「台本は三谷さんの匂いがします」岸井ゆきの(たか)【真田丸 インタビュー】

2016年7月16日 / 08:32

 NHKの大河ドラマ「真田丸」で、主人公真田信繁(堺雅人)の三人目の妻となる、豊臣秀次(新納慎也)の娘たかを演じている岸井ゆきの。決断力のなかった父を反面教師にして冷静でたくましく育ったたかの思いを語る。

 

たか役の岸井ゆきの

たか役の岸井ゆきの

-出演が決まったときの気持ちは?

 マネジャーからいきなり連絡がきて、「決まりました」と。「うそでしょ、うそでしょ」とタメ口になってしまうぐらいびっくりしました。

-大河ドラマに憧れはありましたか。

 着物での演技や所作も経験してみたくて、時代劇に憧れがありました。実際着物を着てみると、次の日、背中が筋肉痛になるぐらい体がこわばってしまいました(笑)。

-大河の撮影現場はいかがですか。

 厳粛な空気というか、よりプロフェッショナルな印象を受けました。

-たかという役柄をどうとらえていますか。

 幼いけれど賢くて、遠くから全体を見られる子だと思います。

-秀次との共演のシーンは?

 残念ながらなかったんです。リハーサルや撮影の時に新納さんとお話はしましたが、優しくて、劇中のキュートな秀次がそのまま画面から出てきたみたいで、すぐ心を開いてお話することができました。役としての父・秀次はすごく波があるんです。順調な時は順調ですが、一つ気になってしまうとわっとなる。父を反面教師として見ていたために、たかは冷静に物事を見られるようになったのかなと思いました。

-たかの魅力は?

 台本から、何か背負っているものがある、少しミステリアスな感じを受けました。自分の中にあるミステリアスな要素をなんとか絞り出しました(笑)。

-周りの反響は?

 いろんな人に「良かったよ」と言われて肩の荷が下りました。母からは「良かったよ」と一言。友人からは「見たよ」だけで感想がなくて逆に不安になりました(笑)。

-撮影での堺さんの様子はいかがでしたか?

 初登場のシーンを終えて、すぐにかつらを取りに行こうとしていたら、堺さんが私からは見えない後ろの方で「この子のこと、舞台で何度か見ていて、前から知っていたんだよ」とスタッフさんに言ってくださっているのが聞こえたんです。気を遣って下さって。すごく胸がジーンとして、かつらをつけ直してまた撮りたいなと思うぐらい、気持ちが(前向きに)変わりました(笑)。

-印象に残っている信繁とのシーンは?

 きり(長澤まさみ)さんがいろいろあって泣いているのに、「妻をめとることになった、二人だ」って信繁さんが告げているところに、淡々と私が出てきて、あっけらかんと「よろしく」という感じでお辞儀をするシーンです。

-従来の三谷幸喜作品をどう見ていましたか。「真田丸」の台本を読んだ感想は?

 映画『ラヂオの時間』がとても好きです。台本は三谷さんの匂いがするし、「私が三谷さん作品に出られるんだ」と思ってすごくうれしかったです。具体的に絵が浮かんでくる台本で、地面から1センチ浮いているような感じというか。たかはこの作品の中では少し闇を抱えている感じはしましたが、次の出演シーンはすごくポップに描かれているようなので、より深く三谷さんの世界に入り込めるのではないかと楽しみです。

-大河を経験してご自身の演技が変わる予感はありますか。

 今後、違う作品でも、もっと開放的に取り組めるのではないかという予感はしています。

-緊張しないようにいつもするルーティンはありますか。

 いつもはジャンプをしたり、音楽を聴いたり、ストレッチをしたり。着物ではそれもできないので、自分の安心できるポプリの匂いをかいでいました。

-たかは一時異国に旅立ちますが、どうなって日本に帰ってきてほしいと思いますか。

 あの時代に異国に行くわけですから、「何だってできるぜ」という強い(心と)体になって帰ってきてくれればいいですね。


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

橋本愛 演じる“おていさん”と蔦重の夫婦は「“阿吽の呼吸”に辿り着く」【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年8月16日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、快調に進行中。本作で蔦重の妻・ていを演じているのは、今回が4度目の大河ドラマ出演で … 続きを読む

山里亮太「長年の“したたかさ”が生きました(笑)」 三宅健太「山里さんには悔しさすら覚えます(笑)」STUDIO4℃の最新アニメ『ChaO』に声の出演【インタビュー】

映画2025年8月15日

 『鉄コン筋クリート』(06)、『海獣の子供』(19)を始め、個性的なアニメーションを次々と送り出してきたSTUDIO4℃。その最新作が、アンデルセンのおとぎ話『人魚姫』をベースに、人間の青年・ステファン(声:鈴鹿央士)と人魚王国のお姫さま … 続きを読む

ウィリアム・ユーバンク監督「基本的には娯楽作品として楽しかったり、スリリングだったり、怖かったりというところを目指しました」『ランド・オブ・バッド』【インタビュー】

映画2025年8月14日

 ラッセル・クロウとリアム・ヘムズワースが共演し、戦場で孤立した若手軍曹と、彼を後方から支援する無人戦闘機のベテラン操縦官の闘いを活写したサバイバルアクション『ランド・オブ・バッド』が8月15日から全国公開された。米海軍全面協力のもと、入念 … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(1)“たまたま”が導いた講談の道

舞台・ミュージカル2025年8月14日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼みなさん、こんにちは  日本の伝 … 続きを読む

原嘉孝×いとうあさこ、timelesz加入後初の舞台主演に「timeleszを背負っています」 舞台「ドラマプランニング」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年8月11日

 脚本家・演出家の山田能龍、いとうあさこによる劇団山田ジャパンの2025年9月公演「ドラマプランニング」にtimeleszの原嘉孝が出演する。  本作は、テレビ業界におけるドラマ制作現場を舞台とし、ほれ込んだ漫画の映像化で初のチーフ作品を担 … 続きを読む

Willfriends

page top