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稲垣吾郎
さまざまなお仕事をさせていただいている中で、舞台というのは心も体も自分にすごくフィットしていると思います。ストレスを感じることがないんですよ。自分のリズムに合っている。もちろん、大変な面もありますが、僕は日々、同じことを繰り返し、その中で変化をつけていくという作業が好きなんです。毎回、違うことを経験する現場というのも、そこでしか得られない刺激がありますが、僕はルーティンとなる仕事を大切にしたい。なので、舞台が合っているのだと思います。元々、人前に立つことや大勢の方に向けてお話をするといったことが僕は得意ではないんですよ。それなのに、舞台に立つと「生きている」という実感があるのが不思議です。自分でも矛盾しているなと思うのですが、それは役を通してそこに立っているからなのだと思います。演じることで、よろいをつけているような、魔法のようなものが自分にかかっているので、立てているのだと思います。
長く演じていても、まだ完成されていないんだなと毎回、思います。お客さまには失礼な話ですが、やればやるほど良くなっていって、理解も深まる。凝り固まったものを1度、リセットする作業も必要ですが、それによってさらに進化することができるのだと思います。「No.9」の演出の白井晃さんが「今が一番いいよね」とおっしゃっていたのですが、毎回、更新されていく感覚があります。もしかしたら自己満足かもしれませんが、そのくらいの気持ちを持っていないと続かない。そう感じられるから続いていくし、それが舞台なのだと思います。映像なんか後悔しっぱなしです。
あまり見たくないですね。「ああすればよかった。こうすればよかった」と考えてしまうので。芝居だけでなく、例えばテレビ番組の生放送もそうです。「なんであの言葉が出てこなかったんだろう」と後悔だらけです。でも、だからといってやり直せば良いものができるというものでもないんですよね。ライブ感が良かったりするものですから。ただ、舞台は映像とは違うので、重ねれば重ねるほど良くなっていくものだと僕は信じています。鮮度の良さを超えるものが生まれる気がします。
4カ月間の公演に出演するという経験はこれまでしたことがないです。ただ、これまでも公演期間が長くても「もういいよ」と思ったことはあまりないんです。4カ月というのは想像できない世界ではあるので、また見えてくるものがあると思います。しかも、今回はトリプルキャスト。それもすごく楽しみです。
舞台をやっていると普通にあることですが、僕は相手役が変わることはあっても、自分の役をほかの方も演じるという経験がないので不思議な感覚ですし、すごくありがたいことだと思います。舞台の現場では、例えば稽古に来ることができない俳優さんの代わりにスウィングの方が稽古をしてくれることがあるんですよ。その方が素晴らしい演技をされて、新しい発見ができるということもよくあります。トリプルキャストも同じで、「こうやって演じているんだな」と自分との違いを発見できたり、新しい視点を感じられて面白いだろうと思います。
猫と話したい(笑)。きっと猫たちもいろいろな感情を持っていると思います。猫同士で何か話をしたりしていますから。それぞれ性格もまるっきり違います。長女の女の子が一番優しくて、大人で母性がある。寝るときも、足元でお尻を向けながら守ってくれようとしている子もいれば、甘えん坊でくっついてくる子もいるし、全く近くに寄ってこない子もいる。それぞれ違っていて、僕にとって家族のような存在です。なので、彼らと話ができたらいいなと思います。
たくさんいるのでひとりに断定することは難しいですね。家族も友達も、ずっと一緒にやってきたメンバーもそうですし、会社のスタッフも、今も一緒にやっている草なぎさんや香取さんもそうです。本当にたくさんいます。俳優業ということでいえば、舞台の世界を教えてくれたのは、つかこうへいさんの「広島に原爆を落とす日」という作品でした。舞台の道という意味では、その作品が印象に残っています。
1つの体験として、赤坂駅を降りたときから楽しんでいただけたらと思います。舞台は、お客さまの時間を半日、場合によっては丸一日お借りするものです。大切な1日をこの作品に使ってくださるわけですから、思い出に残るような1日にしていただきたいですし、楽しんでいただきたいと思っています。劇場で、生の空間で応援してくださる方にお会いできることで、僕たちの生きるパワ―にもなります。劇場でお会いできることを楽しみにしています。
(取材・文:嶋田真己)
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