柄本佑「道長は権力を振りかざすことが、心底嫌だった」“出家”の節目を迎えた藤原道長役を振り返る【「光る君へ」インタビュー】

2024年11月24日 / 20:45

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。第四十五回で、「源氏物語」を書き上げた主人公まひろ/紫式部(吉高由里子)は内裏を去り、旅に出た。それを知った藤原道長は、その権力を息子・藤原頼通(渡邊圭祐)に譲って出家。物語が最終盤に差し掛かった今、“出家”という大きな節目を迎えた道長役の柄本佑が、これまでの撮影を振り返ってくれた。

(C)NHK

-第四十五回で道長が出家しました。柄本さんがそれまで伸ばしてきた髪を実際にそられたそうですが、撮影はいかがでしたか。

 出家するシーンの撮影は、不思議な時間でした。最初はなんてこともなく進んでいたのに、そった髪が落ちて手の甲に当たったとき、急に感極まってしまって。一昨年の6月ごろから伸ばしてきた髪を一気にそったことで、その間過ごしてきた時間を振り返らずにはいられませんでした。

-道長の出家の理由については、どのように捉えましたか。

 出家の理由について道長は、まひろの不在を指摘する妻の倫子(黒木華)に「休みたい」と語っていました。そういう地に足のついたせりふを書かれる大石(静/脚本家)先生はすてきだなと。まひろが都を去ることへのショックや政治的な思惑など、道長にはいろんな思いがあったはずですが、かっこつけたことを言わないんですよね。そんなふうに「立派」とは程遠い人物として道長を描いていただき、演じる上でも非常に助けられました。

-第四十五回で道長は、まひろから賢子(南沙良)が自分の娘である事実を打ち明けられましたが、道長はそのことに気付いていたのでしょうか。

 賢子の件に関しては、チーフ演出の中島(由貴)さんから、「道長は気付かない」というお話があったので、僕自身は気付いていないつもりで演じていました。ただ、完成した本編では音楽やアングル、編集などによってニュアンスが微妙に変わるので、僕が意図したほど「気付いていない」ようには見えないかもしれません。だからその辺は、ご覧になった皆さんが、自由な解釈で楽しんでいただければと思います。

-第四十四回「望月の夜」のラストでは、道長が「この世をば わがよとぞ思ふ…」という有名な「望月の歌」を詠む場面がありました。これまでは「道長が自分の権勢を自慢したおごり高ぶった歌」と捉えられてきましたが、第四十五回で新たな解釈が示されたことが新鮮でした。

 今回は従来と異なり、「今夜はいい夜だ」と言葉通りに歌ったという解釈になりました。第四十四回で道長は、自分の家族や藤原公任(町田啓太)からも自身に関する苦言を呈されて、どんどん追い詰められていくので、今までのような意味合いで詠むのは難しい、と演出の黛(りんたろう)さんとも話していたんです。撮影では、僕が感じた歌の意味だけを、ポンと置くように演じたかったのですが、「かっこよく歌いたい」という雑念が邪魔をして、かなり苦戦しました。友吉(鶴心/芸能指導・考証)先生も「それが一番難しい」とおっしゃっていました。

-その直後、まひろと視線を交わした道長の心境は、どのようなものだったのでしょうか。

 これまで演じてきて気付いたのは、公の場で道長がまひろを見るときは、「自信にあふれている」というよりも、「ここから救い出してくれ」といった心境なんです。だから、その場面もそんな思いを込めて演じていた気がします。

(C)NHK

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

相葉雅紀「チームメイトの障がい者の皆さんから、ものすごい熱量を感じました」黒島結菜「相葉さんは本物の野球チームの監督のようでした」実際の障がい者たちとも作り上げた奇跡の物語『4アウト ─もう一度、プレイボール─』【インタビュー】

映画2026年11月3日

 東京に初めて結成された身体障害者野球チーム「東京ブルーサンダース」創設の実話に基づく奇跡の物語『4アウト ─もう一度、プレイボール─』が、11月6日から全国公開となる。  戦力外通告を受け、失意の日々を送っていた元社会人野球選手の矢上雄一 … 続きを読む

山崎育三郎「一番、自分に近い存在」 ミュージカル「ファインディング・ネバーランド」が伝える「解釈力」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年10月31日

 山崎育三郎が主演するミュージカル「ファインディング・ネバーランド」が2027年1月8日から上演される。本作は、ジョニー・デップ主演で2004年に公開された映画『Finding Neverland』(邦題『ネバーランド』)を元に作られたミュ … 続きを読む

【映画コラム】10月の公開映画から

映画2026年10月31日

「ディスクロージャー・デイ」(10月1日公開)★★★★ 宇宙人の存在を知った人類は…  地球外生命体を巡る秘密と、その開示に迫るスティーブン・スピルバーグ監督のSFサスペンス。「未知との遭遇」から約50年。宇宙からの来訪者を描いてきた監督が … 続きを読む

柳楽優弥「川栄さんと真剣に作品に向き合ってきた」川栄李奈「柳楽さんを信頼しています」共演4度目の2人が伝説的作品に挑む『RYUJI 竜二』【インタビュー】

映画2026年10月30日

 1983年に公開されるや否や観客の熱狂的な支持を集めた『竜二』。直後に主演・脚本の金子正次が急逝したことも重なり、伝説的作品として時代を超えて語り継がれてきた。その伝説が、新たに『RYUJI 竜二』として令和の現代によみがえる(10/30 … 続きを読む

横浜流星に「流星をよろしく」の声続々 『国宝』脚本家・奥寺佐渡子が「LOST10」で感じた愛される人柄【インタビュー】

ドラマ2026年10月30日

 横浜流星が主演するドラマ「LOST10」が、毎週金曜午後10時からTBS系で放送中だ。本作は、横浜と映画『国宝』以来の再タッグとなる奥寺佐渡子氏が脚本を担当し、「Nのために」「最愛」などを手掛けた塚原あゆ子監督らのチームが制作するヒューマ … 続きを読む

page top