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新しい時代劇の定義を問われ、即答するのは難しいですね。一言だけ言えるのは、様式を守るということのみに意識を向けると、大事なことを見失ってしまう可能性があるということです。そればかりに気を取られると、時代劇と呼ばれるジャンルがどんどん狭くなってしまう気がします。京都撮影所で作られた過去の作品を、今回クランクイン前にずいぶんたくさん見たのですが、それらの中には、今見ても斬新な面白い表現や発明がたくさんあります。当時の方々が、必死で様式や前例と戦って生まれたものが、そこにはたくさん息づいている。時には制約を守りながら、時には確信犯的に破りながら、自分たちがやりたいことをしっかりやる。軽やかに過去を乗り越えていく、そういう意識が必要であるように思いますね。
また、これからの映画やドラマは、時代劇に限らず、LEDスタジオで、バーチャル・イン・システムのカメラを使って、グリーンバックを背景にして効率よく撮っていくという、バーチャルな作りに大勢が向かうと思います。そうすれば、どこかに大人数でロケに行って撮影をする必要もないし、天気に左右されたりもしませんからね。でも、今回の僕らのアプローチは、それとは全く逆です。信長という400年前の人物を、令和の時代に生きる僕らがちゃんと捉えるためには、あの時代から存在する建築物や場所の力を借りなければなりません。私たちと過去の先人たちとの間にある溝の橋渡しをしてくれるのは、あの時代から残っている物であるという発想です。歴史を感じる場所にみんなで足を運んで、役者やスタッフが、その時代の空気を感じながら撮影をする。今回は、そうしたオーソドックスな作り方をしました。そういう作り方が、まだ有効だということを確認してみたかったというのもあります。それは、ある意味信仰に近いのかもしれませんが…。
まずは、信長と濃姫を全身全霊で演じる、木村さんと綾瀬さんによる丁々発止のパフォーマンスが見どころですね。また、今の時代とは全く価値観の違う戦国絵巻を、映画館の大画面で臨場感たっぷりに見ていただくということを意識して作りました。僕がいい映画を見て思うのは、「眼福=目の幸せを満たしてくれる」ということです。役者の芝居、それを彩る美術、国宝級の場所でのロケーションやゴージャスな衣装、それらを余すことなく捉えるカメラワーク、自分を取り囲むように感じられるダイナミックな音響や音などなど。コロナ禍での緊急事態宣言で、前作の「るろうに剣心最終章」が大都市で上映できないという環境に追い込まれた悔しさもあって、今回は、よりそうしたことにこだわって作っています。まるで戦国時代に自分が迷い込んだように、信長と濃姫の体験を大画面で追体験できるような臨場感が、時間を忘れて夢中になっていただけるように精魂込めて作ったつもりです。ぜひ楽しんでいただけたらと思います。
(取材・文・写真/田中雄二)
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