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すべてが終わって実感したのは、父や兄2人が亡くなり、その地位を継いだときから、権力を振りかざすことは道長の性に合わず、心底嫌だったんだな、ということです。本来なら、政治の実務は兄たちに任せ、自分はそのそばでのんびり過ごしたかったのではないでしょうか。その点でいえば、道長は自分を頼ってくる(異母兄の)藤原道綱(上地雄輔)の自由さに憧れていた部分もあるに違いありません。だからこそ、仲良くやれたのかなと。そういう意味では、道長は兼家とはまったく違う、というのが僕の結論です。
そうですね。道長は、まひろの顔を見ることで、ほっと安心していたのでしょう。何かと理由をつけてまひろの元に通っていましたが、まひろが内裏にいるだけで心強く、支えられていた部分は大きいと思います。
意識していたわけではありませんが、気付いたら、道長は「対まひろとその他大勢」という構図になっていました。大石先生もそれを意図して脚本を書かれていたと思います。特に、まひろが内裏に上がってからは、「道長は、まひろのことになると、周りが見えなくなる」と、ト書きに書かれていることもあって。それは、倫子の前に出たとき、僕が迷わないように、大石先生が気を遣って書いてくださったのかなと。
例えば、倫子も同席したうたげの場で、まひろの歌に道長が見事な返歌を詠み、2人の関係がうわさになったことがありました(第三十六回「待ち望まれた日」)。あの場面も、歌を詠んだ後、お互いを意識して顔を見合わせるくだりでは、「俺もやるだろ、という目」と、ト書きに書かれていたんです。つまり、まひろしか目に入らない道長は、自分のミスに全く気付かない。そんなふうに、「対まひろとその他大勢」という構図に、自然となっていった感じです。
今回の経験の価値については、10年くらい経ってようやく実感できるのかなと思います。ただ、この現場で準備期間を含めて2年近く過ごして培われたスタッフの皆さんとの関係から生まれた“厚み”のようなものを、今後、例えば1日だけ参加するような現場でも出すことができないかと考えています。1日限りの現場の場合、「完成した芝居をしよう」という欲が出てしまいがちですが、2年続くと「この場で完成しなくてもいい」と思うことができ、それによって芝居に豊かさが生まれるんです。初対面の方たちとの現場でも、そういうことができたら…と。そのために、2年かけて培ったものを凝縮する方法を模索しているところです。
(取材・文/井上健一)

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