エンターテインメント・ウェブマガジン
その連続でした。特に情感をあふれさせながら面白くするというところに、『男はつらいよ』とかの世界観を見た気がして、うれしかったです。今回の僕の役は、面白いせりふがあるわけではなくて、追い込まれていく立場みたいなものがおかしかったりするんですけど、監督の作る笑いというのが、僕はすごく好きでした。ある人が、すごく怒っているんだけど、同時にそこに人間のおかしみとか滑稽さが出てくるみたいなところが。
例えば、台本では、宮藤さんの「会社をクビになる」というせりふを、監督が現場で突然「クビを会社になる」に変えてくれと(笑)。これは監督の世界観にしかない面白さです。
監督が脚本を書いて僕が出演した「あにいもうと」(18)でも、自分の妹を妊娠させた相手を河原で怒鳴りつけて「二度と顔見せんな」って追い払うんだけど、その後に、そいつに帰り道を教えるんですよ。「その大通りを曲がって右に出たら、そこを通って帰れ」みたいに(笑)。その感じがたまらなく面白いんです。
そういうのは、今の笑いじゃないのかもしれないけど、それが逆に新鮮だったし、やっぱりそういう笑いはいいなと改めて思うようなところが多かったです。何て面白いことを思いつくんだろうという感じです。監督の発想は、結構ぶっ飛んでいるんです。「怒ってんのに、そんなこと言います?」みたいな。だから怒るシーンが面白いですよね。
札幌がどれくらい東京の下町と似ていたのかは分からないけれど、僕は子どもの頃から人情味のあるものを好んで見ていた節はあるんです。だから、山田監督の描く世界観や語り口というものは、自分の中に、子どもの頃からの原体験として入っているんだと思います。子どもの頃から、寅さんのまねをしていたぐらいですから。僕は東京の落語も聴くので、監督の書くせりふには非常になじみがある。子どもの頃に母が見ていた、藤山寛美さんの松竹新喜劇。それも面白がって見ていました。僕が自分で作るものにも、確実にそういうテイストが入っているんです。僕も非常に家族の話が好きなものだから、昔から監督の作る世界観や下町の人情感みたいなものは、僕の中に自然にあったような気がします。なので、そういうものへの憧れもあるかもしれないです。
(取材・文・写真/田中雄二)
(C)2023「こんにちは、母さん」製作委員会
映画2025年4月3日
-松本動監督の演出について、また寺尾聰さんら共演者の印象をお願いします。 松本監督とは初めてでしたが、私の問い掛けにも親切に細かく答えてくれました。とにかく自由にやらせてもらいました。寺尾聰さんは、昭和49年のドラマ「天下のおやじ」で寺尾 … 続きを読む
舞台・ミュージカル2025年4月2日
-ところで、門脇さんは映像作品でもご活躍されていますが、舞台に立たれることに対してはどのような思いがありますか。 気持ちの面では変わらないですが、舞台はカメラが寄ってくれるわけではないので、声や体の所作で伝えなければいけないと思います。映 … 続きを読む
ドラマ2025年4月1日
-高知県の「やなせたかし記念館 アンパンマンミュージアム」も訪問されたそうですね、 「アンパンマンミュージアム」には二度伺いました。どちらの日も親子連れでいっぱいで、改めて『アンパンマン』という作品が幅広い世代に愛されていることを知り、「 … 続きを読む
舞台・ミュージカル2025年4月1日
-なるほど。では、坂本さんは増田さんのテッド、増田さんは坂本さんのジムについてはどんな印象がありますか。 坂本 テッドは一見すると自分の意見を押し通して歩んでいるように見えるけれども、実は周りを自然と幸せにしたり、勇気づけたりするタイプの役 … 続きを読む
舞台・ミュージカル2025年3月29日
-では、鋼太郎さんの演出の魅力はどこに感じていますか。 鋼太郎さんらしい的確に丁寧な演出をつけてもらえるので、われわれとしてはやりやすいです。尊敬していますし、シェークスピア作品の演出家としてこの方の右に出るものは今、日本にはいないんじゃ … 続きを読む