大河ドラマでも注目の福地桃子、芝居の原動力は「たくさんの人やもの、役柄に出会える楽しさ」『あの娘は知らない』【インタビュー】

2022年9月19日 / 08:00

 NHK朝の連続テレビ小説「なつぞら」では夕見子役を、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では北条泰時の妻・初を演じ、脚光を浴びた福地桃子。梅酒のCMで5代目イメージキャラクターを務めるなど、その透明感あふれる声とたたずまいで注目を集めている。その福地が、新進気鋭の若手監督・井樫彩監督とタッグを組んだ映画『あの娘は知らない』が、9月23日から公開される。福地に作品への思いや撮影の裏話などを聞いた。

福地桃子(ヘアメーク:曳田萌恵/スタイリスト:武久真理江) (C)エンタメOVO

-本作は、海辺の街を舞台に、旅館を営む若い女性・奈々と恋人を亡くした俊太郎の出会いと再生を描いていますが、最初に脚本を読んだときは、どんなことを感じましたか。

 時の流れはゆっくりだけれど、2人の心の動きがすごくたくさんあるなと思いました。私が演じさせてもらう奈々の言動は、違和感なく理解することができましたし、俊太郎との距離感や関係性も心地よく感じました。

-岡山天音さんが演じた俊太郎との距離感は、この作品のキーでもありますね。非常に不思議で、でもすてきな関係性でした。

 性別の違う2人が過ごす中で作られていく、居心地のいい空気は2人にしか作れないものだと思いますし、2人にとっては、それがすごく自然に思えたんだと思います。演じているときは、どうしてこういうことをしたのかとか、理由を考えていたわけではなく、私自身も俊太郎さんとの時間を、何だと聞かれても分かりませんが、でもすごく居心地がよかったんだろうなと思っていました。

-幼い頃に家族を亡くし、一人で旅館を営んでいる奈々は、さまざまなものを抱えて生きています。そうした奈々を演じるのは難しかったのではないかと思いますが、演じる上ではどんなところを意識していましたか。

 撮影に入る前は、奈々が抱えているものをどう表現するのか、その抱えているものの大きさをどう理解したらいいんだろうか悩んでいましたが、実際に撮影場所となった伊東に行ってみたら、そこには奈々の当たり前がたくさんあることに気付き、考えるのをやめました。きっと奈々は、その抱えているものすら体になじんでいるんだろうなと思いましたし、そこまで特別なことではないのかもしれないとも感じました。それまでは、考えて見付けようとしていたから、体がすごく重かったんです。この体の状態は奈々ではないと思って、一人で立ち止まってしまったときに、監督が「自分の中から出てきたものを大事にしてほしい」と声を掛けてくださって。その言葉で、自分をもっと信じてお芝居をしたいと思うようになり、体がスッと軽くなったような気がします。

-なるほど。

 それから、俊太郎さんとのシーンがほとんどなので、2人で過ごす時間が多かったからこそ、その会話の中で生まれる喜びや、気持ちが豊かになっていくのを感じ、自分だけでは出会えなかった奈々の感情をどんどん引き出してもらった感覚がありました。なので、現場に入ってから、どんどん奈々が自分の体になじんでいくのを感じましたし、その感覚を大事にして演じました。

-俊太郎役の岡山さんの印象を教えてください。

 俊太郎と奈々の関係性と同じように、一緒に過ごしていてとても心地がいい、安心感をいただける方でした。一緒にお芝居をさせていただくことで、毎日発見があり、自分の予想もしないところで奈々というキャラクターをつかむヒントを頂いていたなと思います。

-撮影で特に印象に残っているシーンは?

 奈々が俊太郎さんにご飯を出すシーンが何度かあるのですが、私は最初にご飯を食べてもらうシーンが好きです。すごく地味なことなのですが、何度も(映画を)見ていただけたら好きになるようなポイントかもしれません(笑)。私自身も、撮影で印象に残ったというよりは、映像を見た時に目に留まったシーンがそこでした。2人のやりとりが温かく、自然で、食卓の温もりを感じられて、奈々にとってはすごく必要な時間だったのかもしれないと思いました。改めて、そうしたささいな時間を大事にしたいと思わせてくれるシーンだと思いました。

-では、本作に限らず、福地さんが芝居をする上で、これだけは大切にしたいと思っていることはありますか。

 自分がやらせていただく意味を大事にしたいです。きっと誰でもよかったわけじゃないと思うんです。そうすると、何で自分だったんだろうという思いがよぎるんです。改めて、振り返ったときに、自分でも私がこの役をやってよかったと思えるぐらい、役と向き合えたらいいなと思いますし、その思いは大事にしたいですね。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

市川團十郎、市川新之助「こういう形で記録に残せたのは非常によかったと思います」【インタビュー】『襲名』

映画2026年9月24日

 十三代目市川團十郎白猿の襲名と八代目新之助の初舞台を正面から捉えた、三池崇史監督のドキュメンタリー映画『襲名』が、9月25日から全国公開される。映画の公開を前に、團十郎、新之助親子に話を聞いた。 -まず、映画を見て感じたことから伺います。 … 続きを読む

尾上松也「金田一耕助を演じる喜びがふつふつと」奥智哉「今の時代にふさわしい作品に」名作ミステリー映画で共演『八つ墓村』【インタビュー】

映画2026年9月18日

 横溝正史原作の名作ミステリーが、令和の時代によみがえる!これまで繰り返し映像化されてきた『八つ墓村』が装いも新たに映画化され、9月18日から全国公開となる。  岡山県の山奥にひっそりとたたずむ八つ墓村で起きる連続殺人の謎に、名探偵・金田一 … 続きを読む

有村架純、石田ひかり、姫野花春「見終わった後ですごく幸せな気持ちになれる映画です」『さとこはいつも』【インタビュー】

映画2026年9月18日

 沖田修一監督が、年齢も育った環境も異なる3人の「さとこ」という女性の人生が交差していく様子をオリジナルストーリーで描いた『さとこはいつも』が、9月18日から全国公開。本作で、35歳の沙都子を演じた有村架純、55歳の里子を演じた石田ひかり、 … 続きを読む

見上愛「樹里ちゃんは周りを安心させる空気感を持っている」上坂樹里「愛さんが私を直美にしてくれました」主演の2人が撮影を振り返る【連続テレビ小説「風、薫る」インタビュー】

ドラマ2026年9月17日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「風、薫る」。田中ひかるの著書『明治のナイチンゲール 大関和物語』を原案に、明治時代、当時まだ知られていなかった看護の世界に飛び込んだ一ノ瀬りん(見上愛)と大家直美(上坂樹里)という2人のナースの冒険物語 … 続きを読む

丸山隆平「きっと誰も見たことがないものになる」 舞台「water」で挑む半自伝的作品【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年9月14日

 丸山隆平と、演劇団体マームとジプシーの主宰を務め、劇作家・演出家として注目される藤田貴大が企画し、作り上げる舞台「water」が9月27日から上演される。本作は、丸山の記憶の断片を散りばめながら、藤田の視点で見つけた京都という土地、そして … 続きを読む

page top