NHKの大河ドラマ「花燃ゆ」で、九州遊歴中の吉田松陰(伊勢谷友介)と出会って意気投合し、共に東北を旅するなど交流を続け、尊王攘夷運動にも加わった肥後藩士の宮部鼎蔵を演じているビビる大木。芸能界きっての幕末好きとして知られるビビるが、松陰と宮部が築いた心の絆の強さと、幕末という時代のロマンを語る。
-出演の話があったときのお気持ちは?
主人公が松陰の妹だという設定に意表を突かれました。僕は毎年萩に行っているうちに、そんなに好きなら、と、萩のふるさと大使にしていただいたんですが、今回の役は長州藩士ではありませんでした(笑)。でも「松陰の親友の役ならいいですね」と萩の人にも言ってもらえたし、ありがたいと思っています。
-そもそも松陰や幕末好きになったきっかけは?
幕末にはまったのは、2004年に放送された三谷幸喜さん脚本の大河ドラマ「新選組!」がきっかけですね。歴史には興味がなかったんですけど、三谷脚本なら1年間見続けられるかもと思って、前年の03年から新選組について勉強し始めました。松陰の方は、もともと好きでよく行っていた伊豆に、松陰が黒船に乗り込もうとした時に潜伏していたところが残っていて、新選組と松陰が同じ時代に生きていたことに気付いたんです。松陰の行動力に引かれました。
-伊勢谷さん演じる松陰はいかがですか。
「龍馬伝」の高杉晋作の時もはまり役だなと思って見ていたんですけど、今回もなるほどなと思いました。この役をやりたかったとおっしゃっていたので、やはりそういうことを考えている人のところにちゃんと役は来るんだなと思いました。
-憧れの松陰の隣で、自分が宮部役をやっているのはどんな感覚ですか。
宮部でありながら大木でもある(笑)。不思議な関係でしたね。
-過去にもさまざまな人が宮部を演じていますが、ビビるさんならではの宮部とは?
一般的には無名の志士ではありますが、僕がやるからにはもっとみんなに知ってほしいと思っています。
-宮部にはどんなイメージがありましたか。
松陰が一緒に旅をした10歳ぐらい年上の人というぐらいです。宮部役に決まってからお墓参りをして生家と住んでいた場所に行きました。松陰が宮部を熊本に訪ねた時のシーンを、妻に松陰役をやってもらって演じてみました。イメージトレーニングです(笑)。
-「新選組!」や「龍馬伝」にも出ていらっしゃいますが、今回は本格的な大河デビューですね。
感情を入れ過ぎると「熱すぎて嫌」と言われるかもしれないので、静かに興奮しています。プロフィールに「大河3作(出演)」と書くと結構なものだなあと思っています(笑)。
-芸人仲間の劇団ひとりさんが伊藤博文役で出演と聞いてどうでした。
志士は良くも悪くもクレイジーな人たち。伊藤博文は後に総理大臣になったからすごいとあがめてしまいますけど、博文にもそういう部分があるはずなので、そこを出してほしい。劇団ひとりもクレイジーだし、遠慮せずに狂ってほしい(笑)。
-共演の方々はいかがですか?
皆さん冷静ですよね。僕は幕末好きというので入ってきているので、熱くなり過ぎないように気を付けないとと思っています。(坂本龍馬ファンの)武田鉄矢さんもかつてはこういう感じだったんでしょうね(笑)。その武田さんに宮部をやると報告したら「おまえ、いいのもらったな」って言ってくださいました。
-松陰はわずか29年の生涯です。
自分では悔いはないかのように描かれていますが、本当になかったのかどうか分からないですよ。ただ、いいか悪いかは分からないですが、処刑されたことで門下生に火が付いた面もあると思うんです。処刑は門下生にとって最後の授業だったような気がします。