「自分の未来が楽しみになる役と出会えたことがうれしい」念願の朝ドラ初出演に手応え 前田公輝(砂川智)【「ちむどんどん」インタビュー】

2022年7月15日 / 12:58

-ところで劇中では、智は暢子を一途に思い続けていて、その恋の行方も気になるところです。そもそも智は、暢子のどんなところにほれたのでしょうか。

 いろいろありますけど、一番は、世界一幸せそうにご飯を食べるところかなと。決して裕福とはいえない暮らしを送っていた智が家業の豆腐店を継ぎ、一生懸命作った豆腐を、暢子はものすごく幸せそうに食べてくれたんですよね。これは単なる僕の想像ですが、そのとき智は、恐らくつらいことや苦しいことを忘れるぐらい、心が豊かになったんだろうなと。身近にそういう暢子がいてくれることが、智にとって力の源になった。そんな女性は暢子のほかにいなかったんでしょうね。それが一番大きな理由だと思います。

-そして、智は暢子の後を追うように上京しましたが、そのときの智の心情をどんなふうに捉えていますか。

 暢子が東京に行ってしまった後、自分にとっての存在の大きさに気付き、心にぽっかり大きな穴が開いてしまった。その瞬間、今までふたをしてきた暢子に対する気持ちが確信に変わったと思うんです。そこで、自分も東京に出て行ったものの、智は暢子を心配する比嘉家の思いも背負っているし、自分自身も夢を追う暢子をサポートしたいという思いがある。だから、自分の気持ちを伝えたいんだけど、それが夢を追う暢子の邪魔になることは避けたい。そんな感じではないでしょうか。そういう意味では、暢子がどれだけ幸せに夢に向かってまい進できるか、ということが智の行動の核にあるのかなと。

-そんな智の思いが暢子に届くのか、これからも注目ですね。それでは最後に、この作品に対する思いを聞かせてください。

 朝ドラは僕にとって憧れの場所で、どんな小さな役でもいいから出演したいとずっと思っていたんです。それが、こんな大きな役で夢がかなった。しかも、「ちむどんどん」は家族の話ですけど、僕にとっても家族は大きな存在ですし、以前、僕が初めて長期ロケに出かけたのも沖縄、その上、僕の誕生日も“シーサーの日(4月3日)”なんです。そんなふうに、この作品には不思議な巡り合わせみたいなものを感じていて、出演していることが奇跡の時間としか思えません。しかも、智という役を通じて、人間として、役者として、あらゆる面で僕自身が更新されている感覚があるんです。自分の未来がこんなに楽しみになる役と出会えたことが、すごくうれしいです。

(取材・文/井上健一)

 

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

川口春奈、高杉真宙「自分や家族、周りの人たちを大事にしようと思うきっかけになったらうれしいです」『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』【インタビュー】

映画2026年10月1日

-実在の人物を演じる難しさは感じましたか。 川口 彼女が残した日記や言葉、映像も少なからずありましたが、自分なりの解釈はせず、監督を信じて飛び込んでみるという感じでした。本当に一つずつ模索しながら作っていったという感覚でした。 高杉 こうい … 続きを読む

木戸大聖「悲しいと思っていてもそれを表情に出せないのが難しかったです」『沖晴くんの涙を殺して』【インタビュー】

映画2026年10月1日

-今回は広瀬アリスさんとの共演でしたが、『ゆきてかへらぬ』では、妹のすずさんとも共演しましたね。  シンプルに、男と女として対峙(たいじ)する役ができたことはすごくうれしかったですし、すずちゃんもアリスさんも、自分の実年齢とは関係なく、僕が … 続きを読む

小瀧望「ファンの皆さまの声に応え続けたい」 舞台「ロックンロール」では「僕たちの芝居とともに、当時のロックミュージックも楽しんで」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年9月30日

-そうした難しい役どころゆえ、共感はなかなか難しいのでは?  それはあまり心配していないです。先日、トム・ストッパードの「ハード・プロブレム」という作品を観劇したんですよ。その作品も、日本人とは違う感情の変化が描かれた作品でした。楽しく会話 … 続きを読む

佐津川愛美「酒井監督に惚れました(笑)」念願だった酒井麻衣監督との初タッグ『時給三〇〇円の死神』【インタビュー】

映画2026年9月30日

 10月2日から全国公開となる『時給三〇〇円の死神』は、累計発行部数36万部を突破した藤まるの同名小説を原作にしたファンタジーだ。生きる希望を失った大学生・佐倉真司(西畑大吾)が、謎めいた同級生・花森雪希(福本莉子)に誘われ、この世に未練を … 続きを読む

【K-POPもKドラマも深読みしたら韓国が見えた】#受験競争だけではない韓国の教育問題、「鉄槌教師」が問う教師の役割

2026年9月29日

 K-POPや韓国ドラマは、エンターテインメントであると同時に、韓国社会を映す鏡でもある。何気ない言葉やしぐさ、習慣の背景をたどると、その国ならではの価値観や歴史、人との関わり方が見えてくる。この連載では、韓国カルチャーを入り口に、知ってい … 続きを読む

page top