【花燃ゆインタビュー】瀬戸康史「稔麿はものすごく人間的な人物。一緒に少しずつ成長していけたら」 松下村塾で四天王と呼ばれた吉田稔麿役

2015年2月21日 / 08:47

 NHKの大河ドラマ「花燃ゆ」で、高杉晋作(高良健吾)や久坂玄瑞(東出昌大)と共に松下村塾の有能な塾生として知られた吉田稔麿を演じている瀬戸康史。特に情報収集能力に優れた稔麿は、江戸から松陰に幕府の動きなどを逐一伝える重要な役割を担い、池田屋事件で命を落とさなければ総理大臣になっていたともいわれる人物。舞台で鍛えた演技力を武器にテレビ、映画と活躍の幅を広げる瀬戸が、稔麿の実直な人柄と幕末への熱い思いを語る。

 

吉田稔麿役の瀬戸康史

-「花燃ゆ」はどんな印象ですか?

 若い世代にも分かりやすいと思います。群像劇ですが、キュンとする要素も含まれていて、女性の心にも突き刺さる内容です。男女共に楽しんでいただけるのではと思います。幕末物はきれいに描かれがちですが、志士たちの描き方に、ものすごくリアリティーがあります。彼らも今の若者と同じように悩んでいますし、思っている根本は同じ。すごく身近に感じます。

-萩で印象に残ったことは?

  いろいろな所を歩いて回り、萩の空気感を感じることができました。萩の人は町に誇りを持っています。塾生たちもそうだったのではと思います。稔麿に関しては残っている資料が少なかったのですが、それを伝えようとしてくれている人がいるのがものすごくうれしかったです。世に出ていなかったような手紙も見せていただきましたが、走り書きした文面から伝わってくるものを肌で感じることができて、演じる上でとても良かったと思います。

-ほかにイメージを膨らませたものはありますか?

  台本を読んでいくうちに、久坂に食って掛かったり、すぐかっとなったり、ものすごく人間的なことが分かってきました。文(井上真央)に思いを寄せているのに、気持ちをはっきり言えないかわいらしさもありますし、家族を養うために自分が働かなければならないという責任感の強さも持っています。いろんなことを重ねつつ役を作っています。僕自身も稔麿と一緒に少しずつ成長できればいいなと思います。

-稔麿が命を落とした京都の池田屋には行きましたか?

 はい。今は居酒屋になっていますが、店員さんに吉田稔麿を知っているかと聞いたら「知りません」と言われました(笑)。店員さんにも知ってもらえるように頑張りたいです。

-文は理想の女性でしょうか?

  そうですね。家庭のこと、料理や洗濯はちゃんとできる女性じゃないと嫌だなと思います。自分のことより他人のことを考えられる人。それでいて控えめにしているだけではなく、時にはがつんと言って支えてくれる人。文はそんな女性です。

-ドラマ全体での見どころはどういうところですか?

 松陰先生が亡くなってから立て続けにいろんな人が亡くなっていきます。それぞれの死に様には感銘を受けると思います。ぜひとも見届けてほしいですね。

-ご自身のシーンに限定するとどうですか?

 松陰先生に「君の志は何だ」と聞かれるシーンです。稔麿は漠然としか考えていなくてすぐには返答できなかったのですが、その後考えて松陰に答えを出します。そのせりふはものすごく胸に突き刺さりました。シンプルでストレートなせりふですけどものすごい熱意がにじみ出ていて、瀬戸康史としても問われている内容でもあると思えました。役と自分がダブって聞こえてしまうところがあって、何のために俳優をやっているんだろうとか自分を見詰め直せる不思議な言葉だと思います。それと、やはり池田屋で命を落とすシーンですね。志半ばの無念の死を精一杯表現したいです。


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

ファーストサマーウイカ「それぞれの立場で“親と子”という普遍的なテーマについて、感じたり語り合ったりしていただけたらうれしいです」日曜劇場「19番目のカルテ」【インタビュー】

ドラマ2025年8月17日

 TBSでは毎週日曜夜9時から、松本潤主演の日曜劇場「19番目のカルテ」が放送中。富士屋カツヒトによる連載漫画『19番目のカルテ 徳重晃の問診』(ゼノンコミックス/コアミックス)を原作に、「コウノドリ」シリーズ(TBS系)の坪田文が脚本を手 … 続きを読む

橋本愛 演じる“おていさん”と蔦重の夫婦は「“阿吽の呼吸”に辿り着く」【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年8月16日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、快調に進行中。本作で蔦重の妻・ていを演じているのは、今回が4度目の大河ドラマ出演で … 続きを読む

山里亮太「長年の“したたかさ”が生きました(笑)」 三宅健太「山里さんには悔しさすら覚えます(笑)」STUDIO4℃の最新アニメ『ChaO』に声の出演【インタビュー】

映画2025年8月15日

 『鉄コン筋クリート』(06)、『海獣の子供』(19)を始め、個性的なアニメーションを次々と送り出してきたSTUDIO4℃。その最新作が、アンデルセンのおとぎ話『人魚姫』をベースに、人間の青年・ステファン(声:鈴鹿央士)と人魚王国のお姫さま … 続きを読む

ウィリアム・ユーバンク監督「基本的には娯楽作品として楽しかったり、スリリングだったり、怖かったりというところを目指しました」『ランド・オブ・バッド』【インタビュー】

映画2025年8月14日

 ラッセル・クロウとリアム・ヘムズワースが共演し、戦場で孤立した若手軍曹と、彼を後方から支援する無人戦闘機のベテラン操縦官の闘いを活写したサバイバルアクション『ランド・オブ・バッド』が8月15日から全国公開された。米海軍全面協力のもと、入念 … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(1)“たまたま”が導いた講談の道

舞台・ミュージカル2025年8月14日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼みなさん、こんにちは  日本の伝 … 続きを読む

Willfriends

page top