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4月9日、2025年秋からスタートするNHKの連続テレビ小説「ばけばけ」の取材会が行われ、制作統括を務める橋爪國臣氏が、3月25日にクランクインした現場の様子などを語ってくれた。

(C)NHK
「ばけばけ」は、「怪談」で知られるラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の妻・小泉セツをモデルにした松野トキを主人公に、急速に西洋化が進む明治の日本の中で、埋もれてきた名もなき人々の心の物語に光をあて、代弁者として語り紡いだ夫婦の物語となる。
主人公・松野トキを演じるのは、2892人の中からオーディションを経て抜てきされた髙石あかり。4月2日に京都市内でクランクインした髙石の様子を橋爪氏は、「ベテランのキャストに囲まれて委縮することなく、思った通りの彼女の良さが発揮されている」と紹介。
髙石の芝居については「ちゃんと(役を)生きているのが分かる。あまりに自然で、演技か、演技でないのかわからず、芝居をしているように見えない」と絶賛。その演技があまりにリアルだったため、「演技だと気付かなかった人が、途中で止めてしまった」という現場で起きたハプニングも明かしてくれた。
さらに、「やはり、ふじき(みつ彦/脚本家)さんの脚本を体現できるのは彼女だった。選んでよかった。正直、彼女に助けられている部分がたくさんある」と語り、早くも信頼を寄せている様子。身近に接する中で目にした髙石の素顔についても「食べることが大好き。いろんなことに興味を持ち、アンテナが広い。そういうところが、芝居の深みにつながっている」と語ってくれた。
一方、小泉八雲をモデルにしたトキの夫ヘブン役に抜てきされたトミー・バストウは、話題作「SHOGUN 将軍」など、世界の第一線で活躍する実力派俳優。それゆえ、オーディションのときも「実力が圧倒的だった。この人しかないと、みんなで一致」と起用の経緯を振り返った。さらに「人柄も素晴らしく、誰もが彼のとりこになる」と語り、人間的魅力も兼ね備えている様子がうかがえた。
バストウの役作りについても、「ここまで役作りをする人はめったに見ない」と驚いた様子で、「われわれが知らない(小泉八雲に関する)アメリカ時代の小さな新聞記事から書籍まで読み込んでいる。この役をやるために自分の体をこう変えなければいけない、こういう歩き方を身につけなければいけない。とこだわっている」と語る言葉からも、その実力の一端がうかがえた。また、日本語が流ちょうなバストウは、監督とも通訳なしでコミュニケーションを取る一方で、「来日当初の八雲のカタコトの日本語のしゃべり方にもこだわっている」らしい。
夫婦役を演じる髙石とバストウのコンビについても「生で会話しているようなせりふのやりとりができ、一方的な芝居にならない。相性がいい」とたたえた。
そんな2人が活躍する作品の狙いを橋爪氏は「今、時代が混とんとする中で、うまくいかなかったり、取り残されたりする人がたくさんいる。そういった人たちの生きざまを描くドラマにしたい」と語った。
これを踏まえた作品の内容については、「明治の空気感や人々の感じをリアルに出していきたい」ということで、「映像や美術の感じは、普段の朝ドラのテイストとは少し違う感じになっている」らしく、「今まで見たことのない朝ドラになるのでは」と意気込んだ。
主人公トキのモデルとなった小泉セツについては、「ラフカディオ・ハーンと出会ったことで最終的には有名になるが、有名になる前の彼女に引かれた。時代に翻弄(ほんろう)された普通の人としての姿を描きたい」とのこと。
それゆえ、主人公トキのキャラクターも「弱いところもあるし、張り切って進んでいかなきゃ、という人でもなく、いろんなことに翻弄されながら生きていく普通の人」ということで、視聴者にとって今まで以上に身近な存在となりそうだ。同時に、「髙石さんの持ち前の明るさがあるので、暗いシーンでも暗くなり過ぎない。そこが彼女の良さ」と、髙石ならではの魅力も語ってくれた。
またこの日は、トキの幼少期を演じる福地美晴の出演も発表された。橋爪氏は福地について「すごく考えているが、芝居をすると考えたように見えないところがすごい。子役っぽくない芝居ができる大人の役者」と評価。劇中では一緒になることがない髙石とのやりとりについても「姉妹のようで、ほほえましく、仲良くやっている」と目を細めていた。

髙石あかり、(手前は)松野トキの少女期を演じる福地美晴(C)NHK
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