「夫婦2人でいる時は照代が主導権を握っています」 森田照代(平岩紙) 【とと姉ちゃん インタビュー】

2016年9月2日 / 14:23

 高畑充希がヒロインを演じる連続テレビ小説「とと姉ちゃん」。第100回からは常子たちが以前に住み込みで働いていた仕出し屋、森田屋の主人・宗吉(ピエール瀧)とその妻・照代(平岩紙)が再登場。終戦により東京に戻ってきた2人は洋食屋「キッチン森田屋」として新たな一歩を踏み出した。平岩が朝ドラに登場するのは「ちゅらさん」(01)、「ゲゲゲの女房」(10)に続き3度目。常子たちを温かく見守る夫婦を演じる上で、大切にしていることや共演者とのエピソードを語った。

 

森田照代役の平岩紙 

森田照代役の平岩紙

-約2カ月ぶりに撮影に入った時の現場の様子はいかがでしたか。

 常子たちに久々に会ったら、大人びていてちょっと寂しくなりました(笑)。あれ、色気づいた?って…。自分もまだ36歳なんですが、常子たちに会うと“大人になったなぁ”と感じます。

-再登場に際して、役作りで意識したことはありますか。

 表には見せないのですが、夫婦2人でいる時は照代が主導権を握っているんだなと、瀧さんとも、お互いにそう思ってやってきました。(宗吉の母の)まつさんがいなくなって、照代もしっかりしなきゃと思う半面、自分も年を取ってきているので、前よりも夫婦で仲良く支え合っているような印象です。

-外見からのアプローチもありますね。

 はい。瀧さんもコックの姿になっているし、私もシワを増やしたり、髪を分けて白髪にしたりなど、見た目がまず変わっています。前より落ち着いて腰が据わった感じになっていると思います。

-照代はどんな人物だと思いますか。

 肝が据わっている人です。ほんわかとしているけど、考えをちゃんと持っていて、たまにすごく辛辣(しんらつ)なことを言ったりもするけど嫌味はない。ある意味、裏表がないんです。

-平岩さんと照代さんとは似ている部分はありますか。

 似ているかもしれない。親には「すごく頑固だ」と言われるし、決めたことは曲げないタイプなので。照代よりも頑固です(笑)。ほかにも、共通点はあります。自分ではあまりのんびりしているとは思っていないけど、周りの人にそう思われていたり、モニターで自分の映像を見た時に、動きがすごく遅いなと自分でもびっくりすることがあります(笑)。

-宗吉は年齢を重ねたことで少し穏やかになったイメージがありますが。

 怒鳴らなくなりました。怒鳴る相手もいないんですよね(笑)。

-ミュージシャンでもあるピエール瀧さんとの共演はいかがですか。

 体も心もでっかくて器も大きいし、めちゃくちゃ優しいです。リハーサルの時も全体を見ていて、「ここ違和感あるよ」という部分があれば監督に伝えてくれる。みんなの思いをまとめるリーダー的な存在です。それでいて圧力もない。すごく自然で優しい方です。

-演技についての印象はいかがですか。

 自然体だけどちゃんと考えて役作りをされている。音楽をやっている方の演技に私自身すごく興味を持っているんです。役者だと「こういうせりふはこうしゃべる」といった、せりふのリズムがメソッドのように決まっている部分があるのですが、音楽の人ってそれをいい意味で乱してくれる。それが楽譜みたいで、いきなりビョーンと違う音符にいったりするのが面白いなって思っていて。昔、忌野清志郎さんとご一緒した時も「こういう球を投げるんだな」って感動しました(笑)。

-先ほど言っていた、平岩さんの頑固さを示すエピソードを聞かせてください。

 私が「役者になる」と言い出した時も、やると言ったら曲げないので、親も意外と驚かずに「じゃあ東京に行きなさい」とパーッと送り出してくれたんです。私が幼いころにちょっと病気をしてしまったこともあって、「こうしなさい」「ああしなさい」という家庭ではなく、やりたいことをやらせてあげようという環境で。それが今につながっていると思います。

-平岩さんが女優をやっていくうえで心掛けていることは?

 仕事では柔軟でありたいし、監督の言うことも聞きますが、昔からどこかで平岩としてのスパイスを効かせたいなというのはあります。自分が出させてもらう意味をなんとなく残せたらいいなと。名前を知らなくても「この役者さんまた出てる」と思ってもらえるような存在でありたいです。

-今回も味のある役柄ですが苦労はありますか。

 自分が体験したことのない年齢を演じるのがすごく難しいです。背伸びをしている状態で演技をしているんですけど、それを見せたくないというのもあって(笑)。自分の母親だったらこんな時にどんな顔をするだろうって、身内の表情を想像しながら頑張っています。

-余裕なのかなと思っていました。

 全然です!(笑)。声のトーンを落としたりして、工夫しながらやっています。

-役柄と同様、女優としても新しい世代を見守る立場になってきました。

 年を取ってくると監督にあまり怒られないと聞くし、先輩からも「怒られた方がいいよ」と言われてきたのですが、中堅になると本当に言われなくなるので、やばいやばいと思って(笑)。自分より若い人が増えているのでもっとしっかりしなきゃと思います。


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【週末映画コラム】人気シリーズの最終章『ブリジット・ジョーンズの日記 サイテー最高な私の今』/実際の元収監者たちが演劇メンバーを演じる『シンシン SING SING』

映画2025年4月18日

『ブリジット・ジョーンズの日記 サイテー最高な私の今』(4月11日公開)  ブリジット(レニー・ゼルウィガー)は、4年前に最愛の夫マーク(コリン・ファース)を亡くし、深い悲しみを抱えながらシングルマザーとして2人の子どもを育てていた。自らの … 続きを読む

神山智洋&中村海人、ドラマ初共演で“ブラザーバディ”が誕生 神山、中村は「かわいい弟という感覚」

ドラマ2025年4月18日

 WEST.の神山智洋とTravis Japanの中村海人が出演する、土ドラ「ミッドナイト屋台~ラ・ボンノォ~」(毎週土曜23時40分放送/東海テレビ・フジテレビ系)の第2話が4月19日に放送される。  本作は、味覚を失ったスゴ腕フレンチシ … 続きを読む

三浦透子「その先で自分がどんな人間になっているのか、自分でも楽しみ」 舞台パルコ・プロデュース 2025「星の降る時」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年4月14日

 映画『ドライブ・マイ・カー』、舞台「ロスメルスホルム」で数々の賞を受賞し、さらに歌手としても第70回NHK紅白歌合戦に出演するなど、多才な活躍を見せる三浦透子。その三浦が、5月10日から上演する舞台パルコ・プロデュース 2025「星の降る … 続きを読む

石坂浩二 松平武元役は「渡辺謙さんと相談しながら、お芝居を工夫しました」【大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」インタビュー】

ドラマ2025年4月13日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、快調に進行中。4月13日放送の第15回「死を呼ぶ手袋」では、次期将軍候補だった徳川 … 続きを読む

ラミ・マレック、レイチェル・ブロズナハン「主人公はいわゆるスパイスリラーには出てこないようなキャラクター」『アマチュア』【インタビュー】

映画2025年4月11日

 戦闘や暗殺については全くの素人であるCIA職員の男が、妻を殺したテロリストへの復讐(ふくしゅう)に乗り出す姿を描いたアクションサスペンス『アマチュア』が、4月11日から全国公開される。本作で内気な愛妻家の主人公チャーリー・ヘラーを演じたラ … 続きを読む

Willfriends

page top