エンターテインメント・ウェブマガジン
基本的には、映画を作り始めたとき、会話の場面を描くことからしか発想できなかったんです。人の動きを演出するより、会話によって人間関係が変わって発展させるのがどちらかといえば得意でした。でも会話の場面は、例えば喫茶店でずっとしゃべっていたら映画としては面白くないので、会話の場面を乗り物の中でやることはずっとやっています。最近になって車が出てくるのは、ある程度、予算が掛けられるようになったから。若い頃は電車でゲリラ撮影もしましたが、ある程度スタッフがそろって、安全を確保することができるような体制が組めるようになってくると、車での撮影も可能になるし、その車の中での人間関係というか、公共交通機関で話すことと、プライベートの空間としての車で話すことは結構違ってきます。その空間にも影響されて、今までよりもパーソナルな会話が、乗り物の中でやりやすくなったというのはあると思います。
ある程度登場人物をちゃんと作っていくと、この映画に限らず、その人物の人生の途中で終わらざるを得ません。ある問題が一瞬は解決したとしても、人生は続いていくものですよね。だから、観客が「この続きがあるんだから、もっと見せて」と思うぐらいのものが望ましいと思っています。登場人物の人生や彼らの行動原理はちゃんと作ったつもりなので、途中で終わったとしても、観客は想像してくれるのではないかという期待も込めて、あの終わり方にしています。途中で終わるというのは、基本的には全然悪いことではないと思っています。むしろ、途中で終わったり、どこか不条理なものを残したりというのが、最近の映画にはなさ過ぎるのではないかと。自分が映画を見始めた頃は、そんな映画が多かった印象がありますし、本来もっとそういうふうに終わる映画を見たいと自分自身が思っています。それで特に今回は、思い切ってあるポイントで終わってみました。それで観客がどういうふうに反応するんだろうということも楽しみにはしています。
たくさんあります。自分1人で何かを思いつくということはないです。基本的には、今まで見てきた映画や現実から、少しずつ要素を頂きながら作っているのが実際です。今回はビクトル・エリセ監督の『ミツバチのささやき』(75)から直接的な影響を受けています。
今回は、石橋英子さんの音楽に導かれて作って、映像も音響も、スタッフも映っているキャストも本当に素晴らしい仕事をしているので、エンターテインメントを楽しむつもりで、ぜひ見に来てださい。この映画に限らず、常に観客には委ねられているとは思っていますが、今回は極上のエンターテインメントを作ったつもりです。ぜひ映画館で体感していただけるとありがたいなと思います。特に自分自身が楽しい、面白いと思って作っていますし、ハラハラドキドキとできる映画だと思っているので、ぜひ、そういうふうに見ていただきたいなと思います。
(取材・文/田中雄二)

(C)2023 NEOPA / Fictive
ドラマ2026年10月11日
NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」(総合 毎週日曜 夜8:00~ほか)。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=羽柴秀長/仲野太賀)が、兄・秀吉(池松壮亮)を支え、兄弟で天下統一を成し遂げるまでの軌跡跡を描く物語は快調に進行中だ。劇中、秀 … 続きを読む
舞台・ミュージカル2026年10月11日
-役者としては、そのいのうえさんが提示したものを超えるというのは大変だったのでは? いのうえさんがやると稽古場がドカンと揺れるぐらい周りにいる皆さんが笑うので、いのうえさんの後にやるというのはなかなかのプレッシャーでした(笑)。 -今作の … 続きを読む
舞台・ミュージカル2026年10月10日
-そうした役柄に共感するところはありますか。 濵田 ローマは、二幕になると、途端に本性が見えてきて、それまで隠していたものがあることが分かるので、どれが本当のローマなんだろうかと思います。なので、共感は難しいですが、これまで僕が出会ったこと … 続きを読む
映画2026年10月9日
-戸田さんが当時の生活に引かれる理由は何でしょうか。 昔から、向田邦子さん(「寺内貫太郎一家」、「阿修羅のごとく」などを手掛けた昭和の脚本家、小説家)の作品や、そこ描かれている戦後昭和の生活スタイルが好きだったんです。世の中は今よりもずっ … 続きを読む
映画2026年10月8日
「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」(11日公開)★★★ 戦争が残した加害と被害の記憶 ベトナム戦争に従軍した元海兵隊員アレン・ネルソン(ロドニー・ヒックス)は、帰国後も戦場の記憶に苦しみ続ける。だが、自らの戦争体験を人前で語り始 … 続きを読む