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ベストセラー作家・浅田次郎の時代小説を映画化した『輪違屋糸里 京女たちの幕末』が、12月15日から有楽町スバル座ほかで絶賛上映中だ。本作は、幕末の京の色街を舞台に、新選組の志士を愛した女たちの生きざまを端正な映像美と共につづった本格派時代劇。本作で、主人公・糸里(藤野涼子)と共に、過酷な運命に翻弄される芸妓・吉栄を演じるのは、NHK連続テレビ小説「まんぷく」(18~19)などで活躍する若手女優の松井玲奈。撮影の舞台裏や時代劇に対する思いなどを聞いた。
これまで、テレビの時代劇には何度か出演したことがありますが、なかなか機会のない中、初めて、映画という形で時代劇に参加できることがとてもうれしく、ありがたかったです。作品としては、新選組からの視点ではなく、女性から見た幕末を描いている点が今までの“幕末もの”と違って新鮮に感じました。
主人公の糸里は、自分が身を置いた花街という世界で、女としての人生を選んでいく。それに対して、吉栄も一度は同じ選択をしようとするけれど、平山五郎(佐藤隆太)という愛する男性がいたために、自分がしてしまったことへの償いも含めて、最終的には違った道を選ぶ。そこに、強さも感じました。
どちらにも強さはあると思います。初め、吉栄は糸里のお姉さん的な存在ですが、糸里がどんどんたくましい女性に成長していき、やがて立場が逆転する。そうやって最終的に夢を貫き通せたのが糸里で、折れてしまったのが吉栄ではないかと。そういう意味では、クライマックスに近づくに従って、糸里と吉栄、それぞれの選択が明らかになって行く過程がこの作品の見どころです。
現場に入る前に、(藤野)涼子ちゃんと一緒に着物の作法やふすまの開け方などを勉強させていただきました。演じる上では、糸里の一番の友だちで理解者であることと、愛する五郎のことを強く思う女性としての気持ちを大切にしました。糸里とのコントラストもきちんと出したかったので、頼るところは頼り、引っ張っていくところは引っ張っていくという、2人のバランスにも気を付けて演じました。
口頭で指示されることもありましたが、加島監督が実際に演じて見せてくれることも多かったです。例えば、糸里が怒るとき、「こういうふうに怒ってほしい」と涼子ちゃんの前でやって見せてくださったり…。時代劇には現代劇とは違う決まりごとも多いので、一つ一つの表現に対して、「どうしてこう動くのか」、「なぜこう見せてほしいのか」ということを丁寧に教えてくださいました。時代劇の中では伝統的なことだと思いますが、私にとっては新しいことばかりだったので、そういうふうに教えていただけたことは、とても分かりやすく、ありがたかったです。
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