佐々木蔵之介「毎朝、亡き大森一樹監督に思いをはせながら現場に通っていました」名監督の遺志を継いで主演に挑んだ時代劇『幕末ヒポクラテスたち』【インタビュー】

2026年5月8日 / 08:00

 大ヒット作『ゴジラ-1.0』(23)からNHKの大河ドラマ「光る君へ」(24)まで、幅広い作品で活躍を続ける佐々木蔵之介。その主演最新作が、幕末の京都の小さな村を舞台にした医療時代劇『幕末ヒポクラテスたち』(5月8日公開)だ。中国・唐由来の漢方医と西洋医学を学んだ蘭方医が競い合っていた時代、病に苦しむ人々を救うために奮闘する蘭方医・太吉の日常が、ユーモアを交えて人情味豊かに描かれる。本作は、『ヒポクラテスたち』(80)、『ゴジラVSビオランテ』(89)など多彩な作品を手掛け、2022年に亡くなった大森一樹監督の生前最後の企画の映画化でもある。その遺志を継いで挑んだ作品の舞台裏を聞いた。

佐々木蔵之介【ヘアメイク:西岡達也(Leinwand)、スタイリスト:勝見宜人(Koa Hole inc.)】(C)エンタメOVO

-本作は、故・大森一樹監督が母校・京都府立医大創立150周年を記念して進めていた生前最後の企画の映画化ですが、オファーを受けた時のお気持ちはいかがでしたか。

 大森監督ご自身の体験に基づく医学生たちの青春群像劇『ヒポクラテスたち』(80)は、今も語り継がれる名作です。その先祖ともいえる幕末の医師の奮闘を描くこの作品を、大森監督は「遺作になる」と言って準備を進められていたそうです。その遺志を継いだ映画を、僕の故郷の京都を舞台に、京都弁で撮るということで、主演を僕に、と伺ったときはご縁を感じると共にありがたいお話だと身が引き締まる思いでした。撮影中は、宿泊していた京都市内のホテルから府立医大が見えたので、毎朝、大森監督に思いをはせながら現場に通っていました。

-本作の緒方明監督は、大森組の助監督を務めるなど親交のあった方で、太吉と犬猿の仲の漢方医・玄斎役の内藤剛志さんや謎の侍・弾蔵役の柄本明さんは『ヒポクラテスたち』にも出演しています。本作には大森監督と縁のある方々が集まっていますね。

おかげで皆さんから、毎日のように大森監督の話を伺うことができました。内藤さんが古尾谷雅人さん(『ヒポクラテスたち』の主演俳優。2003年に逝去)について「お互いギラギラした時期で、古尾谷はずっとサングラスを外さなかったが、最後は仲良くなった」と、懐かしそうに語っていたのも印象的でした。残念ながら僕は大森監督とは面識がありませんが、皆さんのお話を通して、大森監督の思いが今につながっていることを実感しながら撮影に臨むことができました。

-そういう思いを持って臨んだ本作で、主人公の太吉を演じるにあたり、役作りなどはどのようにされたのでしょうか。

 これまで医師役は何度か演じてきましたが、今回は時代劇ということで、京都府立医大の先生からその時代に行われていたであろう所作、医療指導を受けた上で臨みました。とはいえ、人の命と向き合う点は、現代の医師と変わりません。先生によると、診察のとき、患者は医師に体を預けるので、「本当にこの先生で大丈夫かな?」と不安になるらしいんです。だから、安心させるため、優しくゆっくり診ていく。まず手を握って「どうですか?」と聞いてから、徐々に「この先生なら大丈夫」と受け入れてもらえるように進める。そういう手順をご指導いただいたことは、演じる上で大いに役立ちました。

©「幕末ヒポクラテスたち」製作委員会

 
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