「感情たちが活躍して自分の力で乗り越えるところが面白い」「誰もが一度は歩んできた道を表現しているのがすごい」『インサイド・ヘッド2』大竹しのぶ、多部未華子【インタビュー】

2024年8月5日 / 08:00

 高校入学を控え人生の転機に直面したライリーの頭の中で新たな感情が現れる。人間が抱く感情たちの世界を舞台に描き、アカデミー賞で長編アニメーション賞を受賞したディズニー&ピクサーの映画『インサイド・ヘッド』の続編である『インサイド・ヘッド2』が、8月1日から全国公開された。日本版で前作に引き続きカナシミを演じた大竹しのぶと、最悪の将来を想像し、あたふたと必要以上に準備してしまう新キャラクターのシンパイを演じた多部未華子に話を聞いた。

(左から)大竹しのぶ、多部未華子 (C)エンタメOVO

-前作についてはどのように思いましたか。

大竹 まず、頭の中の感情が主人公というのがすごい発想だなっていうのと、人間の感情の最初にヨロコビがあって、みんながヨロコビを持って生まれてくるという考え方がすごく感動的だなと思いました。あとは、やっぱり色が美しい、画面が本当に美しいなと。

多部 私もピクサー作品は大好きで、前作を映画館に見に行った時に、設定がすごく斬新なのに頭の中の感情には誰でも共感できるから、すごい話だなと思った記憶があります。例えば、その思い出はこっちに、取っておきたいものはこっちに、忘れたいものはこっちに、みたいなことはきっと誰にでもあるだろうから、映画の中でそれを再現しているのはすごいなと思いました。

-大竹さんはカナシミ役で続投、多部さんはシンパイ役でピクサーアニメーションの吹き替えに初挑戦でしたが、実際に演じてみてどう思いましたか。それと今回声優をするに当たって何か気を付けたことはありましたか。

大竹 基本的には、もともとあちらの方がやっている英語のスピードに合わせなければならないのですが、それほど違和感なくできたことに自分でも驚きました。アフレコをしたのは8年ぶりなのですが、すぐにカナシミの声になれました。何かを気を付けようと考えることもなく、普通にできました。最初の時は、演出の方に「ここはもう少しゆっくり」とか言われたのですが、あまり注意されることもなく、順調にできてうれしかったし、それだけカナシミは私の体にも入り込んでいたんです。

多部 私はオーディションでシンパイ役に決まりました。シンパイのオリジナルの声はハスキーな感じだったのですが、「ハスキーじゃなくてもいいので、ちょっと癖のある声にしたい」と言われて行き着いた声でした。ちょっとだけ癖のある声でずっとしゃべっていたので、シンパイなりの喜びというか、感情表現をその声でずっと出し続けることができるかなと不安を持ったままで終了しました。

-大竹さんから見たシンパイ役の多部さん、多部さんから見たカナシミ役の大竹さんのそれぞれの印象について聞かせてください。

大竹 多部ちゃんの声は、舞台でもとてもはっきりしていて、他の人にはない声を持っていると思います。今回のシンパイ役もぴったりな感じでした。せりふのスピード、活舌、全てにおいてパーフェクトです! 私は声優ではないので、声優さんたちは本当にすごいなといつも思います。声だけでやるというのは本当に難しい。今回のヨロコビの役は、小清水亜美さんが担当されたのですが、新たなヨロコビが誕生した感じがしました。みんな素晴らしいです。

多部 この映画のメインはヨロコビですが、カナシミとシンパイが話す場面も多かったので、大竹さんと声だけでもご一緒できて、同じ作品に声を乗せることができてうれしかったです。カナシミは特徴のある声ですが、大竹さんっぽくないところがすごくいいと思いました。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

上白石萌歌「小さなお子さまから大人の方まで幅広く届いてほしいと思います」『トリツカレ男』【インタビュー】

映画2025年11月11日

 何かに夢中になると他のことが目に入らなくなってしまうジュゼッペ(声:佐野晶哉)は、街の人々から「トリツカレ男」と呼ばれている。ある日、ジュゼッペは、公園で風船売りをしているペチカに一目ぼれし、夢中になるが…。作家・いしいしんじの同名小説を … 続きを読む

八木莉可子「相反する二面性をどちらも大切にしたい」「終幕のロンド -もう二度と、会えないあなたに-」【インタビュー】

ドラマ2025年11月10日

 草なぎ剛主演の月10ドラマ「終幕のロンド -もう二度と、会えないあなたに-」(カンテレ・フジテレビ系/毎週月曜午後10時)。第3話で強烈なインパクトを残したゆずは(八木莉可子)の母(雛形あきこ)が、再びHeaven’s messenger … 続きを読む

目黒蓮が抱いた“継承への思い” 妻夫木聡、佐藤浩市から受け取った“優しさ”と俳優としての“居住い” 日曜劇場「ザ・ロイヤルファミリー」【インタビュー】

ドラマ2025年11月9日

 日曜劇場「ザ・ロイヤルファミリー」への出演発表時、“物語の鍵を握る重要な役どころ”という情報のみだった目黒蓮演じる謎の人物。そこから約2カ月、11月2日放送の第4話でようやくその正体の一端が解禁された。男の名は中条耕一、佐藤浩市演じる山王 … 続きを読む

堤真一、三宅唱監督「実はこういうことも奇跡なんじゃないのということを感じさせてくれる映画だと思います」『旅と日々』【インタビュー】

映画2025年11月6日

 三宅唱監督が脚本も手掛け、つげ義春の短編漫画『海辺の叙景』と『ほんやら洞のべんさん』を原作に撮り上げた『旅と日々』が11月7日(金)から全国公開される。創作に行き詰まった脚本家の李(シム・ウンギョン)が旅先での出会いをきっかけに人生と向き … 続きを読む

【映画コラム】俳優同士の演技合戦が見ものの3作『爆弾』『盤上の向日葵』『てっぺんの向こうにあなたがいる』

映画2025年11月1日

『爆弾』(10月31日公開)  酔った勢いで自販機を壊し店員にも暴行を働き、警察に連行された正体不明の中年男(佐藤二朗)。自らを「スズキタゴサク」と名乗る彼は、霊感が働くとうそぶいて都内に仕掛けられた爆弾の存在を予告する。  やがてその言葉 … 続きを読む

Willfriends

page top