華優希、草なぎ剛主演の「ヴェニスの商人」でシェークスピア初挑戦 「怖がらずに挑戦していきたい」【インタビュー】

2024年11月30日 / 08:00

-お稽古も進んでいると聞きます。稽古場の雰囲気はいかがですか。

 すばらしい俳優さんばかりで、皆さん、思いの丈を芝居に込めてぶつけていらっしゃることを感じるので、私ももっともっと大胆に挑戦しなければと感じています。

-主演の草なぎ剛さんの印象は?

 ずっと遠くから拝見していた方ですので、まずこれほど近くでお芝居を浴びられることが感激です。シェークスピアの言葉って、下手するとただ言葉の羅列になってしまう恐れがあると私は感じていますが、草なぎさんのせりふは、一言一言が胸に染み込んできて、どうやったらこんなお芝居ができるんだろうと、毎日、勉強させていただけるのが喜びでもあります。

-ところで2024年は舞台「千と千尋の神隠し」など忙しい1年だったと思います。改めて2024年を振り返って、どんな1年でしたか。

 ありがたいことにひたすら「千と千尋の神隠し」に没頭させていただけた1年でした。1月からお稽古が始まって、8月まで公演させていただいていましたので。

-「千と千尋の神隠し」ではロンドン公演もありましたね。

 日本文化や「千と千尋の神隠し」という物語が愛されていることを肌で感じて、とてもありがたい経験をさせていただいたと思います。やっぱり、数日間、旅行に行くだけでは感じられない、実際に自分が現地で働いたからこそ感じる、演劇のあり方を感じることができました。ウエストエンドという歴史のある演劇の街で、そうしたことを身をもって体感させていただけたのは、すごく大きな出来事だったと思います。

-どんなところに日本とロンドンの違いを感じましたか。

 ロンドンではより演劇が身近にあるものなのだなと思いました。日本だとやっぱり敷居が高いと感じる方にとっては手が出しづらいものなのだと思いますが、ロンドンではもっと生活に溶け込んでいるように思います。どちらが良い悪いではなく、それは演劇の歴史の違いだと思います。劇場がロンドンの人たちの中に自然と存在していることに一種のカルチャーショックを受けて、いい意味で、こんなにも身近でいいんだなと思いました。それは、お客さまとの距離もそうですし、自分の生活との距離もそうです。それから、日常からとても豊かに感情表現をされるので、裏方で働いているスタッフさんもずっと歌ってらっしゃったり、踊ってらっしゃったり。そういう光景は日本では見られないので、心からこの仕事やこの舞台を楽しんでいるんだなと感じました。そうした方と一緒に仕事ができて、そして、本当に舞台を楽しみに待ってくださっている方に届けられたというのは、今後の励みにもなると思います。

-2025年の目標は?

 まずはこの作品です。怖がらずに、いけるところまで挑戦していきたいなと思います。守りに入らず、森さんの演出や松岡さんが訳されたシェークスピアの言葉、そして共演者の皆さまとのお芝居といったものの力を全て借りて、挑戦していけたらなと思っています。そして、2025年も、たくさん人の影響を受けて、変化を恐れない年にできたらと思います。

(取材・文・写真/嶋田真己)

 舞台「ヴェニスの商人」は、12月6日~22日に都内・日本青年館ホールほか、京都、愛知で上演。

舞台「ヴェニスの商人」

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

高橋克典「これは吉良の物語でもあるのだと感じていただけるような芝居をしたい」 堤幸彦「『忠臣蔵』は、演劇的に言えば1丁目1番地的な作品」 舞台「忠臣蔵」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年12月10日

-堤さんと高橋さんは高橋さんのドラマデビュー作以来のタッグと聞いています。堤さんは高橋さんの吉良上野介にどのような期待を寄せていますか。 堤 ぴったりだと思いますよ。生き馬の目を抜く芸能界で酸いも甘いも知り尽くしていますから。デビューの瞬間 … 続きを読む

生田斗真が驚きの一人二役!「最初から決まっていたわけではありません」制作統括・藤並英樹氏が明かす舞台裏【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月8日

-治済に対する仇討ちのため、対立関係にあった蔦重と松平定信(井上祐貴)がタッグを組む展開にも驚かされると同時に、思わず胸が熱くなりました。 藤並 白河藩に戻った後の定信は、それまでとは打って変わって、大田南畝や山東京伝に本を書かせているんで … 続きを読む

板垣李光人「最初から、戦争を考えて見るのではなく、実際に見て感じたことを広めていっていただければ、それが一番うれしいです」『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』【インタビュー】

映画2025年12月5日

-戦場で、田丸が絵や漫画を描くことにどのような意味があったと思いますか。  功績係に任命された田丸には、もちろん何かを書き記すという使命感もあったでしょうが、いつ自分や仲間が命を落とすか分からない状況の中で、自分の世界の中で向き合えるものが … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(8)百年ぶりの復活へ 四代目が掲げた三つの大願

舞台・ミュージカル2025年12月4日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。    2016年に四代目・玉田玉秀 … 続きを読む

多部未華子「学びの多い現場でした」DV被害者役に挑んだヒューマンミステリー「連続ドラマW シャドウワーク」【インタビュー】

ドラマ2025年12月1日

  -雰囲気のいい現場だったようですね。  中でもしのぶさんは、「これはこういうことなのかな?」といった感じで、積極的に質問をされるんです。その上、「私、緊張しちゃう」などと、ご自身の気持ちを織り交ぜながら現場にいてくださるので、私も質問が … 続きを読む

Willfriends

page top