桐谷健太、役作りで大事にしているのは「直感」 イヤミスの名手が作り出す“黒い感情”を体現「連続ドラマW 坂の上の赤い屋根」【インタビュー】

2024年3月3日 / 08:00

 人間の心の暗部を描くイヤミスの名手のひとり、真梨幸子氏原作の「連続ドラマW 坂の上の赤い屋根」が3月3日からWOWOWで放送、配信される。主人公の編集者のもとに “女子高生両親殺害事件”をモチーフにした小説企画が新人作家から持ち込まれたことを発端に、やがて事件の関係者はじめ登場人物たちが抱える嫉妬、劣等感、孤独など“黒い感情”の正体と事件の真実が明らかになっていく本作。主人公の轟書房編集者・橋本涼を演じる桐谷健太に本作での役作りや本作の見どころを聞いた。

桐谷健太 (C)エンタメOVO

-最初に本作のオファーを受けたときのお気持ちを教えてください。

 すごく魅力的で刺激的だなと感じましたし、自分が橋本を生きるとどうなるのかにすごく興味が湧きました。なので、すぐにマネジャーに電話して、「これやりたい」と話したのを覚えています。それぞれの視点によって見え方が変わってくるストーリーで、見る人によっても感じることが違う作品だと思います。一言で「心の闇」と言っても、それを悪いととらえる人もいれば、どこか懐かしさを感じたり、自分にもそれがあると親近感を感じる人もいると思うんですよ。この作品は、まさにそうした作品になっていると感じました。

-具体的に、橋本を演じてみたいと思ったのは、どのような理由からだったのですか。

 橋本を自分が生きたらどうなるんだろうと率直に思ったからだと思います。単純に、挑戦したいと思ったというのが大きな理由かもしれません。クランクインする前に、自分の中で橋本という人物を築き上げていき、彼の過去と向き合い、どんどん純度を高めて自分の中に染み込ませていった感覚でした。役を作る上では、監督と一見普通の人なんだけれども、違和感がある人物として演じたいという話をさせていただきました。「なんか引っかかるな、この人」「なんだか不気味だな」と思わせるような役にしたかった。例えば、大きな事件があった後に、近所の人にインタビューしたら、「あいさつをする明るい、いい人でしたよ」と話す人もいれば、「前からちょっと怖いと思ってたんですよね」と話す人もいるじゃないですか。それと同じように、本性が分かってから急変するのではなく、人によって見え方が違う人物にしたいということを監督にお話ししたら、監督もそれでいきたいとおっしゃってくださったので、クランクインしてからは考えずに演じられましたし、すごくうまくハマった感覚がありました。

-撮影で印象に残っているシーンは?

 先ほどもお話した「なんか引っかかる」「ちょっと不気味だな」という橋本の違和感の部分がドバッと出るのが(橋本良亮が演じる)大渕秀行と対話するクライマックスのシーンなのですが、撮影が終わった後に、スタッフさんから「とてつもないシーンだった」とおっしゃっていただいたことが印象に残っています。自分としては何も考えずにやれたのですが、そう感じていただけたならよかったなと。

-橋本は、非常に複雑で二面性のある役でした。そうした役を演じたことで、自分自身の中でも何か変化があったのではないですか。

 それは、絶対にあると思います。もちろん最後までストーリーは分かっているのですが、この役を演じる上では、その瞬間に自分が感じたことを大事にしました。直感ですね。今までの経験から直感で言葉選びをしているのかもしれないですし、逆に今までの経験は全く関係なくて、でもそのおかげで心の扉が開いた状態で言葉が出るようになったのかもしれませんが、スッと入ってきた感覚を大切にしたいと思って演じていました。今回、誰に頼まれるでもなく、体重を増やして演じたんですよ。橋本は鋭利な印象があるので頭で考えたら痩せる方向にもっていきたくなったと思いますが、直感的に体を大きくしたいと思ったんです。橋本がムチッとしていたら、奇妙な感じがあって、ちょっと気持ち悪いんじゃないかなと思って。

(C)WOWOW

 

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

生駒里奈が語る俳優業への思い 「自分ではない瞬間が多ければ多いほど自分の人生が楽しい」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年11月20日

 ドラマ・映画・舞台と数多くの作品で活躍する生駒里奈が、ストーリー性のある演劇的な世界観をダンスとJ-POPで作り上げるダンスエンターテインメント集団「梅棒」の最新作、梅棒 19th GIFT「クリス、いってきマス!!!」に出演する。生駒に … 続きを読む

史上最年少!司法試験に合格 架空の設定ではないリアルな高校2年生がドラマ「モンスター」のプロデューサーと対談 ドラマ現場見学も

ドラマ2024年11月17日

 毎週月曜夜10時からカンテレ・フジテレビ系で放送している、ドラマ「モンスター」。趣里演じる主人公・神波亮子は、“高校3年生で司法試験に合格した”人物で、膨大な知識と弁護士として類いまれなる資質を持つ“モンスター弁護士”という設定。しかし今 … 続きを読む

八村倫太郎「俊さんに助けられました」、栁俊太郎「初主演とは思えない気遣いに感謝」 大ヒットWEBコミック原作のサスペンスホラーで初共演『他人は地獄だ』【インタビュー】

映画2024年11月15日

 韓国発の大ヒットWEBコミックを日本で映画化したサスペンスホラー『他人は地獄だ』が、11月15日から公開された。  地方から上京した青年ユウが暮らし始めたシェアハウス「方舟」。そこで出会ったのは、言葉遣いは丁寧だが、得体のしれない青年キリ … 続きを読む

「光る君へ」第四十三回「輝きののちに」若い世代と向き合うまひろと道長【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年11月15日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。11月10日に放送された第四十三回「輝きののちに」では、三条天皇(木村達成)の譲位問題を軸に、さまざまな人間模様が繰り広げられた。  病を患い、視力と聴力が衰えた三条天皇に、「お目も見えず、お耳 … 続きを読む

「ローマの共和制の問題点は、今の世界が直面している数々の問題と重なる部分が多い」『グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声』コニー・ニールセン【インタビュー】

映画2024年11月15日

 古代ローマを舞台に、皇帝の後継者争いの陰謀に巻き込まれ、剣闘士(グラディエーター)として壮絶な戦いに身を投じる男の姿を描いたスペクタクルアクション『グラディエーター』。巨匠リドリー・スコットが監督し、アカデミー賞で作品賞や主演男優賞など5 … 続きを読む

Willfriends

page top