【花燃ゆインタビュー】伊勢谷友介 「松陰先生らのように、未来を考えて今をどう生きるかということが大事なんです」 松下村塾で幕末の志士を育てた吉田松陰役

2015年1月2日 / 08:12

 NHKの大河ドラマ「花燃ゆ」の主人公、文(ふみ)の兄で、自らは幕末の混乱の中で命を落とすが、その高い志を継いだ教え子たちが明治維新を成し遂げるという、希代の教育者、吉田松陰を演じている伊勢谷友介。大河ドラマ「龍馬伝」で高杉晋作を演じ、高評価を受けた伊勢谷が、炎のように生きた松陰への熱い思いを語る。

 

吉田松陰役の伊勢谷友介

-演じたかったという松陰役のオファーが来た時どう思いましたか。

  映画『るろうに剣心』をご一緒させていただいた大友啓史監督に会うたびに「何かの作品で吉田松陰役があるのなら、ぜひやらせてもらいたい」と言っていたんです。そこにこの大河ドラマのお話があり、二つ返事でお受けしました。

-大河ドラマについてはどう思っていますか。

 昔と違い最近は、映画館に足を運ぶ人が減ってきているという実感があります。その中で、尊敬できることを成し遂げた松陰先生のお話をこうして世の中に出していくときに、なるべく多くの人が意識を共有するためには、大河ドラマは一番いい舞台だと感じています。

-「龍馬伝」で高杉晋作役から見ていた松陰と、今、松陰を演じる上で、気付いたことはありますか。

  実は高杉役を演じた時には松陰先生を全く意識していませんでした。高杉は時代の花形、トリックスターですので、けれん味を持たせたるなどお芝居の表現方法は数多くありました。ですが、松陰先生はその前に哲学者ですから、それを表現するために悩むことは多いですね。芝居を考える中で、松陰先生の考え方やおっしゃったことが実行されたことをあらためて勉強し、その行動があまりにも尊く、先生がいてくれたことは本当にありがたいことだと思います。

-松陰の魅力は?

  幕末当時は、人は地上に立った背丈の所からしかものを見れませんでした。でも今は、人は想像することで宇宙にも行けるわけですし、いまやその宇宙に立ったら地球はどう見えるかということも想像がつく時代になっている。常に先を見て、今どう生きるべきなのかというところを明確にして、純粋に突き進む。そうしてきた松陰先生らは、ただ考えるだけではなくて、実行を付け加えて突き進むことができたんです。つまり、未来を考えて今をどう生きるかということが大事なんです。

-松陰の四字熟語で好きなものは?

 現代人に必要なのは知行合一(ちこうごういつ)だと思います。知っていて行わないのは知らないことと同じだという意味です。今の日本は投票率がぐんと下がっていっている上に、生活の周りの事は政治家に任せきり、そして私たちは部外者として文句を言う、という構図はずっと変わってない。考えない人になってしまっているんです。何が必要なのかというと、その解決方法を一般の人々がそれぞれ考えて実行する時代が来たということ。小さな無責任の積み重ねは社会の悪。今生きている自分たちが頑張らないと未来は変わりません。そのために知行合一が大切になってきます。

-文と結婚する小田村伊之助役の大沢たかおさんの印象は?

 真っすぐな役を真っすぐに演じています。その気持ちをうっちゃらないで、ちゃんと正面で受け止められるように、それ以上に透き通った気持ちで向かい合わなければと思っています。誠実で空気も読める小田村さんと、誠実だけど空気よりも大事なのは未来だと思ってぶっ壊せる松陰と、その差が僕の無邪気さに変わって見えたらいいのかなと思って芝居しています。

-井上真央さんの印象は?

 どんなに長くてもせりふが全部入っているんです。「どうやって、せりふを覚えているの?」と聞いたら、「パンに書いて食えばいいんです」って(笑)。でも長いシーンでも心が折れることなく常におおらか。文は話をするのがあまり得意な役ではないのですが、ここぞというときにきちっと兄に向かって話す言葉にはものすごく意志が加わっていて、体に飛び込んできます。それが井上さんの大きさ、強さだったりするのかなと思っています。

-獄中のシーンは荒んでいく気持ちと熱くたぎる気持ちで演技のバランスが難しいところだと思いますが、どんなプランを立てていますか。

 獄に入って自暴自棄になりそうな時間があったんですが、獄の中で彼は「福堂策(ふくどうさく)」を書きます。つまり獄であってもどう過ごす場所にするかで、そこは人が成長する場所になり得るということを書いたのです。獄吏(監獄の管理人)も巻き込んで一緒に講義をしたり、グループごとに自分たちの思うことを話し合ったりしていくうちに、獄の中にあって人としてどうあるべきなのかということを身に付けていきます。獄中の松陰先生も、不遇を言い訳にしないで次の展開をつくれるような人物に造形していけたらいいなと思っています。


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