【花燃ゆインタビュー】東出昌大「文と久坂の愛情はきらきらしていて本物で、青春だったはず」 吉田松陰門下では一番の秀才。妹の文と結婚する久坂玄瑞役

2015年2月22日 / 08:57

 NHKの大河ドラマ「花燃ゆ」で、吉田松陰(伊勢谷友介)に師事した塾生の中で、高杉晋作(高良健吾)と共に松陰に最も期待された久坂玄瑞を演じている東出昌大。松陰の妹、文(井上真央)と結婚するものの、討幕運動に身を投じ、悲しい運命にのみ込まれてしまう。2013年の連続テレビ小説「ごちそうさん」でも鮮烈な演技を見せた若手俳優が、大河ドラマ初出演に熱い思いを語る。

 

久坂玄瑞役の東出昌大

-大河ドラマに出演オファーがあった時の心境は?

 もともと歴史好きということもあり、素直にうれしかったですね。同い年の高良健吾くんや、伊勢谷友介さんら他のキャスト陣の名前も聞いて心強く感じました。芸歴も4年目に入ったので、「挑戦、挑戦」とばかり言ってないで、しっかり地に足を着けてできればと思って腹をくくった形です。

-久坂玄瑞をどう思いますか。

 (司馬遼太郎の)『世に棲む日日』などいろんな小説を読む中で、長州藩の急先鋒で、一番過激な人というイメージがあったんですが、勉強すると決してそれだけではありませんでした。だからもっと掘り下げて、久坂玄瑞という人を皆さんに知ってもらえるように演じたいです。

-参考にしたものは?

 博物館で久坂の書状を見せていただいたり、あとは古川薫先生の『花冠の志士』とか、久坂や松陰、松下村塾についての本を読んだりしました。

 -初めて知った久坂の一面というのはありますか。

  吉田稔麿(瀬戸康史)が、暴れ牛とかみしもを着けて座っている人物と、木刀と棒切れを描いた一枚の絵を山県有朋に見せて「これは何か」と聞いたそうなんです。稔麿は「暴れ牛は高杉晋作で、建物の中にかみしもを着けて座らせていてもちゃんと絵になる男は久坂玄瑞。木刀は入江九一で、おまえが棒切れだ」と言ったとか。久坂は仲間内でも尊敬されていたと思いました。それに文の兄の梅太郎に無心する書状を送っていたりして、ちゃんと生きていた人間的な部分も描けたらいいなと思います。

-今回は高良さんとも一緒の出演ですね。

 もともと役者、モデルになる前から、16歳のころからの知り合いです。共演が決まって事前に勉強会をしてクランクインの前日を迎えました。そうしたら夜になって高良くんから電話があり「緊張して寝られない」って。なんとも高良くんらしいなと思いました。

-勉強会とはまさに松下村塾のワンシーンみたいですね。

 アドリブで議論する場面などが結構あり、共通認識を持っていた方がやりやすかったりするので、今後もやっていきたいです。松陰先生は「高杉は久坂を失ってはならない」と二人を並べて評したそうなので、僕にとっても現場で高良くんの存在は大きいです。お芝居は決して勝ち負けではないんですけど、ライバル関係というかそういう二人に通ずる感情がドロドロと流れている気がします。

―松下村塾を見てどう思いましたか?

  狭いですよね。すごい人口密度です。そのすごい熱量がドラマの映像として絵にならないといけないなって。それに萩という土地が奇跡的なものに思えます。萩で久坂の家から松下村塾までの距離を歩いてみたんですが、海が見えて山も川もあるその3、4キロの田舎道を若い久坂が一人で歩きながら日本を変えようと思っていたというのは、並大抵のスケールじゃない。奇跡的な人たちが集まった土地、時代だったんだなと感じました。

-久坂の生涯をどう思いますか?

 命を懸けた久坂に続けとその後討幕派が影響を受けた部分もあるので、無念だったという言葉では語りたくないところがありますね。志を持って生きた方です。

-プレッシャーはありますか?

 やらねばならぬという感じ。

-文との結婚生活。どんな夫婦関係を描きたいですか。

 文は後に楫取素彦(小田村伊之助)と結婚した時、久坂と交わした手紙を持って嫁いでいったのですが、楫取はそれを「涙袖帖(るいしゅうちょう)」というものにまとめて保存するように取り計らったんです。それはきっと文と久坂の愛情がきらきらしていて本物で、青春だった。そんなすてきなものだったから保存しておこうと考えてくださったのだと思います。久坂にとって文は掛け替えのない存在だったし、そういう意味でも久坂という人物をしっかり生きないといけないなと思います。

-「イケメン大河」という呼び声もあり、期待されている方へのメッセージを。

 みんな本気の人たちなので、見たら大河の印象が変わると思います。


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

グイ・ルンメイ、真利子哲也監督「お互いが思い合うからこそすれ違う。でもそこには愛があるという家族の形を描きたかった」『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』【インタビュー】

映画2025年9月12日

 ニューヨーク・ブルックリンで暮らすアジア人夫婦を主人公に、息子の誘拐事件をきっかけに夫婦の秘密が浮き彫りとなり家族が崩壊していく姿を、全編NYロケで描いた『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』が、9月12日から全国公開され … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(3)無鉄砲小僧、恐れを知らぬ行動力

舞台・ミュージカル2025年9月12日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼無鉄砲小僧、恐れを知らぬ行動力 … 続きを読む

北村匠海 連続テレビ小説「あんぱん」は「とても大きな財産になりました」【インタビュー】

ドラマ2025年9月12日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「あんぱん」。『アンパンマン』を生み出したやなせたかしと妻・暢の夫婦をモデルにした柳井のぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)夫婦の戦前から戦後に至る波乱万丈の物語は、ついに『アンパンマン』の誕生にたどり着いた。 … 続きを読む

中山優馬「僕にとっての“希望”」 舞台「大誘拐」~四人で大スペクタクル~の再始動で見せるきらめき【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年9月11日

 中山優馬が主演する舞台「大誘拐」~四人で大スペクタクル~が10月10日に再始動する。本作は、天藤真の小説「大誘拐」を原作とした舞台で、2024年に舞台化。82歳の小柄な老婆が国家権力とマスコミを手玉に取り、百億円を略取した大事件を描く。今 … 続きを読む

広瀬すず「この女性たちの化学反応は一体何なんだという、すごく不思議な感覚になります」『遠い山なみの光』【インタビュー】

映画2025年9月9日

 ノーベル文学賞受賞作家カズオ・イシグロが自身の出生地・長崎を舞台に執筆した長編小説デビュー作を、石川慶監督が映画化したヒューマンミステリー『遠い山なみの光』が9月5日から全国公開された。1950年代の長崎に暮らす主人公の悦子をはじめ、悦子 … 続きを読む

Willfriends

page top