【インタビュー】「みかづき」高橋一生「見ているうちに、塾の話であることをうっかり忘れると思います(笑)」

2019年1月25日 / 15:47

 昭和から平成に至る日本社会の変遷を背景に、天才的講師・大島吾郎とカリスマ的経営者・赤坂千明の出会いが生んだ、ある塾と家族の半生を描いたドラマ「みかづき」。大島吾郎役を演じる高橋一生が、本作について、また、家族に対する思いなどを語ってくれた。

大島吾郎役の高橋一生

-小学校の用務員から塾講師になった吾郎ですが、どのような人物でしょうか。

 孤独な生い立ちがあり、そういう幼少時代の寂しさや、影の部分を引きずっていて、愛を欲している人間ではないでしょうか。千明(永作博美)に才能を見いだされて、周りからは「塾講師として素晴らしい」と言われますが、それよりも彼自身の中にある寂しさを共有できるという意味で家族を求めていたと思います。

-20~70代を演じられたそうですが、特殊メークはしていないとか。

 はい。特殊メークはしていませんが、白髪にするとか大まかなことはやりました。役者はそういう外的エフェクトに影響されるんです。例えば、時代劇だと、着物を着ると背筋が伸びたり、老齢の役をやるときに膝を曲げなければいけないのであれば、膝の裏にばんそうこうを貼ったりすることで意識が入るんです。

-内面から表れる表情やしぐさで意識したことはありますか。

 僕は、お芝居をする上で、ポーズがとても大事になってくると考えています。生きる上でも、内面よりも外面が先に情報として相手に伝わる以上、人は外からの視線に多分に作用されていることになるので、内側にある心構え、いわゆる役作りはやらないようにしています。「僕、こんなにすごいことやっています」とアピールするのもどうなのかな…とも思うので(笑)。そういう意味で、外側を大切に演じました。あとは、脚本にせりふや動き、登場人物の関係性がきちんと描かれているので、脚本を信じていました。

-穏やかでひょうひょうとしている吾郎は高橋さんに似ていると感じました。

 脚本の水橋(文美江)さんが、まるで当て書きをしてくださったようでした。水橋さんが抱く僕のイメージと原作が相まって、うまくミックスされたものが脚本に表れていたかもしれないです。他の作品でも脚本家の方それぞれの僕に対するイメージが投影されていますが、ここ最近やらせていただいている役は、自分に合っている感じがします。僕の素体のイメージが台本から透けて見えたり、こうしてほしいという期待が見えたりするのは面白いし、ありがたいです。

-塾に教育の理想を求めるカリスマ経営者で、妻でもある千明役の永作さんとの共演はいかがでしたか。

 とても楽しかったです。リハーサルから僕がどんな動きをしても受け止めてくださいましたし、お芝居が繊細で、エモーショナルな部分ではすごく集中されている中、僕も役としていろいろ試させてもらえて、懐の深さを感じました。言葉と内側にあるものをちゃんと交わして、毎シーンを演じられました。

-本作は塾の話であり、家族の話でもありますが、高橋さんにとって家族とは?

 今は僕が家族の中で一番年上ですけれど、今は保護者的な役割が減って、少し寂しいです。人は孤独であればあるほど間違った方に行きやすいけれど、共有する人がいればいるほど、このままでいいと安心できるエネルギーが強くなるので、そういう、分かち合えたり、話し合えたりできる家族はとても大事だと思います。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

「光る君へ」第十七回「うつろい」朝廷内の権力闘争の傍らで描かれるまひろの成長【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年5月4日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。4月28日に放送された第十七回「うつろい」では、藤原道長(柄本佑)の兄である関白・藤原道隆(井浦新)の最期が描かれた。病で死期を悟った道隆が、嫡男・伊周(三浦翔平)の将来を案じて一条天皇(塩野瑛 … 続きを読む

妻夫木聡「家族のために生きているんだなと思う」 渡辺謙「日々の瞬間の積み重ねが人生になっていく」 北川悦吏子脚本ドラマ「生きとし生けるもの」【インタビュー】

ドラマ2024年5月3日

 妻夫木聡と渡辺謙が主演するテレビ東京開局60周年特別企画ドラマスペシャル「生きとし生けるもの」が5月6日に放送される。北川悦吏子氏が脚本を担当した本作は、人生に悩む医者と余命宣告された患者の2人が「人は何のために生き、何を残すのか」という … 続きを読む

城田優、日本から世界へ「日本っていいなと誇らしく思えるショーを作り上げたい」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年5月3日

 城田優がプロデュースするエンターテインメントショー「TOKYO~the city of music and love~」が5月14日から開幕する。本公演は、東京の魅力をショーという形で世界に発信するために立ち上がったプロジェクト。城田が実 … 続きを読む

【週末映画コラム】台湾関連のラブストーリーを2本『青春18×2 君へと続く道』/『赤い糸 輪廻のひみつ』

映画2024年5月3日

『青春18×2 君へと続く道』(5月3日公開)  18年前の台湾。高校3年生のジミー(シュー・グァンハン)は、アルバイト先のカラオケ店で4歳年上の日本人バックパッカーのアミ(清原果耶)と出会い、天真らんまんでだがどこかミステリアスな彼女に恋 … 続きを読む

「光る君へ」第十六回「華の影」まひろと道長の再会からうかがえる物語展開の緻密さ【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年4月27日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。4月21日に放送された第十六回「華の影」では、藤原道隆(井浦新)率いる藤原一族の隆盛と都に疫病がまん延する様子、その中での主人公まひろ(吉高由里子)と藤原道長(柄本佑)の再会が描かれた。  この … 続きを読む

Willfriends

page top