深川麻衣 主演のスリラー映画は「今までありそうでなかった着眼点」“ムラ社会”のダークサイドをえぐる『嗤う蟲』【インタビュー】

2025年1月21日 / 13:57

 田舎暮らしに憧れるイラストレーターの杏奈は、脱サラした夫・輝道(若葉竜也)と共に都会を離れ、麻宮村に移住する。自治会長の田久保(田口トモロヲ)をはじめ、距離感の近すぎる村民たちのおせっかいにへきえきしながらも、スローライフを満喫する2人だったが、やがて恐るべき村の秘密を目の当たりにする…。

 1月24日公開の『嗤う蟲』は、日本の“ムラ社会”のダークサイドをえぐるヴィレッジ《狂宴》スリラーだ。主人公・杏奈を演じるのは、『今はちょっと、ついてないだけ』(22)、『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』(23)などで活躍する深川麻衣。「今までありそうでなかった着眼点」と語る本作の舞台裏を聞いた。

深川麻衣(ヘアメイク:村上綾、スタイリング:原未来)(C)エンタメOVO

-オファーを受けて台本を読んだときの印象をお聞かせください。

 幽霊が出てくるようなホラーは苦手なのですが、こういう人間的で「もしかしたら、あるかも」と思えるスリラーやサスペンスは大好きで、普段から面白い作品を探して見ているんです。しかもこの作品では、次第に明らかになる“村の秘密”が、今までありそうでなかった着眼点だと思い、楽しく台本を読みました。

-そういう点に興味を引かれたわけですね。

 さらに、城定(秀夫)監督からは「杏奈と輝道の夫婦を善人に見せたくない」とも言われていて。「誰かが100%悪い」という描き方ではなく、どの登場人物にも同情の余地があり、見方や立場によって受け止め方が変わるんです。例えば、杏奈に子どもが生まれた後、村の人たちが代わる代わる抱っこする場面がありますが、それを「やめて。そんなに触らないで」と思う人もいれば、「かわいがってくれてありがとう」と思う人もいるだろうなと。そういう点も面白いと思いました。

-お話に出た、子どもが抱っこされる場面をはじめ随所で、村人たちに遠慮しつつも杏奈の嫌悪感が垣間見えるお芝居が絶妙で、物語にリアリティーを感じました。そういうお芝居は、どのように作っていったのでしょうか。

 今回は、城定監督が役者陣に委ねてくださった部分が大きかったんです。ただ、私には出産して子ども持つという実体験がまだないため、子を持つ母親が他人の介入を不快に感じるリアルな程度が分からなかったので、監督に相談したり、子どものいる友だちにいろいろと質問したりして、想像を膨らませました。

-なるほど。

 その上で、「善人に見せたくない」という城定監督のお話も踏まえ、お芝居する際は、杏奈自身にもその原因があると感じさせつつ、相手に遠慮しながら嫌がる杏奈の本心が、映画をご覧になる皆さんには伝わる、くらいの微妙なニュアンスを意識しました。

-なかなか難しそうなお芝居ですが、『愛がなんだ』(19)でも共演した若葉竜也(杏奈の夫・輝道役)さんとお芝居について相談した部分もあるのでしょうか。

 夫婦の会話については、映画を見ている方により親近感を覚えてもらえるように、若葉くんと監督と相談し、セリフをより日常的な言い回しに変えている部分があります。最初は物語が静かに始まり、そこからじわじわと緊張感が高まっていくので、夫婦間の空気感やリアクションを丁寧に作っていかなければと思っていました。また、撮影に入る前、若葉くんと「(ほかの村人役の)皆さんのキャラクターが濃い分、受けの芝居が多い自分たちは自然体で受けていったほうがいいね」という話もしていたので、そこは常に意識していました。

(C)2024映画「嗤う蟲」製作委員会

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

松坂桃李主演、日曜劇場「御上先生」 撮影現場の雰囲気、理想の教育環境について語った【インタビュー】

ドラマ2025年1月19日

 TBSは1月19日(日)21時から、主演・松坂桃李の日曜劇場「御上先生」を放送する。松坂は、東大卒でエリート文科省官僚から高校教師になった御上孝を演じる。本作は、子供が生きる「学校」、大人がもがく「省庁」という一見、別次元にあるこの2つを … 続きを読む

小泉堯史監督、松坂桃李「この話は、今だからこそちゃんと残す意義があると思いました」『雪の花 -ともに在りて-』【インタビュー】

映画2025年1月18日

 江戸時代末期の福井藩を舞台に、数年ごとに大流行して多くの人命を奪う疫病から人々を救うために奔走した実在の町医者・笠原良策の姿を描いた『雪の花 -ともに在りて-』が1月24日から全国公開される。本作の小泉堯史監督と主人公の笠原良策を演じた松 … 続きを読む

「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」第二回「吉原細見『嗚呼(ああ)御江戸』」魅力的な俳優陣が奏でる出色のアンサンブル【大河ドラマコラム】

ドラマ2025年1月17日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」。1月12日に放送された第二回「吉原細見『嗚呼(ああ)御江戸』」では、主人公・蔦屋重三郎(横浜流星)が、吉原に客を呼ぶアイデアとして、ガイドブック「吉原細見」の序文の執筆を、有名 … 続きを読む

上白石萌音、プロ棋士を目指していた弁護士役で「初めて壁にぶち当たりました」 ドラマ9「法廷のドラゴン」【インタビュー】

ドラマ2025年1月17日

 女性初のプロ棋士誕生を期待されながらも弁護士に転向した主人公が、存続の危機にひんする弁護士事務所の若き所長とともに奔走するリーガルドラマ、ドラマ9「法廷のドラゴン」(テレ東系・毎週金曜よる9時放送)が、1月17日より放送スタートする。本作 … 続きを読む

【週末映画コラム】“お試し移住”の結末は…『サンセット・サンライズ』/ドナルド・トランプの若き日を描く『アプレンティス ドナルド・トランプの創り方』

映画2025年1月17日

『サンセット・サンライズ』(1月17日公開)  新型コロナウイルスのパンデミックにより日本中がロックダウンや活動自粛に追い込まれた2020年。東京の大企業に勤める釣り好きの西尾晋作(菅田将暉)はリモートワークをきっかけに、南三陸に見つけた4 … 続きを読む

Willfriends

page top