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あのシーンは、僕も台本を読んだ瞬間にグッときてしまい、堪えるのに必死で「三谷さん、ずるい!」と思いました。この戦で敵陣にいるのは全員、幼なじみのような顔ぶれ。中でも、和田義盛という毛むくじゃらのおじさんは(笑)、振り返ってみたら、畠山にとって第1回からずっと一緒にいるすごく大きな存在なんです。勝手にライバル視している和田義盛と、それを相手にしない畠山。両極端な2人がやり合っている様子が愛らしくて、かわいらしくて、僕も大好きでした。そんな2人が視聴者の方から愛されていたのも、すごくありがたかったです。その和田義盛が、仲間を代表して最後に会いに来るわけですから。三谷さんがそういうことを受け止めてくださって、あのシーンができたのかなと勝手に想像していました。
この戦の何が苦しいって、誰も口にはしませんが「やらなくてもいい戦なのに、なぜこうなっちゃったんだろう?」と、みんなが分かっていることなんです。でも、武士として引き下がれないところまで来てしまった。そういう思いを抱えながらの戦なんですよね。1年間やってきて、畠山が感情を爆発させることはあまりなかったんですけど、あのシーンにはそういう「戦なんかしたくない」という気持ちと悔しさの二つの葛藤があったのかなと。
何が悲しいって、誰よりも畠山が一番、和田義盛のことを分かっているんです。言われなくても、全部先回りするぐらい、あなたのことは分かっていますよと。それぐらい一緒に戦ってきた仲間ということで、すごく苦しかったです。
今回で四度目の大河ドラマの現場でしたが、今までで一番長く作品に携わらせていただきました。最初にお話しを頂き、“畠山重忠”の名を初めて聞いたときは、どんな人物なのかよく知らなかったので、どのぐらいキャラクターを深めていけるのか、未知の部分もありました。でも、知れば知るほど、畠山重忠という人に引き込まれていき、後世に語り継がれる意味も理解していく中で、しっかりと畠山重忠を体現しなくては…という思いで最後までいました。畠山重忠と共に過ごした時間が長い分、「本当に終わってしまったんだな…」という寂しさもありますが、今はとにかく胸がいっぱいです。
(取材・文/井上健一)
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