【インタビュー】舞台「カメレオンズ・リップ」&ソロ歌手デビューへの思い ファーストサマーウイカ「全てで1段ずつステップアップしていきたい」

2021年2月22日 / 08:00

 劇作家・演出家のケラリーノ・サンドロヴィッチの戯曲の中から、才気あふれる演出家たちが異なる味わいで新たに作り上げる「KERA CROSS」の第三弾公演となる「カメレオンズ・リップ」が4月2日から上演される。松下洸平、生駒里奈、岡本健一らが出演する本作は、古びた洋館を舞台に、甘美なだまし合いが繰り広げられるクライムコメディー。ファーストサマーウイカが、ガラ・トメート役で4年ぶりの舞台出演を果たす。今回は、ファーストサマーウイカに、公演への意気込みを聞くとともに、2月22日に発売となる「カメレオン」でアーティストとしてソロデビューすることへの思いも語ってもらった。

ファーストサマーウイカ

-「カメレオンズ・リップ」に出演が決まったときの気持ちは?

 久しぶりの舞台出演なので、正直、大丈夫かなという気持ちもありました。ですが、私自身のルーツは関西の小劇場の舞台から始まっているということもあり、KERAさんの本で河原(雅彦)さんの演出で舞台に立てるというのは、大変光栄なことだと思いました。そして、今、大人気の松下さん、生駒さんというすてきな方ばかりなので楽しみです。

-劇団に所属していたということですが、もともと、舞台や演劇が好きだったのですか。

 観劇が好きというより、舞台に立つということが好きでした。その情熱だけで、ネットで検索して見つけた劇団に即入団しました(笑)。高校生のときから音楽をやったり、文化祭では自分で脚本を書いて、演出もしてお芝居をしたりと、昔から出たがりだったんです(笑)。人と一緒に何かを作り上げて、それを達成するという過程も好きでしたし、稽古をして、公演をして、打ち上げをして、という劇団の活動も好きでした。

-2004年に堤真一さんと深津絵里さんなどのキャストで上演された本作の初演は見ましたか。

 はい、映像で拝見しました。深津さんがこの作品に出演されたのは、今の私と年齢が変わらない頃だったので、そう考えると足が震えました。私が演じるガラは、(犬山)イヌコさんが演じていらしたのですが、おじけづくぐらい迫力があって、でもせりふは繊細な作品だと感じたので、感性を研ぎ澄まして臨まなければいけないなと思います。

-今現在は、どのように演じたいと考えていますか。

 私とイヌコさんとは俳優としての特徴も違うので、あまり気にし過ぎず、今、自分が演じたらどうなるかというガラをお見せできたらと思います。松下さん、生駒さんも、初演とは全くキャラクターが違うじゃないですか。堤さんと深津さんは、姉弟の役なのにエロさが出ていたように思います。まさに「爬虫(はちゅう)類の唇」という言葉が似合いそうな2人でした(笑)。でも、松下さんと生駒さんは、透明感がすごい。例えて言うならば、レースのカーテンのような2人(笑)。そこにあるだけで、パッと明るくなって、存在感はあるのに誰の邪魔にもならない。優しさともろさを兼ね備えた2人なので、きっとそれに合わせてガラも変わってくると思います。もしかしたら、私と岡本(健一)さんがエロさを担うのかもしれませんし、あるいは私も松下さんと生駒さんが中心となった座組に入ったら同じレースのカーテンになれるのかもしれない(笑)。稽古場でどんな自分が出てくるのか楽しみにしています。

-舞台も久しぶりの挑戦ですが、2月22日にはソロデビューも決定しましたね。

 はい、くしくも「カメレオン」という楽曲をリリースします。この舞台には全く関係なく、タイトルは楽曲提供してくださったシンガーソングライターの阿部真央さんが名付けてくださいました。楽曲に関しては、真央さんが何度もヒアリングしてくださって。最終的に真央さんは「自分のことを書いた」とおっしゃっていましたが、丸ごと私自身のことを書いてくれたように感じて、歌詞の力に感動しました。真央さん節のメロディーラインと、人が持つ対人における内面の多面性を歌っています。恋人の前にいる自分と、両親の前にいる自分、職場にいる自分ってそれぞれ色が違うけど、どれも全部自分。でもどれも100全部見せているかな、見せて理解を得られるか? その場で色を変えてなじんでいくことをカメレオンに例えているのではと私は考えています。舞台と、「カメレオン」づいた上半期になりそうです(笑)。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

井内悠陽「自分を貫くことは大切。でも、時には柔軟性も必要」 映画『爆上戦隊ブンブンジャー』で映画初主演を飾る20歳の新星【インタビュー】

映画2024年7月27日

 7月26日から公開中の『爆上戦隊ブンブンジャー 劇場BOON! プロミス・ザ・サーキット』は、テレビ朝日系で大人気放送中のスーパー戦隊シリーズ第48作「爆上戦隊ブンブンジャー」初の劇場版だ。本作でブンブンジャーのリーダー、ブンレッド/範道 … 続きを読む

田中真弓「70歳、新人のつもりで頑張っています」憧れだった朝ドラレギュラー出演 連続テレビ小説「虎に翼」【インタビュー】

ドラマ2024年7月26日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「虎に翼」。新潟地家裁三条支部に赴任し、娘・優未(竹澤咲子)と2人だけの暮らしに苦労する主人公・佐田寅子(伊藤沙莉)を助けるため、かつて花江(森田望智)の家で女中として働き、第7週で故郷の新潟に帰った稲が … 続きを読む

真彩希帆、憧れの「モーツァルト!」でコンスタンツェ役 「この作品を見に来て良かったと感じていただきたい」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年7月26日

 「才能が宿るのは肉体なのか?魂なのか?」という深遠なテーマをベースに、その高い音楽性と重層的な作劇で“人間モーツァルト”の35年の生涯に迫る、ミュージカル「モーツァルト!」が、8月19日から帝国劇場にて上演される。2002年の日本初演以来 … 続きを読む

【週末映画コラム】歴史の「if」を描いた2本『もしも徳川家康が総理大臣になったら』/『お隣さんはヒトラー?』

映画2024年7月26日

『もしも徳川家康が総理大臣になったら』(7月26日公開)  新型コロナウィルスがまん延した2020年。首相官邸でクラスターが発生し、総理大臣が急死した。かつてない危機に直面した政府は、最後の手段として、歴史上の偉人たちをAIホログラムで復活 … 続きを読む

鈴木梨央「特撮映画の魅力を実感しました」子役時代から活躍してきた若手俳優が、ファンタジー映画に主演『カミノフデ ~怪獣たちのいる島~』【インタビュー】

映画2024年7月25日

 高校生の時宮朱莉は、謎の男・穂積(斎藤工)と出会い、特殊美術造形家だった亡き祖父・時宮健三(佐野史郎)が制作を望んだ映画『神の筆』の世界に入り込んでしまう。怪獣ヤマタノオロチによって、その世界が危機にひんしていることを知った朱莉は、同級生 … 続きを読む

Willfriends

page top