「自分の未来が楽しみになる役と出会えたことがうれしい」念願の朝ドラ初出演に手応え 前田公輝(砂川智)【「ちむどんどん」インタビュー】

2022年7月15日 / 12:58

 NHKで放送中の連続テレビ小説「ちむどんどん」。戦後の沖縄で四兄妹の次女として生まれ育ったヒロイン、比嘉暢子(黒島結菜)が上京し、料理人の道を目指して奮闘する物語だ。本作で、幼なじみの暢子に思いを寄せ、後を追うように東京に出てきた砂川智を演じているのが前田公輝。念願だった朝ドラ初出演に対する思いや、役に取り組む姿勢を語ってくれた。

砂川智役の前田公輝

-朝ドラ初出演とのことですが、ここまで撮影を進めてきた感想はいかがですか。

 朝ドラという大きな舞台で2クール(半年)もの長期にわたる作品に出演させていただくことで、僕自身、すごく成長させてもらっている気がします。例えば、沖縄ことばも、最初の頃に比べるとだいぶスムーズに話せるようになってきましたし。僕は6歳から芸能界でお仕事をさせてもらっていますが、まだまだ知らないことがあったなと、改めて驚いています。ベテランの役者の方々がよく「芝居には終わりがない」とおっしゃいますが、まさにそれを今、実感しているところで。念願の朝ドラだからかもしれませんが、とにかく毎日が刺激的で、真新しいことばかり。すごく楽しいです。

-智を演じる上で心掛けていることはありますか。

 僕の中には、沖縄の方は思いつめたり、気分が沈んだりすることが少ないイメージがあるんです。そこには、食べ物や環境が影響している気がして。島野菜はビタミンやミネラルが豊富でおいしいですし、透き通った海や豊かな自然など環境もいいですよね。それは、明るい太陽の下で暮らしていればこそなのかなと。僕自身、日光を浴びる大切さは以前から感じていましたし、役者の仕事は心のケアが大事なので、そういう沖縄の方の心の持ち方はすごく勉強になります。現在はコロナ禍で何かと気分が沈みがちな世の中ですが、そんなときに、そういう姿勢を見せることには意味があると思うんです。だから、智を演じる上では、みんなを元気づける“やんばるの太陽”みたいな感じを多少意識しています。

-ご自身と智に共通点を感じる部分もあるのでしょうか。

 ありますね。智の軸になっているのは、何といっても家族です。僕自身も芸能界で仕事をする上で家族が大きな幹になっているので、その点は、最初に台本を読んだときから近いものを感じていました。だから、すごく共感できますし、仕事に対する向き合い方には、憧れすら覚えます。

-では、智の魅力をどんなところに感じていますか。

 智は基本的に、他人に弱みを見せませんよね。僕の場合、悩みがあるときは誰かに聞いてもらいますが、智は恐らく、家族にさえ相談したり、愚痴を言ったりしないんじゃないでしょうか。若くして東京に出てきて、今ほど情報も簡単に手に入らない中、食品卸の会社を立ち上げて軌道に乗せていくのは、相当な苦労があったはずです。それでも、一人で頑張ってきた。そういう意味では、智の生き方にはカッコいい“男の美学”が詰まっているような気がします。

-続いて、主演の黒島結菜さんの印象を教えてください。

 黒島さんには、新しい形の座長を見ているような気がします。今までいろんな主演の方を見てきましたが、黒島さんは、常に真っ白な状態で現場にいるんです。でも、とてもフラットなので、中心にいてくれるとすごく安心できる。そういう意味では、黒島さんは幹の太い“ガジュマルの木”のような印象です。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

前田旺志郎「世の中に関心を持つ大切さに気付いた」窪塚愛流「止まっていた時間が動き出した」初共演の2人が福島原発事故を題材にした映画で感じたこと『こんな事があった』【インタビュー】

映画2025年9月16日

 東日本大震災から10年後の福島を舞台に、原発事故で引き裂かれた家族と青春を奪われた若者たちの姿を描いた『こんな事があった』が9月13日から全国順次公開中だ。監督・脚本は、『追悼のざわめき』(88)などで日本のみならず世界の映画ファンから支 … 続きを読む

グイ・ルンメイ、真利子哲也監督「お互いが思い合うからこそすれ違う。でもそこには愛があるという家族の形を描きたかった」『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』【インタビュー】

映画2025年9月12日

 ニューヨーク・ブルックリンで暮らすアジア人夫婦を主人公に、息子の誘拐事件をきっかけに夫婦の秘密が浮き彫りとなり家族が崩壊していく姿を、全編NYロケで描いた『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』が、9月12日から全国公開され … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(3)無鉄砲小僧、恐れを知らぬ行動力

舞台・ミュージカル2025年9月12日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼無鉄砲小僧、恐れを知らぬ行動力 … 続きを読む

北村匠海 連続テレビ小説「あんぱん」は「とても大きな財産になりました」【インタビュー】

ドラマ2025年9月12日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「あんぱん」。『アンパンマン』を生み出したやなせたかしと妻・暢の夫婦をモデルにした柳井のぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)夫婦の戦前から戦後に至る波乱万丈の物語は、ついに『アンパンマン』の誕生にたどり着いた。 … 続きを読む

中山優馬「僕にとっての“希望”」 舞台「大誘拐」~四人で大スペクタクル~の再始動で見せるきらめき【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年9月11日

 中山優馬が主演する舞台「大誘拐」~四人で大スペクタクル~が10月10日に再始動する。本作は、天藤真の小説「大誘拐」を原作とした舞台で、2024年に舞台化。82歳の小柄な老婆が国家権力とマスコミを手玉に取り、百億円を略取した大事件を描く。今 … 続きを読む

Willfriends

page top