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時代の先を行く才能あふれるアニメーションの演出家で、なつ(広瀬すず)の夫でもある坂場一久役を好演している中川大志。良き夫として家庭を支えるも、当初は視聴者はもとより、自身も「面倒くせ~」と嘆くほどの性格で、役をつかむにはいつも以上の時間がかかったという。そんな役へのアプローチ方や演じる醍醐味(だいごみ)を、撮影エピソードとともに聞いた。
当時は小学6年生で、朝ドラに出演できることがどういうことなのかも理解していませんでした。でも俳優を続けていく中で、いつか戻りたいと思うようになっていたので、記念すべき100作目に出演できると分かったときはうれしかったです。ただ、男性キャストのオーディションを受け、合格の連絡をもらってから半年ぐらいは何の役かも分からなかったので、本当に出られるのか不安でした(笑)。役が決定したのはドラマがクランクインしてからでした。
僕も第一印象は「こいつ面倒くせ~」で、最悪の印象から徐々に好きになってもらうにはどうすればいいのか迷いました。その中で、キャラクターそのものを変えていくより、人との関わりや成長によって、もともと備わっている内面が徐々に見えてくるようにしようと考えました。演じるのはとても難しく、これまで頂いた役の中で軌道に乗るのに一番時間がかかりましたが、役の印象を変えていけるのは、スパンの長い朝ドラだからできるので、やりがいはあります。
まさかヒロインの旦那役とは思わなかったのでプレッシャーを感じました。この2人が、どういう夫婦になるかも想像ができませんでした。でも、坂場がなつに「アニメーションにしかできない表現とは何ですか?」と尋ねたシーンで、なつは馬の脚を多く描いてスピード感を表すことで、坂場は「あり得ないことを本当のように描くことです」と言葉で表すことで答えを出したとき、なつには坂場にない発想力やエネルギーがあり、坂場はなつよりも考えを言葉にする力があり、互いに補い合えるからこそ、いい関係になれると感じました。
恋愛ものはこれまでもやらせていただいていますが、今回は難しかったです。恋に落ちた瞬間が分からないし、プロポーズもいきなりですから(笑)。ただ、「君の力を一番生かせる演出家になりたかった」というせりふ通り、なつを好きになる入り口はそこだったと思います。その後、意見がぶつかったり、ピンチを救ってくれたり、いろいろある中で、いつも隣で同じ方向を見てくれていたので、いつの間にか恋愛感情が生まれたんじゃないかな。
子どもが生まれたことによる変化も大きいです。東洋動画スタジオでは私生活が見えなかったので、坂場家での様子から彼のことをより分かってほしいです。彼の成長や変化の過程をしっかり演じることで、「こんな人は絶対に嫌」から「この人と結婚してよかった」と思われたいです。でも、どうだろう…。もうすぐクランクアップですが、撮影が始まったときからずっと、視聴者にどういう受け止め方をされるんだろう…と考えると怖いです。
坂場の真っすぐさと、周りにどう見られているか自覚していないところが滑稽で、“笑われる人間”を目指していますが苦戦しています。カレーをこぼしたり、牛のふんを踏んで転ぶところは、職場で屁理屈を言っている姿とのギャップを出して人間味を見せようしましたが、演じていると楽しくなっちゃって、やり過ぎたかな…と反省しました(笑)。
坂場ほど不器用ではないです。カレーをこぼすシーンも、いかに自然に見えるかを計算し尽くしてやっているので、逆に僕が不器用であれば、あのシーンは成り立たないです(笑)。
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