【軍師官兵衛インタビュー】鶴見辰吾 「官兵衛の瞳の奥に何かを感じた」 官兵衛を認める思慮深い小早川隆景役

2014年8月28日 / 17:15

 NHKで放送中の大河ドラマ「軍師官兵衛」で、毛利元就の三男、小早川隆景を演じている鶴見辰吾。隆景は羽柴秀吉(竹中直人)軍と激しく敵対するが、和睦の過程で黒田官兵衛(岡田准一)の実力と人間性に触れ、生涯にわたって互いを認め合う仲になる。戦国を見抜く隆景の確かな眼力と、官兵衛との熱い絆について鶴見が語った。

 

小早川隆景役の鶴見辰吾

-周囲の反響はいかがですか。

 (趣味の)自転車のSNSで、いつもは普通に僕の名前を呼んでいる人が「小早川殿…」って書いてメッセージを書き込んでくれました(笑)。ちゃんと見ていてくれたんです。

-撮影前の隆景のイメージは?

  思慮深い武将という印象でした。兄の吉川元春は猛将と言われる武闘派でしたが、隆景は思慮深く毛利を支えた。そのバランスの良さが毛利家を平和裏に発展させたんでしょう。彼は約束していたことを必ず守る人で、領地を治めるときも家臣たちとの約束を守った。だから報奨や禄を渡すときもかなり苦労したとか(笑)。そういう律義さが魅力的で、地味だが味わい深い人間だと思いました。

-演じる上で気を付けていることはありますか。

 兄の元春(吉見一豊)との対比とか、おいの毛利輝元(三浦孝太)に対する態度や言葉などを意識しながら演じています。隆景は父である元就の言いつけをちゃんと守る人。以前、大河ドラマの「毛利元就」(97)で毛利家の家臣、桂元澄を演じたので、元就をすぐにイメージできて助かっています。

-官兵衛役の岡田さんについてはいかがですか。

  すごみを増してきて頼もしい。隆景は目と目を合わせたときに官兵衛の瞳の奥に何かを感じたんでしょう。「もっと官兵衛は悪人顔をしていると思っていたが、意外と優しい目をしている」という隆景のせりふがありますが、実はそこで官兵衛のことを認めたのでしょう。この男はこの時代を生き抜く鍵を持っているのではないかと思った。友人になる準備はできていたんじゃないかと思います。

-岡田さんとは演技のことで話はしていますか。

  していません。テニスの試合みたいなもので、役者としては、「こう来たな」とか「こう来るのか」みたいな受け止め方です。それを楽しんでいます。

-岡田さんの演技の魅力は?

  心からちゃんと表現をしていること。それと彼の「いかに説得力を持って作品に臨むか」という姿勢が、家臣団の俳優たちにまとまる力を持たせています。彼は後ろ姿で引っ張っていく俳優ですね。

-大河ドラマの面白さをどんなところに感じますか。

  みんなが「大河ドラマの重々しいせりふをどういうふうに自分なりのものにして演じようか」と考えて、俳優としての技量を撮影現場に持ち寄る。それをみんなで見比べながら調和させていく、これが大河ドラマの醍醐味です。緊張感の中でいかにみんなの思いが最大限に反映されたシーンを作るか。スタッフも含めて一個の目標にみんなが向かっている。緊張と緩和の繰り返し、それが面白いところです。

-今回は“ご臨終”のシーンもありますね。

  大河では悲惨な死に方が多かったんですけど、初めて畳の上で死にます。盟友に見守られながら人生を全うする。それは真面目に生きてきた人間へのご褒美なのかなと思っています。

-隆景は官兵衛の弱点を唯一知っていた人間のようにも思います。今後の二人の関係をどのように演じていきますか。

  官兵衛はあちこち動き回って調略をしたり、主君のために飛び回っている。隆景はよほどのことがないかぎりは兵も動かさない。そんな二人があるときから運命を共にしたというのが歴史の面白いところ。私が演じた隆景とアグレッシブな岡田くんが演じた官兵衛、そのコントラストが視聴者の方に伝われば一番だと思います。岡田くんはマーシャルアーツのような格闘技、僕は自転車競技のようなじっくりとした耐久レースのようなものをやっている。そういう、選ぶスポーツの違いみたいなものも画面に出て来たら面白いですね。


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

「光る君へ」第三十八回「まぶしき闇」ききょう、道長、伊周…。あらわになった人々の本音【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年10月12日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。10月6日に放送された第三十八回「まびしき闇」は、一条天皇(塩野瑛久)の2人の子、敦成親王への呪詛事件と敦康親王の元服を巡る出来事を通じ、それまで覆い隠していた建前が外れ、さまざまな人々の本音が … 続きを読む

服部樹咲「樹ちゃんが親友役と聞いてうれしかった」長澤樹「樹咲ちゃんに支えられた」初共演の2人が息ぴったりの好演『BISHU ~世界でいちばん優しい服~』【インタビュー】

映画2024年10月11日

 世界三大毛織物(ウール)の産地として知られる愛知県から岐阜県にまたがる尾州地域を舞台に、ファッション業界への夢を目指す高校生・神谷史織の奮闘を描いた『BISHU ~世界でいちばん優しい服~』が10月11日(金)先行公開、18日(金)全国公 … 続きを読む

【週末映画コラム】「果たしてジョーカーとは一体誰なのか?」を突き詰めた『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』/マイケル・ケインの引退作、グレンダ・ジャクソンの遺作となった『2度目のはなればなれ』

映画2024年10月11日

『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』(10月11日公開)  殺人を犯しながら、社会への反逆者、民衆の代弁者として祭り上げられたアーサー=ジョーカー(ホアキン・フェニックス)。そんな彼の前にリー(レディー・ガガ)という謎めいた女性が現れる。  ジ … 続きを読む

山田杏奈「『ゴールデンカムイ』愛にあふれたチームでした」大ヒット映画の続編がスタート!「連続ドラマW ゴールデンカムイ ―北海道刺青囚人争奪編―」【インタビュー】

ドラマ2024年10月7日

 野田サトル氏の大人気コミックを原作にした大ヒット映画『ゴールデンカムイ』。明治末期の北海道を舞台に、日露戦争の激戦を生き抜いた“不死身の杉元”こと元兵士の杉元佐一(山﨑賢人)と魅力的なキャラクターたちの出会いを描いたこの作品に続き、アイヌ … 続きを読む

「光る君へ」第三十七回「波紋」藤原道長がふと漏らした重大な一言【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年10月5日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。9月29日に放送された第三十七回「波紋」では、中宮・彰子(見上愛)が一条天皇(塩野瑛久)の皇子を出産した後の人々の日常が描かれた。  その中では、彰子たちが一条天皇に献上する「源氏物語」の豪華本 … 続きを読む

Willfriends

page top