「歯磨き粉の最後みたいに色気をぎゅーっと絞り出しました」中島亜梨沙(吉野太夫) 【真田丸 インタビュー】

2016年7月17日 / 20:45

 NHKの大河ドラマ「真田丸」で、豊臣秀吉(小日向文世)さえ翻弄(ほんろう)した才色兼備の名妓、吉野太夫を演じている中島亜梨沙。華やかで機知に富む雰囲気と権力者を相手にする緊迫感が同居する酒席ならではの空気感を表現する苦労を語る。

 

吉野太夫役の中島亜梨沙

吉野太夫役の中島亜梨沙

-吉野太夫のすごさはどこにあると考えていますか。

 美貌だけではなく、お琴や貝合わせなど全ての芸事に通じています。和歌や俳諧もたしなみ、経済についての知識も持っていて、現代から見てもパーフェクトな女性です。

-演じる上で意識したことは?

 遊郭の一番上の位にいる吉野太夫像を崩さないように演じました。男性が上に立つ時代の中で、一人で生き抜いている職業婦人という女性の強さを出せるように意識しました。着物の裾さばきや舞や唄の様子など、醸し出される雰囲気に人がはっとするように心掛けました。特に女性から見ても一目置かれるような人でないといけませんから。

-役作りで何か準備したことはありますか。

 実は「吉野太夫」というのは京都の太夫に代々伝わる名跡で、2代目は史実にも文化人として残る有名な女性なのですが、私が演じる初代は資料がほとんどありません。ですので、三船敏郎さんが主演した映画『続宮本武蔵 一乗寺の決闘』で木暮実千代さんが演じた初代吉野太夫を参考にしました。木暮さんほどの妖艶さや美しさは出せないので、自分が演じることで出る持ち味を生かしていこうと思いました。2代目からもイメージを借りています。

-所属されていた宝塚歌劇団では和物も踊ったと思いますが、今回は何か違いはありましたか。

 宝塚の舞台は広いので、遠くのお客さまにも分かるぐらい、エンターテインメント性いっぱいに大ぶりに踊っていましたが、お座敷で踊る太夫だと、すぐそばにいる真田昌幸(草刈正雄)や秀吉の目線を捉えて離さず、色気をしっかりと届けなくてはなりませんでした。

-衣装はいかがですか。

 すごく豪華でかわいいです。赤は女性を華やかに見せますね。

-主役の堺雅人さんや昌幸役の草刈正雄さんにはどんな印象を持ちましたか。

 堺さんはいろんな気配りをされている方で、信繁という役をとても落ち着いて演じていらっしゃいます。「真田丸」を楽しんでいる印象があって。信繁そのままの印象です。草刈さんは女心をくすぐるダンディーな、ワイルドさがすてきです(笑)。

-太夫はその昌幸をメロメロにする役柄です。

 手練手管というか女性の武器で迫っていくという強い気持ちを持って臨みました。草刈さんの色気に自分が負けてはならないと、まるで歯磨き粉の最後みたいに色気をぎゅーっと絞り出しました(笑)。

-演じてみて初めて気づいた吉野太夫の新たな魅力は?

 彼女自身に懐の広さや教養の豊かさがあることで、演じる私も芝居をしている時、不思議と余裕が生まれてどっしりとしていられました。衣装を着ると吉野太夫にどれほど度胸があるかを感じることができました。

-しばらく出演シーンがありませんでしたが、再登場です。

 前はそそとした吉野太夫、今回は少し様子が違います。ある任務を帯びているため緊張感はありつつも、表面的には分からないように演じています。後で視聴者の方があっと思って巻き戻して見た時に、初めて「ここの表情はこうだったんだ」と分かる程度の微妙な心情のやり取りが台本にうまく書き込まれていますので、そこに乗っかって演じることができました。化粧は一緒ですが、根底に流れているものが違うので、そこはじっくり見ていただきたいです。見分けるポイントは切羽詰まっている雰囲気や必死さ、そして色気の出方でしょうか(笑)。

-寺島進さん演じる出浦とのシーンはいかがでしたか。

 殺気が出ているなというのは分かりました。寺島さんの顔が怖かったです(笑)。普段は飛び抜けて明るい方なんですが。


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

丘みどり、ジャッキー・ウー監督「もっとうまく歌えと言われたことは何度もありますが、もっと素人っぽく素朴に歌ってほしいというのは初めてでした」『演歌の坂道』【インタビュー】

映画2026年10月29日

 乾物屋の女将として家族を支えながら、48歳にして演歌歌手の道を歩み始めた女性の奮闘を描く『演歌の坂道』が、10月16日から全国公開された。本作でヒロインの高橋良子を演じ、映画初主演を務めた演歌歌手の丘みどりに話を聞いた。 -監督、本作を製 … 続きを読む

「それぞれの年代で、あの時これをやっていたなという見方ができるのも面白いです」渡辺いっけい『月影のゴールデン街』【インタビュー】

映画2026年10月29日

 長年にわたり、テレビ界で活躍してきた錦信次監督が63歳にして長編映画監督デビューを果たし、新宿ゴールデン街を舞台に描いた人間ドラマ『月影のゴールデン街』が、10月30日から全国順次公開される。本作の主人公でスナックのマスター青木を演じた渡 … 続きを読む

UTA「ぜひ映画館でこの恐怖を肌で感じてほしいです」『クレイフェイス』【インタビュー】

映画2026年10月28日

 犯罪と腐敗がはびこるゴッサム・シティ。新進ハリウッドスターのマット・ヘーゲンは事故で美しい顔を失う。再起への執念から禁断の治療に手を出した彼は、元の顔を取り戻すが、その副作用で体に恐ろしい異変が起こり、心身ともに狂気にむしばまれていく。D … 続きを読む

【映画コラム】世界が揺らぐとき、人間は何をするのか…『DIGGER/ディガー』『ディスクロージャー・デイ』

映画2026年10月20日

『DIGGER/ディガー』(10月9日公開)  石油採掘会社のCEOとして君臨するディガー・ロックウェル(トム・クルーズ)の、利益しか考えない強欲な行動によって氷河に亀裂が生じ、地球規模の環境災害が発生する。コンプソン大統領(ジョン・グッド … 続きを読む

堂本光一演出「百鬼夜鏡」、「期待を超える作品を作っていけたら」川﨑皇輝×内村颯太×元木湧×北川拓実×安嶋秀生×松尾龍【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年10月20日

 堂本光一が構成・演出を務める舞台、EX THEATER ARIAKE OPENING LINEUP「百鬼夜鏡」が、11月3日からEXシアター有明で上演される。本作は、 “人ならざる力”を持ち、恐怖や災いを象徴する鬼と、室町時代にタイムスリ … 続きを読む

page top