連続テレビ小説「ばけばけ」主演の髙石あかり「言葉が通じないからこそ生まれる夫婦のかわいらしさを大切に」トミー・バストウ「あかりさんに助けられています」夫婦役の2人が込めた思い【インタビュー】

2025年9月27日 / 07:01

 NHKの連続テレビ小説第113作「ばけばけ」が9月29日から放送スタートとなる。西洋化で急速に時代が移り変わる明治を舞台に、松江の没落士族の娘・小泉セツと著書『怪談』で知られるラフカディオ・ハーン(小泉八雲)夫妻をモデルに、怪談を愛する夫婦、松野トキとレフカダ・ヘブンの何気ない日常を描く物語だ。放送に先駆け、主人公・松野トキを演じる髙石あかりとレフカダ・ヘブン役のトミー・バストウが、作品に懸ける思いを語ってくれた。

レフカダ・ヘブン役のトミー・バストウ(左)、主人公・松野トキを演じる髙石あかり(C)NHK

-ここまで撮影が進む中で感じたお互いの印象を教えてください。

髙石 撮影が始まって5カ月ほど経ち、役として、人として、お互いをゆっくり知っていっている途中です。その中で強く感じたのは、トミーさんの「日本をもっと知りたい!」という熱量の高さです。日本が大好きなトミーさんは、10年間独学で日本語を勉強され、撮影中も勉強を続けるなど、とても意欲にあふれているんです。そこは、小泉八雲さんにも似ている部分なのかなと。

トミー あかりさんは初対面のときから優しく話しかけてくれました。私のつたない日本語に合わせて会話をしてくれるので、とても助けられています。しかもつい先日、撮影現場に大きなアブが飛んでいたことがあり、私はあわててしまったのに、あかりさんはまったく動じることがなくてすごく格好よかったです。

髙石 私が正座したままじっとしていたら、周りをアブが飛び回っていたんです。それをトミーさんが追い払ってくれて、うれしかったです。

-松野トキとレフカダ・ヘブンという役を演じるに当たって、モデルになった小泉セツさんとラフカディオ・ハーン(小泉八雲)さんのどんな部分を生かそうとお考えでしょうか。

髙石 私がセツさんを知る上で大切にしているのが、『思い出の記』というセツさんの著書です。そこには、セツさんから見た八雲さんの様子が書かれているので、そこにある八雲さんに対する思いを通じて、セツさんを知っていくというやり方をしています。それによると、八雲さんはとても自由な考えの持ち主で、自分なりの正義をしっかり持った方だったそうです。そんな八雲さんに対するセツさんの愛情の深さや、慣れない日本で過ごす八雲さんを守ろうとする強さが、本当に格好よくて。それは、私の憧れの女性像であると同時に、トキに通じる部分でもあるので、お芝居に生かせたらと考えています。

トミー 調べれば調べるほど、ハーンさんに対する尊敬の念が強まり、それにつれて責任感も増しています。中でも、ハーンさんの正義感の強さと情熱の高さは、ヘブンにも生かせたらと思っています。

-お二人はそれぞれ、トキとヘブンとして、どのような夫婦像を作り上げていこうとお考えでしょうか。

髙石 『思い出の記』に書かれているセツさんと八雲さんの関係が、とてもかわいらしくてすてきなんです。2人だけで通じる言葉を使って会話をし、八雲さんがセツさんを「世界一のママさん」と呼んで気持ちを素直に伝えるなど、お互いに愛し合っている様子がひしひしと伝わってきて。そんなふうに、言葉が通じないからこそ生まれるかわいらしさを大切にしたいと思っています。

トミー 言語は違っても、お互いの文化を尊重する気持ちがあれば、愛を育むことはできるはずです。トキもヘブンも、子どもの頃は苦労が多く、早く大人にならざるを得なかった分、出会ってからは一緒に青春時代を過ごすような若々しさが出てくると思います。

髙石あかり(C)NHK

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】「2025年映画ベストテン」

映画2025年12月28日

 今回は、筆者の独断と偏見による「2025年公開映画ベストテン」を発表し、今年を締めくくりたいと思う。 【外国映画】  2025年公開の外国映画を振り返った時に、今年の米アカデミー賞での受賞作は最近の映画界の傾向を象徴するようで興味深いもの … 続きを読む

【Kカルチャーの視点】家族の情緒が国境を越える、俳優ムン・ソリが語る「おつかれさま」ヒットの理由

ドラマ2025年12月26日

 今年のヒットドラマ、Netflixシリーズ「おつかれさま」。子どもから親へと成長していく女性の人生とその家族を描き、幅広い世代から支持され大きな話題を呼んだ。IU(アイユー)との二人一役で主人公エスンを演じたムン・ソリに、ドラマの振り返り … 続きを読む

田中麗奈「こじらせ男の滑稽で切ない愛の行方を皆さんに見届けていただきたいと思います」『星と月は天の穴』【インタビュー】

映画2025年12月24日

 脚本家としても著名な荒井晴彦監督が、『花腐し』(23)に続いて綾野剛を主演に迎え、作家・吉行淳之介の同名小説を映画化した『星と月は天の穴』が12月19日から全国公開された。過去の恋愛経験から女性を愛することを恐れながらも愛されたい願望をこ … 続きを読む

天海祐希、田中哲司、小日向文世、でんでん、塚地武雅「12年の集大成を見届けてください!」大ヒットシリーズ、ついに完結! 劇場版「緊急取調室 THE FINAL」【インタビュー】

映画2025年12月23日

 2014年1月にスタートしたテレビ朝日系列の大ヒットドラマ「緊急取調室」。たたき上げの取調官・真壁有希子が、可視化設備の整った特別取調室で取り調べを行う専門チーム「緊急事案対応取調班(通称:キントリ)」のメンバーとともに、数々の凶悪犯と一 … 続きを読む

【映画コラム】時空を超えた愛の行方は『楓』『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』『星と月は天の穴』

映画2025年12月20日

『楓』(12月19日公開)  須永恵と恋人の木下亜子は、共通の趣味である天文の本や望遠鏡に囲まれながら幸せな日々を送っていた。しかし実は本当の恵は1カ月前にニュージーランドで事故死しており、現在亜子と一緒にいるのは、恵のふりをした双子の兄・ … 続きを読む

Willfriends

page top