【インタビュー】「メリリー・ウィー・ロール・アロング」笹本玲奈 「過去の自分を見つめ直し、そこからまた進もうと思うことができる」

2021年2月22日 / 12:00

 英国最高峰のオリビエ賞を受賞した、斬新かつスタイリッシュな新演出版で送るミュージカル「メリリー・ウィー・ロール・アロング」が、5月17日から上演される。本作は、ウエストエンドを代表する女優マリア・フリードマンが2014年に初演出として手掛けた作品。ブロードウェーのバックステージを舞台に、かつて“親友だった”3人の人物の人生を「逆再生」で描く。本作で、メアリーを演じる笹本玲奈に、本作の魅力や公演への意気込みを聞いた。

メアリー役の笹本玲奈

-本作への出演が決まったときの心境は?

 お話を頂いたときに一緒に脚本を頂いたので、すぐに読ませてもらい、切ないお話だと感じました。物語がどんどん過去にさかのぼっていくのですが、それによってより現在置かれているそれぞれのキャラクターの切なさや抱えている問題が色濃く印象に残る作品だな、と。それから、ミュージカルではありますが、お芝居の要素も強く、演じがいがありそうだとも思いました。もちろん、楽曲も素晴らしく、キャッチーな曲が多くて、歌いがいもありそうだと思い、ぜひやりたいとお返事しました。

-物語が逆再生していくということは、演じる年齢も幅広いのですか。

 はい、20歳から40歳の20年間を演じます。(取材当時)まだどのように表現するのか分かりませんが、きっと見た目も大きく変化すると思います。脚本では、物語の冒頭(メアリーが中年女性のとき)は、メアリーは太っていて、アルコール依存症になっているという設定です。一つの作品の中で、そこまで変化があることも、一人の女性の20年間を演じることも、なかなかないことなので、演じるのが楽しみです。

-脚本を読んだ段階では、メアリーという女性にどんな印象を持っていますか。

 「普通の女性」だと思いました。私は目の前のことに夢中になってしまうのですが、メアリーは過去をすごく大切にしていて、過去の友情を今も続けていきたいという思いが強い。現実的な考えも持っていて、ある意味、すごく人間っぽさのある人です。この作品は、(平方元基が演じる)フランクとメアリー、(ウエンツ瑛士が演じる)チャーリーという3人の人物を中心に描かれていますが、それぞれ全く違った性格でありながら人間くささがあるので、どの人物にも共感しやすいと思います。

-笹本さん自身も共感するところはありましたか。

 メアリーはもちろんですが、フランクにも、チャーリーにも共感できるポイントがありました。フランクのすごく野心的な部分、チャーリーの着実に生きようとする真面目なところも、私にはすごく共感できる部分でした。

-スティーブン・ソンドハイムによる楽曲も魅力の一つです。彼は、笹本さんが出演していた「ウエスト・サイド・ストーリー」の作詞も手掛けていますね。

 そうなんです。ソンドハイムには作曲家というイメージが強いので、「ウエスト・サイド・ストーリー」の作詞をされていることは、自分が出演するまで知りませんでした。ご縁があるなと思います。ソンドハイムの楽曲の作品に出演するのは、今回が初めてなのですが、彼の楽曲は難曲というイメージがあります。音階がメジャーとマイナーを行ったり来たりしたり、変拍子だったりと、歌いこなすのに時間がかかる印象が強くて、難しい曲ばかりだと思っていました。ですが、今回の曲は、もちろん「ソンドハイム調」だなと感じるところはありますが、でも、キャッチーで、1度聞いたら覚えてしまうほど耳なじみのいい曲ばかりです。楽曲的にも、お客さまに楽しんでいただけると思います。

-今回、演出は女優のマリア・フリードマンが担当します。

 彼女はこの作品を、ソンドハイムと一緒に作った方なのですが、メアリーを演じてもいました。女優として活躍されたので、女優の大先輩として、得られるものがたくさんあるんじゃないかなと楽しみです。女優をされていた演出家の方とご一緒したことがないので、どういった形で演出されるのか、期待しています。メアリー役にも、きっとすごく思い入れを持っていらっしゃると思うので、お稽古が始まったらたくさんお話をさせていただきたいと思っています。

-ところで、この1年は舞台業界にとって大変な年でした。笹本さんは、改めて今、振り返ってどんなことを思いますか。

 やはり、新型コロナのことが頭に浮かびます。未だブロードウェーは再開できていません。日本では、早々にエンターテインメントが再開しましたが、私自身も、舞台が中止になるという経験をして、自分の人生や今後のことを考える機会が多かったように思います。ただ、家族との時間も増え、話す機会も多かったので、お芝居ができないことはつらかったですが、自分の置かれている状況や本当にやりたかったことを改めて考えるいい時間だったと思います。

 
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