眞島秀和、舞台は「目指すべき場所」 息子を戦地に送り出す父親役に感じるやりがい【インタビュー】

2023年9月25日 / 08:00

眞島秀和 (C)エンタメOVO

 「ジャングル・ブック」などで知られるノーベル文学賞受賞作家、ラドヤード・キプリングが第1次世界大戦中に書いた詩を戯曲化した舞台「My Boy Jack」が10月7日に開幕する。物語の舞台は、激戦が続く第1次世界大戦下のイギリス。時代の波にのまれ息子を戦地に送り出すしかなかった父の気持ち、息子の気落ち、姉の気持ち、そして母の気持ちを切々とつづる。父ラドヤードを演じるのは、映画、ドラマ、そして舞台と幅広く活躍する眞島秀和。本作への意気込みや役作りについて、さらには俳優業への思いなどを聞いた。

-台本を読んで、最初にどんなことを感じましたか。

 とにかくやりがいがあって、難しいお話をいただけたなという印象が強かったです。

-どのあたりに難しさを感じたのですか。

 (せりふの)ボリュームがありますし、出演者の人数も限られていて、各キャラクターのパートに厚みがあるというところがまず、難しいと感じました。以前に同じく第1次大戦下を舞台とした『月の獣』という作品に出演させていただいたときに、今、僕たちが生きている時代とは全く違う濃度を感じたのですが、今回もそれを感じています。それを表現するのはとても難しいことだと思いますし、これは頑張らないといけないという気持ちになりました。

-眞島さんが演じるラドヤードについて、今現在(取材当時)はどのようなキャラクターだと考えていますか。

 台本を読んだ段階では、相当な堅物という印象です。ただ、映画化された作品を見たときは、愛国心があって家長として名誉を重んじているけれども、息子に対する愛情も持っている人物だと感じました。この時代だったから、彼はこの作品で描かれているような行動をしていただけなのかなと。台本を読んだときに感じたラドヤードの印象と映画での印象が違ったので、自分が演じるにあたってどう作っていくのかは、稽古を重ねながら見つけていきたいと思います。ただ、第1次世界大戦中という、この時代に生きていた人たちは、密度の濃い日々を送っていたと思いますし、あの時代の人たちならではの骨太さがあると思うので、そこは稽古の中で身につけたいところですね。

-では、映画やテレビドラマなどさまざまなメディアで活躍している中で、舞台に挑戦することには、どのような思いがありますか。映画やドラマといった映像作品とは違いがありますか。

 多少の違いはあると思います。僕が元々、演劇の研究所出身ということもあるのかもしれないですが、どこかで舞台には「目指すべき場所」という感覚があります。自分の中で役者として経験を重ねて成長していくという上でも必要な場所です。もちろん映画もドラマも大事な場所ではあるのですが、仕事の仕方という意味では、(映像作品は)どこか日常の中にあるものだという感覚があるんですよ。ですが、舞台の場合はある期間、特別な場所に向かって、いつもとは違う集中力を使って演じるという作業が必要なので、日常とは少し違った感覚があり、それが違いでもあります。大変な作業ではあるけど、自分には必要なものという感覚です。目の前にお客さんがいて生のものを出していくのが舞台なので、そういう意味でも大きく違いますね。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

柄本佑「道長は権力を振りかざすことが、心底嫌だった」“出家”の節目を迎えた藤原道長役を振り返る【「光る君へ」インタビュー】

ドラマ2024年11月24日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。第四十五回で、「源氏物語」を書き上げた主人公まひろ/紫式部(吉高由里子)は内裏を去り、旅に出た。それを知った藤原道長は、その権力を息子・藤原頼通(渡邊圭祐)に譲って出家。物語が最終盤に差し掛かっ … 続きを読む

「光る君へ」第四十四回「望月の夜」孤独を深める道長を支えるまひろとの絆【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年11月23日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。11月17日に放送された第四十四回「望月の夜」では、3人の娘を天皇の后にした藤原道長(柄本佑)が、有名な「このよをば わがよとぞおもふ もちづきの かけたることも なしと思へば」という「望月の歌 … 続きを読む

【週末映画コラム】『六人の嘘つきな大学生』/『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』(11月22日公開)

映画2024年11月22日

『六人の嘘つきな大学生』(11月22日公開)  大手エンターテインメント企業「スピラリンクス」の新卒採用の最終選考に残った6人の就活生への課題は「6人でチームを作り、1カ月後のグループディスカッションに臨むこと」だった。  全員での内定獲得 … 続きを読む

生駒里奈が語る俳優業への思い 「自分ではない瞬間が多ければ多いほど自分の人生が楽しい」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年11月20日

 ドラマ・映画・舞台と数多くの作品で活躍する生駒里奈が、ストーリー性のある演劇的な世界観をダンスとJ-POPで作り上げるダンスエンターテインメント集団「梅棒」の最新作、梅棒 19th GIFT「クリス、いってきマス!!!」に出演する。生駒に … 続きを読む

史上最年少!司法試験に合格 架空の設定ではないリアルな高校2年生がドラマ「モンスター」のプロデューサーと対談 ドラマ現場見学も

ドラマ2024年11月17日

 毎週月曜夜10時からカンテレ・フジテレビ系で放送している、ドラマ「モンスター」。趣里演じる主人公・神波亮子は、“高校3年生で司法試験に合格した”人物で、膨大な知識と弁護士として類いまれなる資質を持つ“モンスター弁護士”という設定。しかし今 … 続きを読む

Willfriends

page top