【インタビュー】ミュージカル「ハウ・トゥー・サクシード」笹本玲奈「増田貴久さんはフィンチそのもの」

2020年9月2日 / 06:07

 NEWSの増田貴久主演のミュージカル「ハウ・トゥー・サクシード」が9月4日に開幕する。本作は、1961年にブロードウェーで初演され、以降1417回のロングランヒットという記録を打ち立てた作品。ビルの窓ふき清掃員フィンチ(増田)が、ある日「努力しないで出世する方法」という本を読んで感化されたことから始まるサクセスストーリーを描く。そんなフィンチを一目で気に入り、何かと世話を焼くようになるのが、大企業の秘書として働くローズマリー。今回は、ローズマリー役に挑む笹本玲奈に公演への思いを聞いた。

ローズマリー役の笹本玲奈

-出演が決まったときの気持ちを聞かせてください。

 私にとってミュージカルといえば、1960年代や70年代のブロードウェーミュージカルでした。「ハウ・トゥー・サクシード」や「ガイズ&ドールズ」「ME And MY GIRL」はまさにそんな作品で、ダンスも多く、こういう作品をいつかやりたいと思っていた憧れの作品でした。「ガイズ&ドールズ」と」「ME And MY GIRL」には、すでに出演しましたが、今回、残りの一つである「ハウ・トゥー・サクシード」に出演が決まり、すごくうれしかったです。

-ローズマリーはひたすらフィンチを応援する女性です。ご自身との共通点はありますか。

 ローズマリーは、最初から最後まで物語のフィンチの中に“重要な人物”として置かれている役柄です。彼女がソロで「私がいい奥さんになって彼を支えるわ」と歌う場面もありますが、私自身は、あまりそういうタイプではなくて(笑)。どちらかというと、この先も働き続けたい女性なので、その点に関しては少し違います。でも、彼女がもともと持っている母性的な部分であったり、支えてあげたいと思う気持ちは、女性なら、誰しもが持っているものだと思うので、そこには共感しました。

-フィンチを助けるために奮闘する姿が印象的ですね。

 きっと彼女は、仕事ができる女性だと思うんです。何不自由なく大企業に勤めて生活してきた女性なのですが、恋に落ちてしまうと周りが見えなくなったり、空気が読めずに暴走してしまうところがある。でも、そういうところもすごくかわいらしいと感じます。

-フィンチ役の増田貴久さんの印象はいかがですか。

 フィンチそのものだと感じました。フィンチってすごく難しい役だと思うんです。計算高い人物に作り上げてしまうと、ただ単に、嫌な男性に映ってしまう。でも増田さんのフィンチは全く嫌味を感じさせない。ポイントをちゃんと捉えていらっしゃって、計算しているところと、計算していないところのバランスが絶妙なんです。恐らく、増田さんのもともと持っている人柄の良さがフィンチにも反映されているのだと思います。フィンチが出世すればするほど、こちらも「よくやった!」と応援したくなるんです。

-増田さんを座長とした稽古場の雰囲気はどうですか。

 増田さんは、普段から共演者にもいろいろ話し掛けてくださり、ムードメーカーのような存在なので、現場の雰囲気もすごくいいです。お芝居の話ももちろんしますが、家電に詳しくて、豆知識が豊富なんです(笑)。みんなで「へーっ!」と盛り上がることもあります。

-笹本さんは、秘書仲間と歌って踊る明るいポップなナンバーが多いですが、歌ってみていかがですか。

 思わず鼻歌で歌いたくなるぐらい、曲が全部キャッチーなので、歌っていて気持ちがいいです。特にパーティーに出掛けるためにドレスを新調するシーンは、ローズマリーにとって一番のビッグナンバー、見せどころです。歌いながら着替える、やりがいのあるシーンです。

-では、作品にちなんで、もし「努力せずに出世する方法」という本が本当に存在したら、笹本さんは手に取って活用してみたいと思いますか。

 うーん、私は活用したくないですね(笑)。フィンチも努力していないように見えて、実際は結構努力していると思うんです。本当に努力しないで出世しようとしているのはバドで、彼は社長のおいでコネ入社した男性です。でも、彼のような人は、仮に出世できても、それまでにやるべきことをしてこなかったので、結局は自分が困ることになると思うんです。先に何か成功してしまっても、後からツケが回ってくるのであれば、私は最初から努力しておきたいと思うタイプです(笑)。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

橋本愛 演じる“おていさん”と蔦重の夫婦は「“阿吽の呼吸”に辿り着く」【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年8月16日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、快調に進行中。本作で蔦重の妻・ていを演じているのは、今回が4度目の大河ドラマ出演で … 続きを読む

山里亮太「長年の“したたかさ”が生きました(笑)」 三宅健太「山里さんには悔しさすら覚えます(笑)」STUDIO4℃の最新アニメ『ChaO』に声の出演【インタビュー】

映画2025年8月15日

 『鉄コン筋クリート』(06)、『海獣の子供』(19)を始め、個性的なアニメーションを次々と送り出してきたSTUDIO4℃。その最新作が、アンデルセンのおとぎ話『人魚姫』をベースに、人間の青年・ステファン(声:鈴鹿央士)と人魚王国のお姫さま … 続きを読む

ウィリアム・ユーバンク監督「基本的には娯楽作品として楽しかったり、スリリングだったり、怖かったりというところを目指しました」『ランド・オブ・バッド』【インタビュー】

映画2025年8月14日

 ラッセル・クロウとリアム・ヘムズワースが共演し、戦場で孤立した若手軍曹と、彼を後方から支援する無人戦闘機のベテラン操縦官の闘いを活写したサバイバルアクション『ランド・オブ・バッド』が8月15日から全国公開された。米海軍全面協力のもと、入念 … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(1)“たまたま”が導いた講談の道

舞台・ミュージカル2025年8月14日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼みなさん、こんにちは  日本の伝 … 続きを読む

原嘉孝×いとうあさこ、timelesz加入後初の舞台主演に「timeleszを背負っています」 舞台「ドラマプランニング」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年8月11日

 脚本家・演出家の山田能龍、いとうあさこによる劇団山田ジャパンの2025年9月公演「ドラマプランニング」にtimeleszの原嘉孝が出演する。  本作は、テレビ業界におけるドラマ制作現場を舞台とし、ほれ込んだ漫画の映像化で初のチーフ作品を担 … 続きを読む

Willfriends

page top