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僕はその二つは切り離して考えています。そうしないと保てないのかなと。グループ活動のときは、アイドルに振り切ってアイドルとしての自分でいますが、役者の仕事はより自分に近いのかなと思います。もちろんアイドルも自分ではあるのですが、お芝居をしているときは自分自身を見つめ直す時間が多いので、知らなかった自分も知れるし、弱いところや強いところ、恥ずかしい部分を見つめ直す時間にもなります。そして、自分をむき出しにしながら役に向き合っています。それが正しいやり方なのかは分かりませんが、やっぱり苦しい作業ではあります。ただ、自分という人間を更新していくために必要な作業なのかなと思うので、こうして舞台に出演させていただく機会をいただけるのはありがたいことだと感じています。
そうですね。舞台は自分のファン以外の方も見に来られます。アイドルの現場ってどこか甘えられる環境だと思いますが、舞台ではそうもいきません。僕を知らないお客さまが観劇され、僕が演じた役と作品のズレがあったときにはすごく厳しい意見をもらうこともあります。「本業はアイドルだもんね」と言われるのはすごく悔しいので、一旦切り離して、役者としての役目を果たせるように、自分自身と向き合うことに徹しています。
良くも悪くも全部100パーセントの力でやってしまうんですよ、僕。0か100で、中間が取れない。何事にも全力で手を抜かない。なので、役に対しても100パーセントで向き合いたい。それが良いところでもあるのかなと思います。ただ、向き合い過ぎるがゆえに作らなくていいところまで作り込んでしまうことがあって。そぎ落としていく作業が大変です。舞台の場合は、1回振り切って作って、後から引き算をしていく方がいいのかなとは思いますが…これは言い訳ですね(笑)。
それは今も悩んでいることです。僕は13歳でデビューして今、28歳になりましたが、どのタイミングで大人になるのか分からないんです。それに自立するタイミングもよく分かっていないのだと思います。静岡から東京に出てきて一人暮らしを始めたタイミングが自立と言えるのか。親元を離れたという意味ではそうですが、僕自身はいまだに自立できている感覚もない。一人で何でもできるようになったら自立なのか。でも、僕の場合はグループ活動があって、仲間あっての自分なので、そうするといつまでも自立したくないと思っているのかなとか、いろいろと考えます。なので、僕にとっては「自立」は永遠の課題です。逆に皆さんに聞きたいです。「自立」っていつだと思いますかって(笑)。
僕は片親ということもあり、自分の両親に対するコンプレックスが、どこかにあります。僕だけでなく、どの家庭にも何らかのコンプレックスはあるのかなと思いますが、そうしたコンプレックスが解消された夫婦でありたいというのが正直な気持ちです。なので、もし僕が父親になるとしたら、「こんな父親がいいな」と思う姿を自分で体現していきたい。自分が両親に感じてきた感謝と受け取ってきた愛情ももちろん大事ですし、そこで欠けていたのかもしれないなと思う部分も備わっている夫婦でありたい。それが僕の理想と言えるのかなと思います。
今、無事に終えたプロジェクトもそうでしたが、このところ人と関わることがすごく多くて、その中で自分の至らない点っていうのもたくさん見えてきました。逆に、自分の武器になりそうだなと思うところも見えてきて。たくさんの方と出会えたことで、人としての厚みを増すことができたと思うので、そこで得たものをグループ活動や役者としてのお仕事にも生かしていけたらいいなと思います。
(取材・文・写真/嶋田真己)
※蓬莱竜太の「蓬」の表記は、1点しんにょうが正式
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