今明かされる制作の舞台裏「一緒に作っているのに、吉沢さんの渋沢に励まされるような不思議な実感がありました」菓子浩(制作統括)【「青天を衝け」インタビュー】

2021年12月14日 / 06:37

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「青天を衝け」が12月26日、いよいよ最終回を迎える。幕末から近代を駆け抜けた“日本資本主義の父”渋沢栄一の物語がどんな結末を迎えるのか、気になっている視聴者も多いに違いない。そんな全編のクライマックスを前に、制作統括の菓子浩チーフプロデューサーが、今だから明かせる制作の舞台裏を語ってくれた。

制作統括の菓子浩チーフプロデューサー

-吉沢亮さんのはつらつとした生命力あふれる演技により、今まであまり知られていなかった渋沢栄一が、大変魅力的な主人公になりました。菓子さんはどんな印象を受けましたか。

 もちろん吉沢さんには「この大河の主役を任せられる」と思ってお願いしたわけですが、その想像を遥かに超えてくれました。渋沢栄一って、すごく難しい主人公だと思うんです。そもそも13歳から91歳まで演じることが無理難題ですし、百姓から幕臣、パリから帰国後に明治政府に仕官したかと思えば、次は実業家へとステージがどんどん変わっていく。1人の人物だけど、その中に4人も5人も、いろいろな形の渋沢栄一がいて、それぞれのステージでキャラクターが異なる。そういう栄一を、すごく魅力的に演じてくれたと思います。力強いお芝居はもちろん、繊細な部分でも引き付ける力があって、本当に吉沢さんあっての「青天を衝け」だな、と。こんな難しい主役ができる人は、そういないのではないでしょうか。

-その栄一と徳川慶喜の主従の絆は、ドラマの大きな柱となっていました。もう一人の主人公ともいえる慶喜を演じた草なぎ剛さんの印象はいかがでしたか。

 草なぎさんは、天性の方というか、演じていらっしゃるのかどうかも分からない感じです。本当かどうか分かりませんが、ご本人はインタビューで「歴史には詳しくないし、自分のところ以外、台本もしっかり読みません」とおっしゃっていますよね。現場でもひょうひょうとしていらっしゃるんですけど、いざ本番になると、そこにいるのは慶喜にしか見えないんです。当然、僕も慶喜に会ったことはありませんが、草なぎさんを見て、「慶喜ってこういう人だったんだな」と思ったりして。大森(美香/脚本家)さんも、作品を見ながら、先の脚本を書かれる際に、そういう草なぎさんの姿に勇気づけられたのではないでしょうか。

-改めて、渋沢栄一を主人公に選んだ経緯を教えてください。

 2021年の大河ドラマを担当することが2018年に決まり、そこから舞台となる時代や主人公について検討を始めました。平安から昭和まで、歴史の先生と一緒に主人公として面白そうな人を探していく中で、幕末を舞台にしようと思ったのは、2020年にオリンピックが予定されていたことがきっかけです。オリンピック後に当たる2021年は、日本全体がその先の10年を考えているムードではないかと予想したんです。日本が新しいステージに入っていくそういう時期には、激動の時代である幕末から明治にかけての物語がふさわしいだろうと。

-そこから主人公の渋沢栄一はどのように?

 幕末を舞台にした大河は今までもたくさんありますが、その多くが西郷隆盛や坂本龍馬、新選組といったヒーローを主人公にした、「志半ばで命が尽きる」という物語です。その方がヒロイックに描けるのですが、それ以外の見方ができる人はいないだろうかと。そうやって探していく中で上がってきたのが、渋沢栄一さんです。百姓から次々と立場を変えていく渋沢さんであれば、市井の人々の目線も入れられるし、新政府の内情も描けるし、最終的には経済の話もできる。多角的に描けるのではないかと。

 
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