松島聡、タイプロを終え「自分の武器になりそうだなと思うところも見えてきた」 役者業を通して「自分という人間を更新」【インタビュー】

2025年3月26日 / 08:00

-アイドルとしてグループ活動もされていますが、役者業をすることでグループ活動に影響や刺激があったり、その逆があったりということもありますか。

 僕はその二つは切り離して考えています。そうしないと保てないのかなと。グループ活動のときは、アイドルに振り切ってアイドルとしての自分でいますが、役者の仕事はより自分に近いのかなと思います。もちろんアイドルも自分ではあるのですが、お芝居をしているときは自分自身を見つめ直す時間が多いので、知らなかった自分も知れるし、弱いところや強いところ、恥ずかしい部分を見つめ直す時間にもなります。そして、自分をむき出しにしながら役に向き合っています。それが正しいやり方なのかは分かりませんが、やっぱり苦しい作業ではあります。ただ、自分という人間を更新していくために必要な作業なのかなと思うので、こうして舞台に出演させていただく機会をいただけるのはありがたいことだと感じています。

-そうすると、それぞれに違う醍醐味(だいごみ)があるという感覚ですか。

 そうですね。舞台は自分のファン以外の方も見に来られます。アイドルの現場ってどこか甘えられる環境だと思いますが、舞台ではそうもいきません。僕を知らないお客さまが観劇され、僕が演じた役と作品のズレがあったときにはすごく厳しい意見をもらうこともあります。「本業はアイドルだもんね」と言われるのはすごく悔しいので、一旦切り離して、役者としての役目を果たせるように、自分自身と向き合うことに徹しています。

-ご自身では、役者としての自分の武器はどんなところにあると思われますか。

 良くも悪くも全部100パーセントの力でやってしまうんですよ、僕。0か100で、中間が取れない。何事にも全力で手を抜かない。なので、役に対しても100パーセントで向き合いたい。それが良いところでもあるのかなと思います。ただ、向き合い過ぎるがゆえに作らなくていいところまで作り込んでしまうことがあって。そぎ落としていく作業が大変です。舞台の場合は、1回振り切って作って、後から引き算をしていく方がいいのかなとは思いますが…これは言い訳ですね(笑)。

-ところで、本作への出演が発表された際、「家族のことや『自立とは何か』など、自分に向き合いながら考えることになりそうです」とコメントされていましたが、今、松島さんの中では「自立」とはどんなものですか。

 それは今も悩んでいることです。僕は13歳でデビューして今、28歳になりましたが、どのタイミングで大人になるのか分からないんです。それに自立するタイミングもよく分かっていないのだと思います。静岡から東京に出てきて一人暮らしを始めたタイミングが自立と言えるのか。親元を離れたという意味ではそうですが、僕自身はいまだに自立できている感覚もない。一人で何でもできるようになったら自立なのか。でも、僕の場合はグループ活動があって、仲間あっての自分なので、そうするといつまでも自立したくないと思っているのかなとか、いろいろと考えます。なので、僕にとっては「自立」は永遠の課題です。逆に皆さんに聞きたいです。「自立」っていつだと思いますかって(笑)。

-本作では、ある夫婦の10年間の軌跡が描かれますが、松島さんが思い描く理想の夫婦像は?

 僕は片親ということもあり、自分の両親に対するコンプレックスが、どこかにあります。僕だけでなく、どの家庭にも何らかのコンプレックスはあるのかなと思いますが、そうしたコンプレックスが解消された夫婦でありたいというのが正直な気持ちです。なので、もし僕が父親になるとしたら、「こんな父親がいいな」と思う姿を自分で体現していきたい。自分が両親に感じてきた感謝と受け取ってきた愛情ももちろん大事ですし、そこで欠けていたのかもしれないなと思う部分も備わっている夫婦でありたい。それが僕の理想と言えるのかなと思います。

-4月10日に開幕する本作。4月というと新生活がスタートする時期でもありますが、松島さんはどんな1年にしたいですか。

 今、無事に終えたプロジェクトもそうでしたが、このところ人と関わることがすごく多くて、その中で自分の至らない点っていうのもたくさん見えてきました。逆に、自分の武器になりそうだなと思うところも見えてきて。たくさんの方と出会えたことで、人としての厚みを増すことができたと思うので、そこで得たものをグループ活動や役者としてのお仕事にも生かしていけたらいいなと思います。

(取材・文・写真/嶋田真己)

※蓬莱竜太の「蓬」の表記は、1点しんにょうが正式

 

 Bunkamura Production 2025「おどる夫婦」は、4月10日~5月4日に都内・THEATER MILANO-Zaほか、大阪、新潟、長野で上演。

Bunkamura Production 2025「おどる夫婦」

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