【インタビュー】「バカボンのパパよりバカなパパ」玉山鉄二「『これでいいのだ』という曖昧の大切さを感じて」 窮屈な現在から自由な未来を願う 

2018年6月26日 / 12:00

 天才ギャグ漫画家として名をはせるも、私生活では駄目な父親だった赤塚不二夫の破天荒な人生と、彼を支える家族の姿を描いた土曜ドラマ「バカボンのパパよりバカなパパ」で、赤塚を演じる玉山鉄二。これまでにない振り切った演技で赤塚に成り切った玉山が、使命感から本役を引き受けたという熱い思いや、今の世に響くであろう本作が持つ意義などを語ってくれた。

赤塚不二夫を演じる玉山鉄二

-国民的な漫画家である赤塚不二夫役のオファーを受けたときの感想は?

 最初は「この役を演じるのは、僕じゃないのではないかな…」と、首を縦に振ることができませんでした。

-それにもかかわらず引き受けた理由とは?

 赤塚不二夫さんについては、がむしゃらにギャグ漫画を描き、ばかをやり続けた男という知識しかなかったので、いろいろ調べました。その中で、彼が本当に残したかった、笑いの奥にある大切なものや、戦争体験をしたからこそ、笑いの素晴らしさを伝えたいという思いが強かったことを知りました。また、彼が大事にしていたのは、貧乏人も金持ちも、天才もそうでない人も、ハンデを背負っている人も健常者も、関係なく博愛することで、争いごとの原因となる垣根を取っ払ってばかをやれば、自然とみんなが笑顔になって手をつなげるという考えや、人を許す美学に共感しました。だからこそ、この役はやらなきゃいけないと感じたし、今は、この作品に出会えて良かったと思っています。

-誰もが知る人物を演じることについては、どうお考えですか。

 実在の人物を演じるときは、常に責任感がつきまとって、大きな十字架を背負いながら演じなければいけないと思っています。でも、そこに凝り固まってしまうと、赤塚さんが本来伝えたかった「セオリーから外れること」ができなくなるので、今回はあえて気負わず、自分が持っている倫理や理性のブレーキを外して暴れ回ることを心掛けました。

-これまでのイメージとは違う玉山さんが映し出されていて、「おそ松くん」の人気キャラクター・イヤミの「シェー」のポーズを取ったり、セーラー服の女装姿なども披露されたりしていますね。

 普段は内気で恥ずかしがり屋だけど、現場に入ると、全く恥ずかしがることなく、奇抜なことでも何でもできるので、ギャグも女装も平気でした。女装に関しては、撮影時よりも衣装合わせのときの方が恥ずかしかったぐらいです(笑)。

-本作の原作者で赤塚さんの娘のりえ子さんから、何かアドバイスはもらいましたか。

 「玉山さんが感じたように自由にやってください」と言われて、背中を押されたような気分になりました。でも、せっかくやるなら、今まで赤塚さんを描いたドラマや映画の中でのナンバーワンになろうと、いろいろなリサーチをしたので、役を引き受けた時点で必ず成功する自信はありました。

 
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