【真田丸 インタビュー】草刈正雄(真田昌幸) 「僕ら役者は三谷さんに愛されているという感じがします」

2016年1月17日 / 00:00

 NHKの大河ドラマ「真田丸」の主人公、真田信繁(堺雅人)の父、真田昌幸を演じている草刈正雄。信州の小国の主ながら権謀術数の限りを尽くし、戦国の世を生き残るさまを信繁らに見せつける。NHKドラマ「真田太平記」で信繁を演じた30年後にその父を演じる不思議な縁と、希代の智将について草刈が語る。

 

真田昌幸を演じる草刈正雄

真田昌幸を演じる草刈正雄

-オファーを受けた時にどう思いましたか。

 因縁めいたものを感じました。「真田太平記」で丹波哲郎さんが演じられた昌幸は豪快で明るくて、すごい存在感でした。ですからそれがなかなか頭から離れなくて。今回の「真田丸」でも、策を考える時にクルミを使ったり、作戦を考える時に家臣と囲碁をしたりする、丹波さんが演じられた際に用いた方法が取り入れられています。

-三谷幸喜さんの脚本に描かれた昌幸をどう感じましたか。

 豪快でありながら、おちゃめで教育熱心で、したたかさもある。子どもに泣きつくようなところもありますが、それがまた人間味があっていい。周りの武将は昌幸のことを「食えぬやつ」と言っているんです。食えぬやつとは何かと考えました。そういうせりふの中に役のヒントがあります。田舎のがらっぱちおじさんというか、洗練されていない感じに自然になっていきました。こういう役は今まであまり演じたことがないので、僕にとってはすごく新鮮。魅力的な役をできるのは役者冥利(みょうり)に尽きますね。長い役者人生の中で3本の指に入るような作品になりそうです。

-真田家の家族の描写が注目点ですね。

 真田家は代々の教育がよくなされていると思います。家族の人間的なシーンがたくさんあって、ある種のホームドラマです。普通、戦国時代の男親はあまり子育てに関知しないのですが、真田家ではみんなが密になってやっている。そこが面白いです。そんな中で、お父さんの生き方を息子たちがどう感じるかということでしょう。

-次男、信繁役の堺さん、長男、信幸役の大泉洋さんとのチームワークが大切になってきますね。

 いきなり最初から難しいシーンを撮影したのですが、奇跡的にうまくいきました。それでこの家族はうまくいくと安心しました。シーンについて話し合うことはありませんでしたが、(撮影直後に)モニターを3人で見ていた時に爆笑や「わーっ」という手応えの声が上がりました。きっと2人も感じてくれていたんじゃないでしょうか。

-昌幸と各武将が絡むお芝居で心掛けていることはありますか。

 相手方のお芝居によって、引いたり、強くいったりと出方を変えて、芝居の中で駆け引きをしています。「徳川には気を許せないぞ」という芝居をやっていると思いますし、「北条には下手に出ないといけない」とか、「上杉は一本気だから情に訴えて」とか、相手によっていろいろ変えています。

-三谷さんの役者に対する視線はどんなふうに感じますか。

 大泉洋さんのかつて見たことがないぐらいのくそ真面目さとか、堺さんのとぼけた感じとか、役者のいろんな可能性を引き出してくれます。役者が生き生きできるように脚本ができているんですよ。僕ら役者は三谷さんに愛されているという感じがします。

-長丁場ですが、気を付けていることはありますか。

 風邪を引かないようにして、体力をつける。せりふのこともあって夜はなかなか眠れないんですけど、とにもかくにもよく眠るように、そしてよく食べるように心掛けています。


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

安田顕「水上くんの目に“本物”を感じた」水上恒司「安田さんのお芝居に強い影響を受けた」 世界が注目するサスペンスで初共演&ダブル主演「連続ドラマW 怪物」【インタビュー】

ドラマ2025年7月5日

 韓国の百想芸術大賞で作品賞、脚本賞、男性最優秀演技賞の3冠を達成した極上のサスペンス「怪物」。WOWOWが世界で初めてそのリメイクに挑んだ「連続ドラマW 怪物」(全10話)が、7月6日(日)午後10時から放送・配信スタート(第1話・第2話 … 続きを読む

TBS日曜劇場「19番目のカルテ」が7月13日スタート 新米医師・滝野みずき役の小芝風花が作品への思いを語った

ドラマ2025年7月5日

 7月13日(日)にスタートする、松本潤主演の日曜劇場「19番目のカルテ」(TBS 毎週日曜夜9時~9時54分)。原作は富士屋カツヒト氏による連載漫画「19番目のカルテ 徳重晃の問診」 (ゼノンコミックス/コアミックス)。脚本は、「コウノド … 続きを読む

南沙良「人間関係に悩む人たちに寄り添えたら」井樫彩監督「南さんは陽彩役にぴったり」期待の新鋭2人が挑んだ鮮烈な青春映画『愛されなくても別に』【インタビュー】

映画2025年7月4日

 第42 回吉川英治文学新人賞を受賞した武田綾乃の小説を原作にした鮮烈な青春映画『愛されなくても別に』が、7月4日公開となる。浪費家の母(河井青葉)に代わってアルバイトで生活を支えながら、奨学金で大学に通う主人公・宮田陽彩が、過酷な境遇を受 … 続きを読む

紅ゆずる、歌舞伎町の女王役に意欲「女王としてのたたずまいや圧倒的な存在感を作っていけたら」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年7月4日

 2019年に宝塚歌劇団を退団して以降、今も多方面で活躍を続ける紅ゆずる。7月13日から開幕する、ふぉ~ゆ~ meets 梅棒「Only 1,NOT No.1」では初めて全編ノン・バーバル(せりふなし)の作品に挑戦する。  物語の舞台は歌舞 … 続きを読む

【Kカルチャーの視点】異領域を融合する舞台芸術、演出家イ・インボの挑戦

舞台・ミュージカル2025年7月3日

 グローバルな広がりを見せるKカルチャー。日韓国交正常化60周年を記念し、6月28日に大阪市内で上演された「職人の時間 光と風」は、数ある韓国公演の中でも異彩を放っていた。文化をただ“見せる”のではなく、伝統×現代、職人×芸人、工芸×舞台芸 … 続きを読む

Willfriends

page top