【インタビュー】舞台「スタンレーの魔女」石井凌&唐橋充「この作品で伝えたいことは、笑っていた人たちが急にいなくなるという切なさ」

2019年7月18日 / 12:27

 舞台「スタンレーの魔女」が7月28日から上演される。本作は、『銀河鉄道999』など数々のヒット作を生み出してきた松本零士による『ザ・コクピット』シリーズに収録されている短編漫画を原作とした舞台で、2006年に初めて舞台化。その後、今回の脚本・演出を担当する御笠ノ忠次のユニット「サバダミカンダ」の旗揚げ公演でも上演されており、今回で3回目の上演となる。主人公の敷井を演じる石井凌と出戻役の唐橋充に、作品への思いを聞いた。

石井凌(左)と唐橋充

―本作への出演が決まったお気持ちは?

石井 僕はオーディションで出演が決まったのですが、最初は全く実感がありませんでした。でも、情報が解禁されて、ビジュアル撮影をして…少しずつ実感が湧きました。

―プレッシャーはありましたか。

石井 むしろ、プレッシャーしかないです。今まで主演を経験したことがなかったので、どうしたらいいのか全く分からなかったです。

唐橋 私は、御笠ノさんとずっとご一緒させていただきたかったので、それがまずうれしかったです。それから、制作の方から「2.5次元舞台に出演しているおじさんたちを集めたら、また新しいものが生まれるのでは」というような企画意図の一つをお聞きして、これはぜひとも成功させなくてはと思いました。今、2.5次元舞台は演劇の中で一番元気のあるジャンルです。それはとてもいいことで、元気のあるところにはお客さまも集まりますが、けれど演劇界にはほかにもたくさんの面白いものが転がっているものですから、ぜひ今作のような舞台にも多くの方に触れて頂きたい。演劇の幅を知る喜びをおすそ分けできたらうれしいのです。

―脚本を読まれて、お稽古に入って御笠ノさんの演出を受けて、今、この作品のどんなところに魅力を感じていますか。

唐橋 原作は読んだ?

石井 読みました。戦争っぽくない漫画だなと思いました。台本は原作を忠実に描いていますが、台本を読んでまず僕が感じたのは、主人公の敷井は飛行機がとても好きな人物なんだな、ということです。多分、どの時代に生まれていても飛行機乗りになっていたのかもしれないと感じました。(本作の)時代背景が戦時中というだけで、実際にはただの飛行機が好きな少年の話だと思います。なので、戦争の話ではありますが、暗い話という印象は持たなかったですし、台本でもふざけているシーンが意外にも多いんです。

唐橋 現存している当時の写真を私が見る限り、兵士たちが笑っている写真も少なくないんですね。それはある意味、当たり前のことで、同世代の若者が集まったら、くだらない話をして笑っていなかったわけがない。そこが死と隣り合わせの場所であっても。松本零士先生は、そんな当時のリアルな時代背景をきちんと描いていらした。今作は、原作のコマとコマの間を描いたというよりも、世界観をしっかり引き継いだ御笠ノさんが書いた物語の中に、原作のコマが丁寧に降ってくる、といったような感覚を私は得ています。御笠ノさんは稽古初日に「この作品で伝えたいことは、あんなに楽しそうに笑っていた人たちが、急にいなくなってしまうという切なさ」とおっしゃっていました。

―ご自身の役については、今現在、どのように掘り下げていますか。

唐橋 原作の出戻中尉とはかけ離れるポイントがあっても、この世界観で、このキャストたちの中で、どのポジションを任されているのかということに重点を置いています。

石井 敷井は、周りから愛されている人物だと思います。そうなるためには、どうすればいいか考えていた時に、御笠ノさんから「自分が愛されようとすると愛されない。自分が愛されるためには、周りのキャラクターを愛することだ。そうすれば、おのずと敷居は愛されるキャラクターになる」と言われました。そのお話をお聞きしてからは、余計なことを考えずに、とにかく舞台上に出ている人たちのことを愛していこうと、それだけを考えて演じています。そうすることで役が出来上がって来るんだと思います。

 
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