大河ドラマ史に残る壮絶な死闘の舞台裏! 「小栗さんが『ここで思い切りぶん殴られたいんだ』と」中川大志(畠山重忠)【「鎌倉殿の13人」インタビュー】

2022年9月18日 / 21:00

 NHKで放送中の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」。9月18日に放送された第36回「武士の鑑」では、歴史上有名な「畠山重忠の乱」が描かれ、激しい戦の末、鎌倉幕府を支えてきた御家人・畠山重忠が悲運の最期を遂げた。撮影開始から1年にわたって重忠を演じてきた中川大志が、主人公・北条義時(小栗旬)との壮絶な一騎打ち、和田義盛(横田栄司)との最後の対話など、名シーンが続出した撮影の舞台裏や自身の思いを明かしてくれた。

畠山重忠役の中川大志 (C)NHK

-重忠の乱のクライマックスの、重忠と義時の壮絶な一騎打ちに圧倒されました。あのシーンはどのようにして生まれたのでしょうか。

 実はあのシーン、台本では「小四郎(=義時)と重忠の一騎打ち」と書かれているだけで、殴り合うことにはなっていませんでした。でも、第36回の台本が上がってきたときに話し合う機会があり、小栗さんから「あの一騎打ちは、きれいな立ち回りではなく、泥くさいものにしたい」というお話があったんです。重忠と義時は10代からの付き合いで、言ってみれば幼なじみ。最初は敵方にいたこともありましたが、重忠が源頼朝(大泉洋)に従ってからは、共に幾つもの戦いを乗り越えてきた仲間です。そんなことから、小栗さんが「幼なじみの2人が、最後は子どものけんかみたいに思いきり泥くさく戦えたらいいよね。俺は、畠山重忠という男にここで思い切りぶん殴られたいんだ」とおっしゃって。

-それは驚きです。

 小栗さんの意見に僕も賛同し、監督やアクションチームと相談しながら、リハーサルを重ねてアクションを作っていきました。あの時代、素手で殴り合うことはあまりないんですけど、重忠の生きざまや信念、この戦いに懸ける意味みたいなものが、一発一発に凝縮できればと思って。その結果、すごく納得のいく最期になりました。

-撮影現場の様子を教えてください。

 畠山重忠の乱は、久々に大掛かりなロケーション撮影で3日かけて行われました。この夏の暑さの中、スタッフの皆さんも本当に戦(いくさ)のような状態で、「死闘」と言っても大げさではない3日間でした。殴り合いのシーンは、その3日間の最後、小栗さんも僕も満身創痍(そうい)という感じで、体力的にもボロボロの状態で臨みました。体感ではあっという間、1、2分ぐらいの感覚だったんですけど、実際は10分以上殴り合っていたと思います。着物は破れ、よろいも至るところで破損し、最後は原形をとどめていないような状態。恐らく、歴代の大河ドラマでも、あそこまで着物とよろいが破壊されたことはないんじゃないでしょうか。

-そのすさまじさは画面からも伝わってきました。

 大変な撮影でしたが、あの場面で僕のクランクアップを迎えさせていただけたのは、すごくありがたかったです。

-そして最後、義時にとどめを刺さずに去った重忠の胸中については、どうお考えでしょうか。

 これに関しては、全てを解説してしまうのもどうかと思うんですが…。ただ一つ言えるのは、ここまでいろんなことの板挟みになり、苦しみながら駆け回る義時を一番近くで見てきたのが、畠山だと思うんです。周りからはあまり目を向けてもらえませんが、小四郎は裏でいろんなことをやり、人と人をつないで調整してきた。その姿を常に見てきたのが畠山。僕自身、そういうことを意識しながらやってきた1年間でもあったので。

 その上で、次々と人が死んでいく時代の中、小四郎もいろんな人を葬り去ってきましたが、「死ぬ」ということがどういうことなのか、畠山が本気で示しにいったのがあのシーンだったのかなと。そしてこの先、鎌倉をどうにかできるのは、小四郎しかいないことも、畠山が一番分かっている。自分の思いをつなぐことができるのは、この人しかいないと。そんな思いで、畠山重忠の乱に向かっていました。

-重忠とそれほどの信頼関係を築き上げ、義理の兄でもあった義時役の小栗旬さんについて、撮影を通じて感じた印象を教えてください。

 1年以上撮影をしていたので、小栗さんとは2人で馬の稽古に行ったり、一緒に食事に行ったり、いろんな思い出があります。後輩の僕らのことも引っ張って、かわいがってくれる兄貴のような存在で、すごく優しい先輩です。何より、「鎌倉殿の13人」という作品を、誰よりも好きなのが小栗さんなんですよね。小栗さんは、関わっているチームのみんなのことも大好きですし。それぐらい、常に自分を捧げていて、小栗さんの周りには自然と人が集まってくるんです。小四郎じゃないですけど、人と人とをつなぐ力がすごいな…と。「鎌倉殿の13人」に関わっているスタッフや出演者は、みんなそう言うんじゃないでしょうか。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

「豊臣兄弟!」第2回「願いの鐘」豊臣兄弟の家族から直、寧々、市まで、女性キャラの活躍に期待【大河ドラマコラム】

ドラマ2026年1月15日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=小一郎/仲野太賀)が、兄・秀吉(=藤吉郎/池松壮亮)と共に天下統一を成し遂げるまでの奇跡を描く物語だ。1月11日に放送された第2回「願いの鐘」では、一度は故郷の村 … 続きを読む

原田美枝子、松田美由紀監督「映像のワンカットワンカットを体感してもらいたいと思います」「たくさんの謎がある映画なので、ぜひそれを解読してください」『カラノウツワ』【インタビュー】

映画2026年1月15日

 メジャーとインディーズの垣根を超えた多彩なクリエーターによる短編映画制作プロジェクト「MIRRORLIAR FILMS(ミラーライアーフィルムズ)」の第8弾となるオムニバス映画『MIRRORLIAR FILMS Season8』が、1月1 … 続きを読む

菅⽣新樹、2026年の抱負を語る「役者として地に足が着いてきた。やっとここからだなと」

ドラマ2026年1月14日

 菅生新樹が主演するドラマ「人は見た目じゃないと思ってた。」(テレ東系)が、毎週木曜0時30分から放送中だ。本作は人は誰のため、何のために“見た目”に拘るのか…ルッキズムの現代社会に一石を投じるファッションヒューマンドラマ。「人は見た目では … 続きを読む

西畑大吾「役をどう演じたらいいかすごく考えた」 ドラマ「マトリと狂犬」【インタビュー】

ドラマ2026年1月8日

 西畑大吾主演のドラマ「マトリと狂犬」(MBS・TBSドラマイズム枠/毎週火曜深夜)が1月20日にスタートする。本作は、「ヤングチャンピオン」(秋田書店)で2020年から連載されている同名漫画のドラマ版。  麻薬取締捜査官・黒崎、刑事・葛城 … 続きを読む

「豊臣兄弟!」第1回「二匹の猿」豊臣秀長、秀吉、織田信長 新味を感じさせる主要人物の初登場【大河ドラマコラム】

ドラマ2026年1月8日

 1月4日から放送スタートしたNHKの大河ドラマ「豊臣兄弟!」。大河ドラマで人気の戦国時代を舞台に、豊臣秀吉の弟・豊臣秀長(若い頃の名は小一郎)を主人公にした物語ということで、どのような幕開けになるのか、興味深く第1回を見守った。小一郎役の … 続きを読む

Willfriends

page top