変わりやすい土地で。その中で複雑な感情を演じていると、「ちょっと難しいな」と感じていたものが、不思議なほどうまく運ばれることがあって、土地の力にすごく助けられました。地元の方々にもご協力いただき、行ったかいがあった映像もたくさんあるので、そこも一つの見どころです。
10月1日(土)から角川シネマ新宿ほか全国順次公開。
(取材/文 井上健一)
ドラマ2026年9月26日
9月28日から2026年後期連続テレビ小説「ブラッサム」が、NHKで放送開始となる。主人公は、明治、大正、昭和を駆け抜け、自由を求め続けた作家・宇野千代をモデルにした葉野珠。彼女が苦難の中でも「幸せのかけら」を見つけ、常に前に進むことで人 … 続きを読む
映画2026年9月25日
『ハート・オブ・ビースト』(9月25日公開) かつて陸軍特殊部隊で生死を共にした退役軍人のジェームズ(ブラッド・ピット)と、元軍用偵察犬で義足のオーディン。戦場を離れた現在も、彼らは相棒として深い絆で結ばれていた。 ところがアラスカ上空 … 続きを読む
映画2026年9月24日
十三代目市川團十郎白猿の襲名と八代目新之助の初舞台を正面から捉えた、三池崇史監督のドキュメンタリー映画『襲名』が、9月25日から全国公開される。映画の公開を前に、團十郎、新之助親子に話を聞いた。 -まず、映画を見て感じたことから伺います。 … 続きを読む
映画2026年9月18日
横溝正史原作の名作ミステリーが、令和の時代によみがえる!これまで繰り返し映像化されてきた『八つ墓村』が装いも新たに映画化され、9月18日から全国公開となる。 岡山県の山奥にひっそりとたたずむ八つ墓村で起きる連続殺人の謎に、名探偵・金田一 … 続きを読む
映画2026年9月18日
沖田修一監督が、年齢も育った環境も異なる3人の「さとこ」という女性の人生が交差していく様子をオリジナルストーリーで描いた『さとこはいつも』が、9月18日から全国公開。本作で、35歳の沙都子を演じた有村架純、55歳の里子を演じた石田ひかり、 … 続きを読む