吉原光夫「ひたすら演技がうまくなりたいだけ」 演技への真摯な思いを持って新たなミュージカルへ挑む【インタビュー】

2024年2月14日 / 13:24

-ところで、昨年は大河ドラマや日曜劇場など、映像作品でも活躍されました。映像作品での現場では、どのような楽しさを感じていますか。

 映像の方は、まだ経験が少ないので、必死にやっています。ただ、座組みに恵まれているのか、映像界もすごくクリエーティブなものを作ろうとする力が強いことを感じていて、僕はそれがすごく好きです。色々なことを試してみたり、僕から出てくるものに対してきちんと意見を交わしてくれたりする世界が好きですね。

-舞台との違いはどんなところに感じていますか。

 舞台と映像で演じ分ける方も結構いらっしゃいますが、僕はそれはしていないんですよ。フォーカスやベクトルの強弱の違いだと思うので、演技法を変えるということは、今のとこあまりしていません。ただ、映像は舞台と違って最初から最後まで順番に演じるわけではないので、温度を失わないようにとは思っています。僕は集中力がうまく使える方ではないので、舞台よりもしっかりと、そのシーンの前の心情に体を慣らして作るようにしています。

-以前から映像作品でのお芝居にも興味があったのですか。

 そうですね。小さい頃からコアな映画を父親と一緒に見ていたので、映画は好きでした。それから、人間模様の最終形態は、舞台よりも映像のような気がしています。寄った映像で見せることでしか分からないものがあるじゃないですか。カット割りをバンバン入れることによって軸が飛んで、たくさんの情報量を提供できるのも映像だからできることだと思います。なので、そうした世界で一つの役を演じ切るということには興味がありましたし、やってみたらやっぱり面白いと思っています。

-舞台に出演する際に、映像での経験が生きていることを感じることはありますか。

 自分は間違ってなかったんだなとは感じています。日本の舞台界は、演技方法がバラバラなんですよ。歌舞伎の人がいたりとか、2.5次元からきている人もいたり、ミュージカルをやってきた人がいたり、色々な人がいる。それが、一斉に集まって、ごった煮のように演技をして、みんな傷つけないようにリスペクトしたふりをしている。けれども、海外では、全員が分かるエチュードがあって、共通した方法を持っている。日本の場合は、そうしたエチュードをみんなが知らないからぐちゃぐちゃな状態で、自分が否定されたり、自分が違うのかなと思うことも多かったんです。そんな中、映像で自分の完成した演技を見たり、監督と話していくうちに、舞台でやっているものがこうして使えるのだから、自分は間違った演技方法ではなかったのかなと思えるようになりました。それに、映像に出ることで1発の集中力は出たのかなとも思います。その集中力は、舞台でも使えるのではないかなと思います。

-今後はどのような活動をしていきたいですか。

 僕はあまり野望というものがなく、ただ、ひたすら演技がうまくなりたいだけなんです。うまい俳優、いい俳優になりたいという思いが強いので、そこに向かって精進するしかないと思っています。それから、45歳になり、そろそろ未来を担う若手たちの環境を考えていかないといけないなと思います。舞台界も色々な問題があります。例えば働く環境もそうですが、少しでも呼びかけをして環境を改善していくことが大事だなと思います。僕たちが頑張ってきたんだから同じ道を通れというような大人にはなりたくない。少しでもいい環境で渡してあげたいと考えています。

-最後に改めて本作の公演を楽しみにしている方にメッセージを。

 9.11の裏で起きた出来事を描いた物語ですが、われわれにとっての3.11や数々の災害、困難が起こった時も同じことだと思います。自分はどこにいればいいのか分からなくなった時、周りの人たちが無条件でここにいていいと言ってくれ、寄り添ってくれる人がいるかもしれない。今はSNS上や学校などでも小さなテロやいじめ、正義を振りかざした攻撃が日々、行われていますが、攻撃する側になるのか、それとも寄り添う側になるのかを考えさせられるミュージカルになっていると思います。

(取材・文・写真/嶋田真己)

 ブロードウェイミュージカル「カム フロム アウェイ」は、3月7日~29日に都内・日生劇場ほか、大阪、愛知、福岡、熊本、群馬で上演。

 

 

ブロードウェイミュージカル「カム フロム アウェイ」

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】世界が揺らぐとき、人間は何をするのか…『DIGGER/ディガー』『ディスクロージャー・デイ』

映画2026年10月20日

『ディスクロージャー・デイ』(10月1日公開)  サイバーセキュリティーの専門家ダニエル(ジョシュ・オコナー)は、謎の組織ワーデックスから機密情報を盗み出す。一方、ローカル局で気象予報士を務めるマーガレット(エミリー・ブラント)は、突如とし … 続きを読む

堂本光一演出「百鬼夜鏡」、「期待を超える作品を作っていけたら」川﨑皇輝×内村颯太×元木湧×北川拓実×安嶋秀生×松尾龍【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年10月20日

-本作の注目してもらいたいところは? 松尾 たくさんのキャラクターが登場しますが、全員に感情移入できる作品なのではないかなと思います。光一くんは、「陽」だけのものは作らないと思うので、「陰」があったり、考えさせられる物語になると思います。お … 続きを読む

芦田愛菜、努力を続けるコツは「一度に大きく飛躍しようと頑張り過ぎない」【インタビュー】

ドラマ2026年10月19日

-南の初恋の相手・船井湊人を演じる高橋文哉さんとは初共演ですが、印象を教えてください。  初日はドラマの鍵になる出会いのシーンを撮影しました。大事なシーンだったので、どうするかを話し合いながら臨みましたし、すてきなシーンになっていると思いま … 続きを読む

ドラマ「LOST10」脚本・奥寺佐渡子×監督・塚原あゆ子 横浜流星と小栗旬が演じるバディの魅力と制作の舞台裏を語る【インタビュー】

ドラマ2026年10月16日

-横浜さんと小栗さんが演じたことで、キャラクターの印象は変わりましたか。 塚原 小駒は田舎の刑事で出世したいという設定があって、うだつが上がらない感じに近いのかなと思っていたのですが、横浜さんは身体能力に長けていて山をぐんぐん登るので、その … 続きを読む

磯村勇斗「吉田監督の世界に入れることが楽しみでした」吉田恵輔監督「磯村くんは思考が自分に近い」初顔合わせの舞台裏『mentor』【インタビュー】

映画2026年10月15日

-そして、子どもの頃、一緒に事件を起こして以来、疎遠になっていた拓海との再会は、アーチェリーに打ち込む龍之介の人生を次第に狂わせていきます。 磯村 末澤くんとは初共演で、龍之介と拓海が再会する場面は僕たちにとっても初めて一緒にお芝居するシー … 続きを読む

page top