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佐藤 僕は撮影が終わって家に帰ると、妻に「ほんとに毎日撮影が楽しいわ。すごいよ」と言っていました。とにかく僕の前の席に、最初は染谷将太、その後が渡部篤郎で、寛一郎が入って、山田裕貴が座って…。いずれも一線級の俳優が相手なので、本当に楽しい日々でした。でも、対決したいとは全然思っていなくて、要は一緒に高みに登っていくのが楽しいんです。要するにこのメンツだったら間違いない。絶対に大丈夫だということです。ちょっと『羊たちの沈黙』(91)みたいな感じもあるけれど、タゴサクは普通の人でレクターさんみたいに特異な考え方を持っているわけではない。そこが大きく違うし、面白いですよね。
山田 僕は二朗さんが、『羊たちの沈黙』とか、いろんな悪役の形を全て分かった上で、タゴサクを緻密に表現してらっしゃると感じました。二郎さん自身は「最後までタゴサクのことが分からないようにしていた」とおっしゃっていましたが、分かっていなきゃできないでしょと思っていました。それを本当に何げなく普通に表現している二朗さんがすごかったなと。全てを一瞬であの表現まで持っていく感覚。それがものすごく細かいんです。「うわあ」って言ったと思ったら急に手で顔をおおったり、YouTube動画のくだりのせりふ回しとか、この人は全部分かってやっていると思ったし、そこに俳優としての矜持(きょうじ)を感じました。
佐藤 とにかく原作がとてつもなく面白いんです。だから映画も絶対に外せないと思いました。僕は完成作を見ている間、ずっとうれしかったです。めちゃくちゃ面白いから。しかも面白さが加速していく感じもあって、ホッとしました。永井(聡)監督にはとても感謝しているし、山田裕貴はもとより、刑事を演じた皆さんもすごく色気があると思いました。要するに、仲間を守る、それ以上に罪のない市民を絶対に守らなきゃいけないという悲壮なまでの覚悟が、色気みたいに見えたのかもしれない。もっと言えば、警察の人たちや特殊部隊のリアクションも、隅から隅まで本物だと思わせるものがある。だから自信を持って皆さんに薦められる映画だと思いました。
山田 完成した本編を見た二朗さんからほんとに面白かったというのを聞いて、安心したしうれしかったです。でも、僕たちがいくら面白いものができたと思っても、お客さんに見てもらわなければ、面白いと言ってくれる人が増えなければ意味がないんだよなと。だからこの面白さをどう伝えたらいいのだろうと。
佐藤 とにかく面白い。エンタメ性もあって、社会派でもあって、人の悪意を問うとか、いろんなものが凝縮されていて、本当に面白いということしか言葉が出てこないというか…。
山田 あとはもうお客さんの反応を信じるしかないという感じですね。
佐藤 そうだね。お客さんに育てていただきましょう。多分この作品はお客さんが育ててくれると思う。
山田 こういう時は、初めて見てくれる方にメッセージを送るのが正解だとは思うんですけど、僕は俳優が面白い作品ができたと言うのはものすごく重みがあると思っていて、自分も面白いものができたと思うけど、今日ジャパンプレミアで見てくれた人たちが、広めてくれるんじゃないかなと思っています。
佐藤 要するに、サスペンスであり、人間ドラマであり、社会派であり、そしてアクション物でもあるから、ぜひ見てくださいというのは、あまり届かないような気がします。今日、日本の皆さまの目に初めて触れるので、今日の皆さまにお任せします。お任せする自信はあります。スイッチを押すのはあなたです。あなたが見て判断してください。
山田 何か言い方がタゴサクっぽいですね(笑)。
(取材・文・写真/田中雄二)

(C)呉勝浩/講談社 2025映画「爆弾」製作委員会
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