「“三好彩花”という名前に、運命というか、ご縁を感じました」三吉彩花『本心』【インタビュー】

2024年10月26日 / 09:10

 今からさらにデジタル化が進み、“リアル”と“バーチャル”の境界が曖昧になった少し先の未来、“自由死”を選んだ母・秋子(田中裕子)の“本心”を知るために、朔也(池松壮亮)はAIで母をよみがえらせることを決意するが…。石井裕也監督が技術が発展し続けるデジタル化社会の功罪を鋭く描写する『本心』が11月8日から全国公開される。本作で、秋子の生前の素顔を知るキーパーソンであり、過去にトラウマを抱えるミステリアスな女性「三好」を演じた三吉彩花に話を聞いた。

三吉彩花(C)エンタメOVO

-オファーが来た時の気持ちは?

 最初にお話を頂いた時は、すでに脚本があったので、まず“三好彩花”という名前のインパクトが何よりも強くて、こんなことってあるのかなって思いました。運命というか、ご縁を感じました。それで、ぜひこの役をやらせていただきたいという気持ちがありながら、もし他の方が演じたら、舞台あいさつで「三好彩花を演じました〇〇です」ってすごく言いづらいだろうなと、変な想像をしたりもしました。なぜこの名前だったのかというのは、クランクアップして試写会の時に初めて原作者の平野啓一郎さんにお伺いしました。私のことを知らずに執筆されたそうで、「僕も運命を感じました」とおっしゃっていました。

-最初に脚本を読んだ時の印象を。

 原作は2040年代を想定した話だったと思いますが、脚本ではもう少し近い未来というふうに落とし込まれていました。今のテクノロジーの発達というのは、AIに限らず、自分たちの日常生活のツールで活用している部分もあれば、それによって人間の心がおかしくなってしまうこともあります。日本でもAIが少しずつ浸透してきてみんなが認知するものになってきましたが、世界中ではもっといろんなルールができていたりする中で、この脚本でこれを実写化するというのは面白そうだと思いました。そういう意味では、今の時代にものすごくリンクすると思います。この映画が公開された時に、何の違和感もなく浸透していくんじゃないかと感じました。

-実際に演じてみてどう感じましたか。

 ゴーグルを付けて演じるシーンは、私たちにはゴーグルの先にあるものが何も見えてなくて、想像の世界で演じていたのですが、だからこそゴーグルを付けながら現実の空間にいる自分は、動いたり、人の声を聞いたりすることにすごく敏感になりながら臨めたと思います。池松(壮亮)さんを筆頭に、(石井裕也)監督もそうですけど、皆さんと一緒に、AIについてや、この作品の大事にしたい部分や、それぞれの役の持つ意味について話し合う機会がたくさんあったので、とても学びの多い現場でした。

-池松壮亮さんの印象は?

 池松さんと石井監督は、長年一緒にやられてきているので、お二人の間にはあうんの呼吸みたいなものがありました。なので、うまく懐に入り込めないかなと思っていたんですけど、池松さんご自身は、ご本人はどれぐらい意識されているのか分かりませんが、朔也として現場にいながら、全体をものすごくフラットに、客観的に見ていらっしゃいました。一度、作品に対する向き合い方や、監督やいろんな方との向き合い方について相談した時、「あの時からそういうふうに感じていたよね」とか「あの時のシーンはこうだったよね」と言ってくださって、普通は見落としてしまうようなところもちゃんと見ていて、記憶に残してくださっていて。それが誰に対してもそうなので、池松さんの人柄に救われたのは、私だけじゃないだろうなと思います。「静かな大きな男」という言葉がピッタリというか、それぐらいありがたい存在でした。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

丸山隆平「きっと誰も見たことがないものになる」 舞台「water」で挑む半自伝的作品【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年9月14日

 丸山隆平と、演劇団体マームとジプシーの主宰を務め、劇作家・演出家として注目される藤田貴大が企画し、作り上げる舞台「water」が9月27日から上演される。本作は、丸山の記憶の断片を散りばめながら、藤田の視点で見つけた京都という土地、そして … 続きを読む

倉悠貴 豊臣兄弟を支える軍師・黒田官兵衛を好演中「最後までしっかり演じ切りたい」【大河ドラマ「豊臣兄弟!」インタビュー】

ドラマ2026年9月13日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」(総合 毎週日曜 夜8:00~ほか)。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=羽柴秀長/仲野太賀)が、兄・秀吉(池松壮亮)を支え、兄弟で天下統一を成し遂げるまでの軌跡を描く物語は快調に進行中だ。劇中、軍師 … 続きを読む

安田章大、『髪結いの亭主』の初めての舞台化に「人間たちの退廃感がより響くのではないか」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年9月9日

 1990年に公開されたパトリス・ルコント監督の代表作『髪結いの亭主』が、安田章大主演で初めて舞台化される。原作となる映画は、一人の男の純粋で偏愛的な恋心を描いたフランス映画の傑作。今回の舞台化では、原作映画を大胆にアレンジし、物語を195 … 続きを読む

【映画コラム】8月の公開映画から

映画2026年9月4日

「ミニオンズ&モンスターズ」(8月7日公開)★★★ 映画のパロディーが満載  最強最悪のボスを求めて旅を続けるミニオンズがたどり着いたのは、1920年代のハリウッド。西部劇の撮影に乱入したことから映画スタジオに入り込み、人気スターと … 続きを読む

山口馬木也 柴田勝家の最期は「不思議な体験でした」【大河ドラマ「豊臣兄弟!」インタビュー】

ドラマ2026年8月30日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」(総合 毎週日曜 夜8:00~ほか)。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=小一郎/仲野太賀)が、兄・秀吉(池松壮亮)を支え、兄弟で天下統一を成し遂げるまでの軌跡を描く物語は快調に進行中だ。8月30日放 … 続きを読む

page top